スマホの使いすぎで若年層にも増加、ドライアイの原因となる「マイボーム腺機能不全」の治療法が確立

スマホの使いすぎで若年層にも増加、ドライアイの原因となる「マイボーム腺機能不全」の治療法が確立

  • NEWSポストセブン
  • 更新日:2023/05/26
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マイボーム腺機能不全の症状とは?(イラスト/いかわやすとし)

マイボーム腺は瞼の縁にある皮脂腺で、涙を眼の表面に安定させる働きを担う。このため、皮脂が出にくくなると涙が乾き、ドライアイや眼の痛み、炎症などの症状を起こす。以前は加齢が主な原因だったが、若年層もパソコンやスマホの使い過ぎでマイボーム腺機能不全になる人が急増中だ。このたび診断と治療法が確立し、世界に先駆けて日本で診療ガイドラインが策定された。

【画像】マイボーム腺機能不全の治療器

涙は涙液という水分と少量の皮脂、糖たんぱくのムチンの3つで構成されている。

マイボーム腺は上瞼に30~40、下瞼に20~30ほど並んでおり、少量の皮脂を分泌している。この皮脂が涙液の表面を覆い、水分の蒸発を防ぎ、涙を眼の表面に留める役割を担う。それがマイボーム腺機能不全になるとドライアイの原因になったり、眼の痛みや重たい感じ、モノが見えにくいなどの症状が起こる。

東邦大学医療センター大森病院眼科の堀裕一教授の話。

「マイボーム腺機能不全の有病率は10~20%といわれ、日本国内に約1200万人の患者がいると推計されています。以前は加齢により、皮脂の分泌が減少することが主な原因でしたが、近年はパソコンやスマホの見過ぎや瞼の汚れなど複数の原因が重なって患者が急増しています」

マイボーム腺機能不全の診断基準は10年ほど前に確立されたが、当時は治療法がなかった。しかし、その後の研究で効果を確認できる治療法が確立され、ようやく診療ガイドラインが策定されたのだ。

その確立された治療法はセルフケア、薬剤、医療機器の3つ。まずセルフケアは瞼を暖める温罨法の実践だ。マイボーム腺に詰まった皮脂を暖めて溶かし、皮脂の分泌を促して瞼の血流を改善させる。さらに瞼の縁を綿棒でマッサージを行なうと症状が緩和する。また眼専用のシャンプーを使い、瞼を洗うのも効果がある。

中等症以上では薬物治療と医療機器を併用する。治療薬は抗菌点眼薬とステロイド点眼薬、そして、抗生物質の内服だ。瞼には複数の常在菌がおり、菌叢のバランスが崩れると一部の常在菌が皮脂を変性させる。正常な皮脂は透明でサラッとしているが、変性すると白濁し、粘性が出て詰まりやすくなるため、これらの薬で改善を促す。

「昨年、IPLという光線を照射する医療機器が、マイボーム腺機能不全治療に対して承認されました。もともとは美容皮膚科の領域で、皮膚細胞の活性化や脱毛などに使用されていた機器です。瞼のマイボーム腺に、3週間ごとに複数回照射することにより、症状が改善します」(堀教授)

この機能不全は失明するような病気ではないが、眼には知覚神経が集まっていて、わずかな違和感や症状でも日常の生産性は低下する。最近、スマホなどの見過ぎで眼が乾くなど気になっている人は迷わず眼科での受診を。

取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2023年6月2日号

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