おしりたんていが「実写化」と聞いて覗いたら、“不思議すぎる世界”が広がっていた...!

おしりたんていが「実写化」と聞いて覗いたら、“不思議すぎる世界”が広がっていた...!

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/06/10
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「おしりたんてい実写化!?」というニュースが流れ、YouTubeチャンネル、「おしりたんてい夢幻【公式】」に飛んでみると「これが実写化!?」というなんとも不思議な世界が繰り広げられていた。

「おしりたんていが観た悪夢」という設定に基づき、細身の大人の男性が頭部におしりたんていのかぶりものをした“おしりたんてい夢幻”が登場。

この夢幻が「渋谷駅前の忠犬ハチ公など、各駅にある動物の銅像のおしりを見に行く」という謎の企画。「尻文字で漢字を覚えよう」コーナーでは「痙攣」「隠蔽」「横領」という字をおしりで書いていた——完全にTVの深夜番組のノリである。

トロル作『おしりたんてい』といえば知らない子どもはいない超人気の児童書シリーズであり、TVアニメや各種グッズ、ミュージカルやショーまで幅広く展開し、8月13日からは劇場版アニメ第3弾『映画おしりたんてい スフーレ島のひみつ』が公開される(「東映まんがまつり」にて『深海のサバイバル』などと同時上映)。

そんななか、誰向けなのか謎すぎる実写版を「公式」が手がけるのはなにゆえなのか? ポプラ社IP事業部の長谷川慶多氏と、動画制作を担当する萩森豪氏に訊いた。

なんと企画は原作者もガッツリ関わっていた!

——おしりはおしりでも『タモリ倶楽部』くらいシュールな『おしりたんてい夢幻』ですが、どんな経緯で始まったのでしょうか。

ポプラ社IP事業部・長谷川慶多 2021年6月1日から公式Twitterを始めましたが、それまでは『おしりたんてい』は公式のSNSもありませんでしたし、本以外で読者と繋がれる場所が必要じゃないかと以前からポプラ社と原作者のトロルさんで話をしていました。最初に出ていた案はYouTubeでパペットを使った、かわいらしいチャンネルにして視聴者とコミュニケーションを取ろう、と言っていたんです。ただ、だんだんと「今YouTubeチャンネルもいろいろあるし、刺激が足りないんじゃないか」「新しい表現をしたいね」と話が転んでいき、現在のかたちに至りました。

『おしりたんてい』を上の年代に訴求し、本やアニメではできない表現を実現したいという“原作者とポプラ社の気持ちから”スタートしたプロジェクトです。

——え? “原作者のトロルさん”と御社が主導なんですか? 『夢幻』の動画に登場する偽の原作者リチャード・トロルさんのことではないですよね?

長谷川 リチャード・トロルさんは……誰なんでしょうね?(笑)

——本物のトロルさんが『夢幻』の企画の中心にいる?

長谷川 児童書ではできないもの、本ではできないもの——を自分たちでやれる場所を作りたい、というのが『夢幻』の基本にあります。トロルさんが書いた「夢幻はこういうキャラ」といったメモを元に、定期的に『夢幻』の撮影・制作を担当する萩森豪さんと構成作家の竹村武司さん、ポプラ社チーム、そしてトロルさんが集まって毎回の企画を決めています。

——じゃあ、東京都内の駅にある動物の銅像のところに行っておしりをデッサンするというな摩訶不思議な企画は……?

長谷川 あれは萩森さんと構成作家の竹村さんからでしたかね?

萩森豪氏 そうですね。僕は以前FIREBUGという番組制作会社の取締役を務めていまして、過去にはフジテレビで子ども向け番組なんだけれどもブラックジョークも入った『じゃじゃじゃじゃ〜ン!』などを制作していたのと、ポプラ社さんとは『かいけつゾロリ』でもお付き合いがあったことで今回お声がけいただき、『夢幻』のスタッフを集めました。

制作にあたっては「おしりにまつわること」をやる、といった基本コンセプトが大前提としてあります。トロルさんにはお忙しいなか、動画全体の構成からナレーションに至るまで積極的に監修していただいています。

——では野沢雅子さん演じる「アイデンティティ」と夢幻との対決は?

