電通、広告界のガリバーに陰り? インターネット広告が「新聞・雑誌・ラジオ」を超える

電通、広告界のガリバーに陰り? インターネット広告が「新聞・雑誌・ラジオ」を超える

  • ZUU online
  • 更新日:2017/09/18

電通 <4324> の株価が冴えない。「広告界のガリバー」とも呼ばれ、オリンピックや万博といった国の大きなイベントなどにも欠かせない役割を担ってきた電通。その電通の株価は9月6日に4425円と年初来安値を更新、昨年末から18%程度の下落となった。「広告界のガリバー」に何が起こったのか。詳しく見てみよう。

■電通が通期業績を下方修正

8月9日、電通が連結業績の下方修正を明らかにした。期初(2月14日)に発表した2017年12月期の予想売上を9785億円から455億円下方修正して9330億円に、営業利益を1515億円から150億円下方修正して1365億円にすることを明らかにした。同社はその理由について、大手広告主である消費財メーカーがグローバルレベルで「マーケティング予算を見直す動き」が顕著になっていることを挙げている。

ちなみに、電通は「単体の月次売上高」を毎月開示しており、その動向からも先の下方修正はある程度予想することはできた。実際、今年4月以降の売上高は前年同月比でマイナスが定着、4月は2.1%減、5月6.8%減、6月13.1%減、7月5.1%減、そして8月の売上は1115億5500万円で前年同期比6.3%減となっている。

とりわけ不振が顕著なのが「新聞・雑誌」向けである。8月のメディア別売上を見ると新聞向けの売上は43億8000万円で前年同月比23.8%減、同じく雑誌向けは16億円で15.2%減と大きく落ち込んだ。主力のテレビ向け売上も504億6000万円で6.4%減だが、新聞・雑誌ほどは落ち込んでいない。

■インターネット向けが「新聞・雑誌・ラジオ」を超える

注目されるのは、インターネット向けの売上である「インタラクティブメディア」が74億1600万円と9.2%増加し、「新聞・雑誌・ラジオ」の3媒体の売上合計70億8500万円を上回ったことだ。インタラクティブメディアが「新聞・雑誌・ラジオ」を上回るのは昨年12月に続き今回で2回目となる。

テレビやラジオ、新聞、雑誌は「4マス媒体」と呼ばれ、長らく広告媒体の中心として君臨してきた。しかし、テレビ以外の3媒体の衰退は著しいものがある。これからの時代はテレビとインターネットの「2マス」時代を迎えるのかも知れない。

■「新聞・雑誌」の衰退が続きそうな雲行き

ちなみに、電通が毎年2月に発表している「日本の広告費」によると、2016年の日本の総広告費は1.9%増の6兆2880億円だった。構成比は4マス媒体が45.5%、インターネットが20.8%、プロモーションメディアが33.7%となっている。

4マス媒体ではテレビが前年比1.7%増、ラジオが2.5%増となる一方で新聞は4.4%減、雑誌が9.0%減だった。電通の「単体の月次売上高」からも想像できるが、新聞・雑誌の衰退は今後も続きそうな雲行きである。その半面、インターネット広告は前年比13.0%増の1兆3100億円と二ケタの伸びを示している。

■Youtube、Instagramが成長領域

インターネット関連で拡大しているのが「動画広告」のニーズだ。特にYoutubeやInstagramなどの動画の間に挟まれるインフィード広告の伸びが高い。デバイス別では、従来のパソコン広告よりもスマホ向けの広告の伸びが上回っている。

インターネットやスマホが人々の生活形態を大きく変えたように、広告業界も大きな変革期にあるのかも知れない。「広告界のガリバー」と呼ばれた電通といえども、インターネット広告の成長を完全にキャプチャーできてはいないようだ。もっとも、電通の月次動向はあくまで単体の数字であり、同社はインターネット関連の売上は連結ベースが主だとしている。同社の単体の月次動向だけでは実態がつかみにくい点に留意すべきであろう。

広告市場は景気敏感産業だと言われてきた。しかし、大手広告主が、国内よりもグローバルに視野を広げている中で、電通の株価も日本の景気敏感株というよりも「世界景気敏感株」に変化する可能性も考えられる。ガリバー電通が時代のニーズにどのように対応するのか見守りたい。

平田和生(ひらた かずお)
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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