突然の大暴落の可能性も アベノミクスの下支え「官製相場」も終焉か

突然の大暴落の可能性も アベノミクスの下支え「官製相場」も終焉か

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  • 更新日:2017/11/14
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日経平均は約26年ぶりの高値となった(AERA 2017年11月20日号より)

兜町はバブルに浮かれ出したのか。日経平均株価はあっさりと「バブル崩壊後高値」を更新し、11月7日には1992年1月9日以来、約25年10カ月ぶりの高値だ。それでも「日本株のPER(株価収益率)は15倍台、89年のバブルピーク時の70倍にはほど遠い。まだまだ割安」と大手証券幹部は一層の株高を煽る。

暴騰の主役は外国人投資家だ。「9月上旬まで日本株を売り越していた外国人投資家が安倍・自民大勝で一斉に買いに転じた。政治ファクターに敏感な彼らにとって日本は最も政治的に安定した国。“アベ買い”が市場のコンセンサス」という。さらに好調な企業業績、世界同時好況、金融緩和の継続という3点セットが揃い、2万4千円台乗せも近いと見られている。

だがそんなユーフォリアは永遠には続かない。折しも11月は北海道拓殖銀行、山一証券が相次いで経営破綻した97年の金融危機から20年の節目。大暴落はある日突然訪れる。

一方で「官製相場」との見方も依然根強い。牽引するのはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を代表とする機関投資家の、俗にいう「クジラ買い」だ。ある市場関係者は言う。

「午前中に日経平均が下落すれば、必ず日本銀行によるETF(上場投資信託)の買いが入る」

日経平均などの指数に連動するETFを年間6兆円買い入れる方針を表明した日銀は、株価が軟調になれば買いに回る。これが市場に安心感を生み、株価上昇へとつながる好循環を生んでいるのだ。

ただ、日銀の布野幸利審議委員は8日、宮崎市内での講演で、株価について「PERが低いレベルにとどまっており、過熱状態にはない」とバブルを否定する一方、「日銀が買って株価を上げたということは事実としてない」と指摘。株高は世界経済の回復や投資家の動向、好調な企業業績を強く反映したもので、日銀によるETF買い入れについても「現段階で変更の必要性は感じない」と語っている。

だがすでに日銀のETF保有残高は20兆円を突破。日本株全体の3%超に達しており、「株価形成をゆがめている」との批判は強い。日銀の自己資本(8兆円弱)の3倍近いETF保有も異常だ。一旦、株価が下落に転じれば、あっという間に債務超過に陥りかねない水準なのだ。

さらにもう一方のクジラ買いの主役のGPIFの株式投資も限界に達しつつある。「ポートフォリオに占める国内株式の割合は9月末で24.35%、外国株式は24.03%まで上昇。内外株式の保有割合の基準は各25%で、ほぼ上限に近い」と市場関係者。要はアベノミクスを下支えした「官製相場」が終わりに近づいているのだ。

外国人投資家の日本株買いにしても、いつまで続くか予断を許さない。世界的に株高が進む中、低金利も継続し、債券相場が堅調に推移。株高と債券高が共存する世界は一面では異常だ。グリーンスパン元FRB(米連邦準備制度理事会)議長は、中央銀行が政策金利を引き上げても長期金利が低いまま続くこの現象を「コナンドラム(謎)」と呼んで懐疑した。

先進国が低成長下にありながら株価は高騰する主因は「高圧経済」と呼ばれる過剰なまでの金融緩和にあるとされる。要は供給を上回る需要を中央銀行がマネーの供給によって人為的に作り出しているだけなのだ。

その構図はいつ反転するのか。過剰な金融緩和の本尊、米中央銀行のFRBでは、来年2月にイエレン議長に代わり、パウエル理事が新議長に昇格する。ハト派で利上げや量的緩和の縮小に慎重とみられるパウエル氏だが、議長としての手腕は未知数だ。今年は米国の株価暴落「ブラックマンデー」からちょうど30年。もう一度言う。危機はいつも突然、訪れる。(経済ジャーナリスト・森岡英樹)

※AERA 2017年11月20日号

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