萩森 あれはチャンネルづくりの初期段階からトロルさんから「やりたいです!」と提案があって、真っ先にオファーしました。

長谷川 まだチャンネルの影も形もない時期に企画に乗ってくださったのが本当に嬉しかったですね。夢幻のことも「気持ちワリィ」なんてノリノリでいじってくれました。

——そこまで原作者が関与しているとは……衝撃です。

長谷川 ミュージカルやショーに出てくるおしりたんていの着ぐるみとは異なる、等身が高くて目の部分がくぼんだ「夢幻」のキャラクターデザインも原作者案です。夢幻のマスクができあがるころに「このマスクを付けた存在を街に放ちたい」とみんなで盛り上がって、あちこち出歩かせる企画が生まれました。

萩森 おしりたんてい夢幻が「世の中に実際いる」という風になるとおもしろいね、と。そのアイデアからさまざまな企画が広がっていきました。

マーケティングをまったく無視した取り組み

——数ある『おしりたんてい』プロジェクトの中でも、『夢幻』はだいぶほかの展開とは異質に見えますが。

長谷川 「マーケティングありきとは逆のやりかたでやりたい」というのが『おしりたんてい』全体を通しての、原作者と今のおしりたんていチームの考え方なんです。原作の『おしりたんてい』ももともとはトロルさんが「おもしろいキャラを作って、おもしろいことをやりたい」と思った結果生まれ、そこにたまたま子どもの読者が付いてくれた。計算や計画はなかったとおっしゃるんですね。もちろん、今では映画の興行にしてもミュージカルにしても、まったくマーケティングなしで進むプロジェクトはさすがにほとんどありません。だからこそあえてアイデアから始まるもの、自分たちがおもしろいと思うことから始まるものがあってもいい——それが自然に受け入れられていけばなおいいな、と。

そもそもおしりたんていは「見た目がおしりのかたちをした探偵」というちょっとふしぎなキャラとしてスタートしました。アニメや商品化など関わる人、届ける読者や視聴者の方が増えていく際に、キャラクターが下品に消費されないように、関わるスタッフ全員で細心の注意をしていた結果、「おしりたんてい=紳士」という意図が今しっかり伝わっていてとても良かった……という一方で、今やおしりのかたちに?(ハテナ)と思う人がいなくなってるんじゃないか……と最近思ったんです。原作者的にもそこに少し居心地の悪さがあったようで「おしりですよー」と改めて大声で言いたい所が『夢幻』なのかもしれません。原作のおしりたんていには「おなら」なんて言葉も出てきません。スタッフもみんな「しつれい」とか「必殺技」とか呼ぶのを徹底しているくらい。じゃあ『夢幻』ではやっちゃおう、と。

——自ら課した枠を破壊する行為であり、ある意味では原点回帰でもあると。

萩森 『夢幻』のお仕事をお請けしたときに僕と竹村さんでトロルさんに「今まで築いてきた『おしりたんてい』のイメージを傷つける可能性もありますが大丈夫ですか?」「子どもを無視した笑いでいいですか?」と確認を取りましたが「大丈夫です!」と太鼓判を押していただきました。

長谷川 でも萩森さんたちがロケに出ていると、たまたま公園にいた子どもたちからの反応がすごいですよね。

萩森 いろんなキャラクターものの着ぐるみや撮影をやってきましたが、夢幻に関しては一定の距離感を保って、近づきすぎないところで「近寄っていいのか?」という感じでじっと見ている子が多いのが独特ですね。高校生くらいの方が「あ、おしりたんていだ!」と言って手を振ってくれたりします。

——ポプラ社の社内での反応は?

長谷川 好きな人は「観てるよ!」「おもしろいね!」と声をかけてくれます。……が、どこかアンタッチャブルな雰囲気も感じないこともないですね(苦笑)。『おしりたんてい』チームがおかしくなったんじゃないかと思われているフシもあります。

大物芸能人参戦&夢幻、声優に挑戦!?

——夢幻の「中の人」になってくれる大物芸能人を募集していますが、応募状況は?

萩森 ご連絡いただいている方々に関しては今後、徐々に登場してくる予定です。

——夢幻がYouTube以外に、イベントなどに進出する予定はありますか。

長谷川 呼ばれればどこへでも行きたいですね。『おしりたんてい』の作品以外に「世の中との接点を作りたい」「地続きに感じてほしい」というのも『夢幻』の目的のひとつですから。町に出没するのもそういうことで、機会さえあれば映画の舞台挨拶ですとかいろいろな場所に出ていきたいですね。

——『夢幻』の内容と『おしりたんてい』本編が絡む可能性もありますか?

長谷川 『夢幻』の世界は「おしりたんていの悪夢の中の出来事」ですので、おしりたんていは夢の中で縄跳びを1104(いいおしり)回飛んだり、尻文字で難しい漢字を書いたりしているんですね。その経験が夢から醒めたおしりたんていに活かされて、原作のおはなしともつながるはずです。

——おしりたんてい夢幻プロジェクトの目標は?

長谷川 おしりたんていの初版部数くらいのチャンネル登録者数が目標です。

萩森 僕は「それ、厳しくないですか?」と言っていたんですけれども……(笑)。

長谷川 いや、それが目標です! 定性的なゴールとしては世の中との接点を作ること、それから夢幻が『おしりたんてい』という作品から一歩出た広告塔として活躍してくれたらと思っています。

——ではチャンネルは今後も毎週更新が続きますか?

長谷川 はい。直近ではリチャード・トロル氏の育休によって少しだけお休みに入りますが、おもしろいコンテンツをためて再開しますので、ぜひ楽しみにしてください。

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