福岡西署は22日、妊娠した交際相手の女性に国内未承認の中絶薬を飲ませ、流産させようとしたとして、不同意堕胎未遂容疑で、福岡市西区姪の浜2丁目、建設作業員三前尋容疑者(21)を逮捕した。
逮捕容疑は昨年9月24日夜、同区内で、パート女性=当時(18)=に中絶薬を服用させ、堕胎させようとした疑い。「中絶してほしいと頼んだが断られた。経済的な事情で育てられないと思った」と話し、容疑を認めているという。
署によると、薬は海外製とみられ、三前容疑者は、女性の妊娠が分かった同月19日にインターネット上で注文。女性に「性病をうつしたかもしれない」とうそを言い、性感染症の薬と偽って飲ませたという。
薬は複数回服用する必要があり、女性は1回飲んだ後、体がだるくなり服用を中断して署に相談。翌10月に流産した。服用との因果関係は不明という。
署によると、1989年以降、未遂も含め不同意堕胎容疑での摘発は九州で初めて。
ワードボックス【堕胎に関する罪】
刑法では女性の承諾を得ずに中絶させた場合、不同意堕胎罪に問われ6月以上7年以下の懲役が科される。この他、承諾を得て中絶させる同意堕胎罪▽女性が薬物などを使って自ら行う堕胎罪▽医療関係者が依頼を受けて行う業務上堕胎罪-がある。
一方、母体保護法では母体の健康を著しく害する恐れがあるなどの条件下で、医師会が指定する医師が女性の同意を得た上で中絶手術を施すことを認めており、2019年度は15万6430件が行われた。
西日本新聞