個人なら無償 インテルMac用仮想環境アプリ「VMware Fusion Player 12」レビュー

個人なら無償 インテルMac用仮想環境アプリ「VMware Fusion Player 12」レビュー

  • ASCII.jp
  • 更新日:2020/11/21
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Parallels Desktopと並んで、古くからMac用の仮想環境分野での人気を二分してきたソフトウェアにVMware Fusionがある。ただし近年は、業務用に主軸をシフトしてきた感が強く、一般ユーザーにとってはそれほどなじみがある製品とは感じられなくなっていたかもしれない。とはいえ、けっして一般ユーザー向けの製品がなくなってしまったわけではない。これまでもVMware Fusion Standardという比較的安価な製品も、脈々とバージョンアップを続けてきた。

そのVMware Fusion にも最新のmacOS Bis Surに対応する製品が登場した。VMware Fusion 12だ。製品のエディションとしては、Proと、Playerがある。Playerという名前から想像すると、別のアプリで作った既存の仮想マシンをインポートして実行するだけなのかと思う人もいるかもしれないが、そんなことはない。それ単独で仮想マシンを作成し、任意のOSをインストールして利用できる。このエディションは、これまではStandardと呼ばれていたものなので、それも当然。仮想環境としての基本的な機能はすべて利用できる。

Fusion 12をアナウンスしたVMware社のブログ(https://blogs.vmware.com/teamfusion)によると、なんと「Get Fusion 12 Player for Personal User (Free!)」となっている。つまりPlayerエディションは、個人用途には無料で利用できるのだ。これは利用しない手はないだろう。

ちょっとトリッキーなライセンス入手方法

上で示したVMWare Fusionのブログの、Playerエディションは個人用途には無料という記述にはリンクも張られているのだが、現時点では短縮URLの設定ができていないためか、そこをクリックしてもVMware社の他製品の期間限定の無償試用のライセンスのページに飛んでしまい、Fusion 12 Playerのライセンスページにはたどり着けない。実際には、そのためのページも用意されているが、今のところ積極的には無償ライセンスを提供したくないのか、1クリックで飛べるリンクはなさそうだ。

そのURLは「https://my.vmware.com/web/vmware/evalcenter?p=fusion-player-personal」だが、このURLをアドレス欄に入力しても、VMWare社のサイトの表示言語の設定が日本語になっていると、目的のページが開かない。その場合は、VMware社のWorldwideのページで、「United States(English)」を選んでから、あらためて上記のライセンス取得のページを開けばいい。以下、ライセンス取得までの手順をざっと確認しておこう。

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まず上記URLのページ「WMware Fusion Player - Personal Use License」を開くと、ログインを要求される。ライセンスを取得するには、VMwareのサイトにアカウントを作成し、ログインする必要がある。過去にVMware製品を使っていて、アカウントを持っている人は、その際に登録した電子メールアドレス、または顧客番号でログインすればいい。まだアカウントを持っていない人は、「Create an Account」をクリックし、氏名や住所、電話番号などを入力して、アカウントを作成する。もちろん無料だ。

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有効なアカウントで、このページにログインすれば、ライセンスは自動的に取得できる。License Informationの「LICENSE KEYS」カラムに表示されている数字と英文字で構成されているコードがそれだ。またこのページには、ライセンスを取得した製品をダウンロードするためのリンクも置かれている。「Manually Download」をクリックすれば、このページから直接ダウンロード可能だ。現状ではVMware Fusion 12 Playerのインストーラーのサイズは611.94MBとなっている。

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ダウンロードした.dmgファイルをダブルクリックしてディスクイメージをマウントすると、中には「VMware Fusion」というインストーラーが入っているので、さらにそれをダブルクリックしてインストールすればいい。インストールの途中では、ライセンスの入力を要求されるので、上で取得したキーを入力して続行する。

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VMware Fusion 12 Player上に仮想マシンを作る

ここまでできれば、この記事の目的はほとんど達成したに等しいが、念のためにVMware Fusionの基本的な使い方を確認しておこう。まずは、新しい仮想マシンを作るところから始める。

最初は、仮想マシンが何も登録されていないので、まずはそれを作る必要がある。もちろん、後からでも「ファイル」メニューの「新規...」を選ぶことで、新たな仮想マシンを作成して追加できる。

このダイアログでは、全部で6通りの仮想マシンの作り方を用意している。中でももっとも一般的なのは、いちばん上に大きなドラッグ&ドロップ領域として用意されている「ディスクまたはイメージからインストール」という方法だ。他の仮想環境アプリでも同様だが、仮想マシンの作成は、ほぼ例外なくOSのインストールも含んでいる。と言うよりも、このダイアログにある「インストール」という言葉には、仮想マシンの作成とOSのインストールという2つの操作が含まれていると言うべきだろう。

もっとも一般的な使い方と考えられるのは、新規にWindowsをインストールした仮想マシンを作成して利用すること。そこでは、Windowsインストール用のISOイメージファイルを、ここにドラッグ&ドロップするか、ここをダブルクリックしてから、ISOイメージファイルを選択してもいい。Windowsインストール用のISOイメージファイルは、マイクロソフトのサイトから無償で合法的にダウンロードできる。URLは、「https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows10ISO」だ。Windowsのライセンスを購入しなくても、とりあえず30日間は試用できるので、安心して試すことができる。

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ISOファイルを読み込ませれば、後は通常のWindowsのインストールと、ほぼ同じ手順でインストール作業を進めることができる。もちろん他のOSのインストール用ISOイメージでも同様だ。

