新しい国家資格「公認心理師」とは? 学校、職場、被災者のカウンセリングなど活躍が期待

新しい国家資格「公認心理師」とは? 学校、職場、被災者のカウンセリングなど活躍が期待

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  • 更新日:2021/07/22
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※写真はイメージです(写真/Getty Images)

心理職初の国家資格となった公認心理師。2018年に第1回の試験が実施され、これまでの合格者は4万3720人。コロナ禍などでストレスや不安を感じる人が増える中、その役割が期待されている。アエラムック『大学院・通信制大学2022』では、どのような仕事なのか、臨床心理士との違い、さらに資格を得るための方法や大学院の選び方などについて取材した。

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国家資格である公認心理師。公認心理師法で定められた業務は、クライエント(依頼人)の心理テストをしたり、学校の生徒や保護者に対するカウンセリング(スクールカウンセラー)、障害児の療育、企業で働く従業員のメンタルヘルス支援、さらに地震など災害に遭った人への心理支援など、多くの場所での活躍が期待されている。

心理職といえば1988年に誕生した臨床心理士(民間資格)が知られている。この臨床心理士の仕事と公認心理師の仕事の内容及び活動領域はほぼ同じだ。

ただし、公認心理師では法律(公認心理師法)の中で「多職種で連携すること」が義務として、強調されている。これについて立正大学心理学部の徳丸享准教授は次のように話す。

「例えば医療機関で働く公認心理師であれば、医師や看護師、薬剤師などと協働してクライエントを支援していくイメージです。相談室での1対1のカウンセリングだけでなく、多くの職種の人たちと一緒に仕事に取り組むことが求められています」

臨床心理士と公認心理師の養成期間は大きく異なる。臨床心理士は指定された大学院修士課程で2年間学ぶことで、受験資格が得られる。

これに対して公認心理師は指定された学部で4年間学んだ後、公認心理師のカリキュラムのある大学院修士課程で2年間履修する「6年教育」が基本となる(大学卒後に指定された施設で2年以上の実務経験を積む、というルートもある)。その後、公認心理師試験を受け、合格して資格取得となる。

ただし、臨床心理士などを含む心理職の現任者向けに一定期間の特例措置があり、基準を満たしていれば、受験資格が与えられる。

すでに多くの現任者が試験を受けており、公認心理師の登録者の71%は臨床心理士有資格者となっている。

スクールカウンセラーの上野綾子さんもこの特例措置で受験し、公認心理師となった。臨床心理士として25年余のキャリアがあり、現在、週に3日は小学校で、1日は特別支援学校で働いている。残りの日も精神科クリニックで心理検査を担当するなど、多忙な毎日だ。

スクールカウンセラーは学校の相談室で生徒や保護者と向き合うイメージだ。しかし、上野さんによれば、これは業務のごく一部。個別相談以外の時間は学校内を巡回し、子どもたちの様子を観察するなど、相談室の外にいることのほうが多いという。

「不登校やいじめ問題への対応を目的としてきたスクールカウンセラー制度ですが、最近は発達障害のお子さんが増えており、こちらのケアにも力を入れています。子どもの心理的な問題は授業中や休み時間の様子から、その兆候を知ることができます。このため、担任の先生から気になるお子さんについて、心理職の視点から、見てほしいと依頼されることもあります」

早期に子どもの異変に気づき、教員や保護者などの関係者が一丸となって支援することでよくなる例を上野さんは数多く、見てきた。

「支援した子どもたちがその後、大学に進学したり、何年かたって就職し、元気にやっている、という話を聞くたび、心から嬉しくなります。この仕事をやっていてよかったと思う瞬間ですね」(上野さん)

一方で、心理職の多くは非常勤で、収入が安定しない現状を問題視している。

「公認心理師制度ができたことで、この仕事が広く認知され、心理職の活用の場が増えることを期待しています」(同)

なお、文部科学省は2020年から、スクールカウンセラーの選考資格として一番に公認心理師を挙げている。また、医療機関では精神科を中心に、公認心理師の業務で診療報酬がつくものが少しずつ増えるなど、その仕事が認められてきていることも事実だ。

では、現任者以外の人が公認心理師をめざす場合、どのように学校を選べばいいのだろうか。ここでは学部卒後に入学する大学院にターゲットを当てた。

学部における公認心理師のカリキュラムが心理学の知識を幅広く学ぶように設定されているのに対し、大学院では知識をベースに面接の技術や個別支援の実践的なトレーニングを積んでいく。

実習は複数の領域で実施する。学外の施設も使って、450時間以上おこなうことも定められている。国家資格であるため、学ぶ内容に大学院ごとの差はない。

「ただし、在籍する教員によって力を入れている分野や実習先の傾向などには特徴があるでしょう。こうした点から、自分が特に深めたい分野を学べる大学院を選ぶといいと思います」(徳丸准教授)

2021年6月現在、公認心理師の受験資格が得られる大学院は161校。まずは大学院のホームページなどを参考に、興味があるところを選び、説明会に参加するとよいだろう。

「心理学関連の論文をたくさん読むこともおすすめです。どの大学院にどの分野の教員がいるかがわかりますからね。大学院によっては、アポイントを取れば教員に面会できます」(同)

(文・狩生聖子)

※アエラムック『大学院・通信制大学2022』より

狩生聖子

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