命にかかわる「ニセ薬」横行!医師処方・調剤薬局の正規購入でも危ない

  • J-CASTニュース
  • 更新日:2017/09/15

医師の処方で調剤薬局から受け取った薬をニセ薬と疑う人はいないだろう。ところが、正規の薬局で購入した1本150万円もするC型肝炎治療薬が、ビタミン剤だったということが現実に起こった。正規の流通ルートにニセ薬が紛れ込んでいたのだが、国際的な犯罪組織が偽造薬の取り締まりがゆるい日本をターゲットにしているという。

奈良の70代女性はC型肝炎治療薬「ハーボニー」を飲もうとして、錠剤の色や形がいつもと違うのに気づいた。薬局に問い合わせたところ、ただのビタミン剤とわかった。薬局がさらに調べると、ほかにもニセ薬が5本も発見された。いずれもボトルがむき出しのままだった。

製薬会社によると、ハーボニーは説明書とともに箱に入れられて販売され、ボトルがむき出しのままというのはあり得ない。容器はすべて正規の製造番号が入った本物だった。犯人は使用済みの容器を何らかの方法で入手し、ニセ薬を入れて封をしたとみられている。

中身はビタミン剤だった1本150万円のC型肝炎治療薬

通報で東京都が流通ルートを調べたところ、東京都内の薬の現金問屋5社が関わっていたことが判明した。「個人から購入していた」と話している。ニセのハーボニーが入ったボトルが、さらに10本が見つかった。

現金問屋の一人はこう証言する。「売りにきたのは若い人ではなく普通の男性で、関西風でしたね。薬を持ち込む人は毎回違っていて、C型肝炎の特殊な治療薬なので薬局か病院関係者と思いました。買い取りの条件として、『秘密厳守』となっており、私の方では身元を尋ねるのを控えました」

薬剤の現金問屋は病院や薬局に薬を売る一方、病院から薬を買い取る場合がある。病院の薬販売には許可を取る必要があるが、有効期限切れが迫り、不良在庫を抱えたくない病院は、早く処分するために個人名で現金問屋に持ち込むのだ。当然、「秘密厳守」で、ニセ薬はこの盲点をうまく利用されたと言える。

世界中の偽造薬を分析・研究している医薬品セキュリティー研究会理事の谷本剛・薬学博士は、「日本でもとうとう出てきたかというのが実感です。薬には安全神話があったが、それが崩壊し、信頼が失われるのではないかと懸念しています」と訝った。

国際犯罪組織が取締り甘い日本に狙い

インターネットによる薬の輸入が増えているが、育毛・養毛剤、ダイエット薬、抗うつ薬に偽造薬が蔓延しており、とくにED(勃起不全)治療薬「バイアグラ」は深刻な状態だという。大手製薬会社が調査したら、ED治療薬の4割が偽造薬だった。ネズミを殺す薬が含まれているものもあったという。

その背後に国際的な犯罪組織の暗躍が指摘されている。WHO(世界保健機関)の調べによると、偽造薬の市場規模は約750億ドル(約8兆円)に達しているという。

谷本博士は「麻薬や覚せい剤は厳しい規制がかかっていますが、偽造薬は医薬品の扱いになるので規制が甘いんです。うまく市場に乗せれば、資金源になります。偽造薬が流通しない仕組みを日本はまだ確立していない。医薬トレーサビリティ(薬の流通を追跡する仕組み)を早く確立することが抑止力になります」と指摘している。

肝臓薬や抗がん剤など命にかかわる治療で、医者も患者も知らないうちに何の薬効もないものを飲まされていたら、たちまち死につながる。厳重な取締りを急げ。

NHKクローズアップ現代+(2017年9月13日放送「広がる"偽造薬"リスク あなたの薬は大丈夫?」)

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