ほかにも、本物のPCにインストールされているOSを仮想マシンにコピーする「PCを移行」、Macにリカバリー用のパーティションがある場合、そこからmacOSをコピーする「リカバリパーティションからmacOSをインストール」、Parallels DesktopやVirtualBoxなど、他のアプリの仮想マシンを自動的に変換して取り込む「既存の仮想マシンをインポート」、MacのBoot CampのパーティションにインストールされているWindowsをコピーする「Boot Campからインストール」、マニュアル設定で仮想マシンを作成してOSをインストールする「カスタム仮想マシンを作成」といったオプションがある。最後のオプションでは、各種OSのバージョンなどを細かく設定して、思い通りの仮想マシンを作成することが可能だ。

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シンプルな仮想マシンの扱い方

VMware Fusionでは、「仮想マシンのライブラリ」と呼ばれるウィンドウに、登録されたすべての仮想マシンのリストを表示する。実行中の仮想マシンについては、画面のプレビューも表示される。ただし、この場で仮想マシンを操作することはできない。このライブラリのウィンドウは、ここに示したのが最小のサイズで、これより小さくはできない。この程度の大きさがあれば、この場で操作したくなるのが人情というものだ。それができれば、さらに効率的な使い方ができたはずで、その点はちょっと残念だ。なお、Playerエディションでも、複数の仮想マシンを同時に起動して利用することが可能となっている。

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実際に操作可能な仮想マシンは、1つの仮想マシンを1つのウィンドウに表示する「シングルウィンドウ」、仮想マシン上のアプリのウィンドウが、あたかもmacOSのアプリのウィンドウのように振る舞う「ユニティ」、1つの仮想マシンがMacの画面全体を占める「フルスクリーン」の各モードに切り替えて表示できる。

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ライブラリウィンドウのタイトルバーに備わったボタンを使って、選択した仮想マシンの実行を一時的に停止させたり、「スナップショット」を撮ることも可能だ。スナップショットは、1つの仮想マシンに対していくつでも撮ることができ、後からその時点の状態を復元することを可能にする。

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多彩な仮想マシンの設定機能

VMware Fusionの設定機能は、大きく2種類ある。1つは仮想マシンごとの設定、もう1つはアプリとしてのVMware Fusionの設定だ。

前者の設定ウィンドウは、macOSのシステム環境設定のようなデザインで「システム設定」、「取り外し可能デバイス」、「その他」に分かれている。多くは仮想マシンが、実際のMacのハードウェアをどう使うか、といったことに関する設定だ。

「一般」の設定では、仮想マシンのハードディスクの利用状況をバーグラフで表示するとともに、仮想ディスクの中に残ったゴミの領域をクリーンナップして、その領域を開放することができる。「仮想マシンをシャットダウンした後にディスクをクリーンナップアップする」をチェックしておけば、仮想マシンを終了するたびに自動的にクリーンナップすることも可能だ。

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仮想マシンの全体的なパフォーマンスに最も大きな影響を与えるのは、「プロセッサとメモリ」の設定だ。ここでは、Macが実装しているCPUのコアのうち、何個を仮想マシンに割り当てるのか、またMacが実装していメモリのうち、何MBを仮想マシンに使わせるのか、といったことを設定する。さらに、仮想マシン上で、さらに仮想マシンを動かすことを可能にする、ハイパーバイザーアプリケーションについての設定も可能だ。

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仮想マシンのグラフィック性能についての設定は「ディスプレイ」にある。ここでは「3Dグラフィックの高速化」をチェックすることで、Windows上でDirectX 11とOpenGL 4.1をサポートできるようになる。また「Retinaディスプレイのフル解像度を使用」をチェックしておけば、Retinaディスプレイを備えたMacでは、仮想マシンがディスプレイの解像度を最大限に活用できるようになる。この場合、設定によっては表示が細かくなり過ぎることもあるので、適宜調整する必要が生じる。

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一方、仮想マシンによらない、アプリとしてのVMware Fusion全般の動作に関する設定は、「VMware Fusion」メニューから「環境設定...」を選んで開く。ここは、仮想マシンのウィンドウを閉じたときの動作や、キーボードやマウスによるショートカットの設定など、操作性を向上させたりユーザーの好みに馴染ませるための設定を含んでいる。

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とりあえずライセンスを確保して、今後のバージョンアップに期待

今回のVMware Fusion 12は、おそらくmacOS Big Surに対応することが、バージョンアップの最大の目的だったように思われる。Big Surではそれ以前のmacOSと比べて、仮想環境に対する扱いが大きく変化するからだ。ただしFusion 12は、Big Surの正式リリース前から利用可能になっていて、macOS Catalinaでも問題なく動作した。Big Surも正式にリリースされたので改めて確認したが、macOSのバージョンの違いを感じさせず、スムーズに動作する。

Macでは、すでにApple Siliconへの移行が本格的に始まってしまったが、インテルCPUを搭載したMacの製品寿命は、まだしばらくは続く。インテルMacのメリットを最大限に活かすためにも、仮想環境ソフトウェアは有効だ。今すぐにMacでWindowsを利用する予定がない人でも、VMware社の気が変わる前に、とりあえずPlayerエディションのライセンスを確保しておくといいだろう。

Parallels Desktopが、Parallels Toolboxに代表されるような便利な機能をこれでもかと提供したり、仮想マシン上のWindowsとmacOSとの徹底的な融合を図っていて、至れり尽くせりの感が強いのに比べると、VMware Fusionの機能や操作性は、かなり地味なものに感じられる。とはいえ、これで十分という用途もあるし、そう感じるユーザーも一定数いるはずだ。とりあえずPlayerエディションが無償で利用できるようになったのだから、試してみる価値は十二分にある。

■関連サイト

VMware Fusion 12

柴田文彦 編集●飯島恵里子/ASCII

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