『勝手にふるえてろ』は2017年ベスト!ヌードより官能的な濡れ場表現を見逃すな!

『勝手にふるえてろ』は2017年ベスト!ヌードより官能的な濡れ場表現を見逃すな!

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  • 更新日:2018/01/13
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(C)2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

芥川賞作家・綿矢りさの同名短編小説を、松岡茉優主演で映画化した話題作『勝手にふるえてろ』。

公開以来ネットでの評価も非常に高い本作を、今回は地元のTOHOシネマズで1月1日元日の夜に鑑賞して来た。観客の注意を引くそのタイトルからは、いまいち全体像が掴みにくい本作だが、果たしてその内容と出来はどんな物だったのか?

ストーリー

24歳のOLヨシカは、中学時代の同級生のイチへ10年間片思い中!過去のイチとの思い出を脳内召喚したり、趣味である絶滅動物について夜通し調べたり、博物館から実物のアンモナイトの化石を払い下げてもらったりと、一人忙しい毎日。

そんなヨシカの前に会社の同僚で熱烈に愛してくれる「ニ」が突如出現!「人生初告られた!」とテンション上がるも、イチの存在のためいまいち乗り切れないヨシカ。

そんな中、ある出来事をきっかけに「一目でいいから、現在のイチに会って前のめりに死んでいこう」と思い立ち、同級生の名を騙り中学の同窓会を計画!ついに再会の日が訪れるのだが・・・。(公式サイトより)

予告編

映画と原作は別物、その大胆な脚色こそ本作の見所だ!

結論から言おう、これは面白かった!

何より上映終了後の観客たちの満足そうな顔を見れば、ネットの高評価も納得出来るというもの。

キャスト陣の演技、脚本、それに演出の全てが上手く噛み合った時、映画はこれほどまでに面白くなる!そんな基本的なことを観客に再認識させてくれる本作こそ、個人的に2017年公開の邦画ベスト1!新年1回目の映画鑑賞がこの作品から始められたことは、正に幸運だったと言えるだろう。

とにかくキャスト陣の演技が素晴らしいのは、鑑賞した皆さんが言われている通りだが、それ以上に見事なのが、今回脚本も担当された大九明子監督による思い切った脚色だ。

原作小説のままで撮っても、充分に女性の成長物語&ラブストーリーとして成立したであろう本作を、その見事な脚色により絶妙な笑いと、映画でしか成立し得ない描写を織り交ぜながら描き出す素晴らしさと言ったら!

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(C)2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

実は原作では、映画版ほど主人公は孤独では無いし、コミュ障でも無い。実際同窓会の場面でも、遙かに友人やイチとコミュニケーションが取れているし、会社を辞めた後も田舎の両親に電話で相談しているのだ。それに対して映画版では、主人公が日常で出会う人々との関係を通して、最終的に主人公の「絶望的な孤独」を表現することに成功している。

次々に登場する非常に個性的な脇役たちの中で、特に観客の印象に残るのはアパートの隣人「オカリナ」を演じる片桐はいりの強烈な個性だろう。

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(C)2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

ところが原作小説には、実はあの「オカリナ」も、ヨシカの日常生活に登場する個性的な人々も一切登場しない!と言ったら、おそらく原作未読で鑑賞された方は「えーっ!」と驚かれるのでは?

そう、当然映画終盤から展開する、主人公を絶対的な孤独に一気に突き落としながら、同時に観客の気持ちを一気に高揚させる例の「どんでん返し」も、原作には無い映画独自の脚色なのだ。

普通に考れば、これほど登場人物を新たに追加したら、作品全体の雰囲気とバランスを壊しかねないのでは?そう思うところだが、これが大九監督の手にかかると、もはやあのキャラ・あの展開無くして「勝手にふるえてろ」は考えられない、そう思える程にハマっているのが見事!

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(C)2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

正に原作と映像作品とは別物、どちらもそれぞれ素晴らしければそれでいい!今回見事な脚色で原作小説をねじ伏せた大九明子監督の手腕と、松岡茉優&渡辺大知の見事な演技の奇跡のコラボこそ、本作がこれほどまでに観客の支持と高評価を得ている要因なのは間違い無い。

原作小説を映画版が遙かに越えた代表例として、この「勝手にふるえてろ」は今後も観客の記憶に残り続けることだろう。

更にもう一つ、直接的な濡れ場が登場しない本作において、大九明子監督がラストに用意したのが、原作には登場しないヨシカの処女喪失を「裸にならないSEX描写」で見事に表現したシーン!

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(C)2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

原作にも登場する印象的な小道具「赤い付箋」を実に効果的に使いながら、服を脱いで裸で絡むこと無く、見事に男女のSEXシーンを表現した素晴らしさ!裸での絡みよりも遙かに官能的なこのシーンこそ、文句無く2017年のベスト濡れ場なので、ここは是非劇場で!

最後に

最近続々公開されている、人気マンガの映画化作品たち。しかし、残念ながら多くの作品が原作通りのビジュアルを再現することに重点を置くあまり、生身のキャストのコスプレ度ばかりが高くなり、結果的に観客の拒否反応と違和感が増大して失敗する傾向が強くなってしまっている。

それに対して本作の成功要因は、原作をどれだけ変更・脚色して更に面白くするか、その工夫と努力を惜しまなかった点にある。

敢えて原作と映画は別物として大幅な変更に踏み切ったその勇気こそ、これからマンガ・小説に限らず原作物の映画を制作しようとする人々への最良の成功例として、絶対に手本・参考にすべき物なのだ。

幸い上映劇場は、口コミで評判を聞きつけた観客で毎回満席の様子。これから次々に公開規模も拡大されるであろう本作を、まずは劇場でご覧頂ければと思う。

(文:滝口アキラ)

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