新幹線敦賀以西 地元の機運高める発信を

  • 福井新聞ONLINE
  • 更新日:2023/09/19

【論説】2024年3月16日の北陸新幹線県内開業まで半年を切った。東京―大阪間延長約700キロのうち8割が開業し、福井県は飛躍に向けた歴史的な転換点を迎える。観光誘客に、ビジネス機会の拡大に、各分野で取り組みが加速している。ただ、北陸新幹線が最大の経済効果を発揮し、災害に強い国土のインフラとなるためには残り2割、敦賀―新大阪間の開業がどうしても必要だ。敦賀以西の着工時期はなお不透明な状況だが、沿線の機運を衰えさせてはならない。

敦賀以西は19年に着工の前提となる環境影響評価(アセスメント)の手続きが始まった。だが沿線の一部住民の反対や想定外の新型コロナウイルス禍があり、さらに異次元とも評される難工事の事前の検討の必要性も浮上。環境アセスで詳細ルートを公表する段階に進めず、与党や沿線自治体が求めていた23年度当初の工事実施計画の認可・着工は先送りされた。

24年度についても、国土交通省は政府予算編成に向けた今夏の概算要求で事業費の計上を見送った。高木毅・自民党国対委員長が委員長を務める与党整備委員会も方針を了承し、認可・着工は早くても25年度以降となる方向になった。

代わりに本年度は12億円余りの調査費を予算化。地質調査を行い特別な対策が必要な土砂の量を推定したり、地下駅が想定されている京都駅・新大阪駅の概略設計の準備をしたりする。従来は認可後に行っていた業務で、前倒しして取り組むことで着工の遅れを取り戻す考えだ。与党側も“事実上の着工”と前向きに評価しており、国交省は来年度予算でも上積みを目指している。

ただ、調査の進捗(しんちょく)に関し建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が報告を行った与党整備委は非公開。何がどこまで進んでいるのか、地元に詳細は不明なままだ。機運醸成に向け確実に前進している実感を住民が得られるよう、積極的な情報開示を求めたい。

また、そもそも調査費は異例の措置であることも忘れてはならない。従来は財源の見通しや投資効果といった「着工5条件」を確認した上で執行されてきた予算だ。前倒しで事業を始めた以上、政府・与党や鉄運機構は、確実に実現可能な計画を立て、沿線住民の不安を払拭する責任を負っていることを自覚すべきだ。

さらにこの間に「5条件」の議論も進めなければならない。事業費は資材や人件費の高騰から想定の2兆1千億円から上振れが懸念されている。財源をどう確保するか。投資効果は地域への経済波及効果や、災害時の備えの機能も考慮して算定すべきではないか。検討すべき内容は多い。

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