先送りされた「米債務上限問題」最悪のシナリオは?

先送りされた「米債務上限問題」最悪のシナリオは?

  • ZUU online
  • 更新日:2017/09/17

米連邦政府には、「この金額以上は、お金を借り入れたらダメ」という、米連邦議会が定めた債務上限がある。米政府の「信用与信枠」のようなものだ。

この上限をめぐり、財政引き締め派の共和党と「債務上限の撤廃」を唱える民主党がしばしば対立して、連邦政府機関の一部閉鎖や、さらに深刻なデフォルト(債務不履行)が引き起こされる懸念が続いている。今回は9月末に債務上限超過が起きて、米国は債務不履行に陥ると心配されていた。

ところが、トランプ米大統領は9月6日、共和党指導部や議会共和党を飛び越して敵の民主党と手を結び、債務上限を3か月間の限定付きで引き上げ、米政府の「貯金箱」が空っぽになることを防ぐという荒技をやってのけた。そうして、次の債務上限期限を、9月末から12月8日以降に先送りしたのである。

名目上は、超大型ハリケーン「ハービー」と「イルマ」の災害対応のための超党派協力ということになっているが、共和党員であるにもかかわらず、財政支出拡大を気にしないトランプ大統領の柔軟さが表面化した形だ。米メディアでは、「民主党指導部に一足早いクリスマスプレゼント」などと評されている。

しかし、問題は先送りされたに過ぎず、特に共和党などのプレーヤーの動き次第では早ければ12月、米政府の「臨時措置」と呼ばれるやりくりの裏技を使ったとしても、来年3月から4月に再びデフォルトの危機が浮上する可能性がある。この問題の行方は、どこなのか。探ってみよう。

■デフォルトで何が起きるのか

新債券王こと投資運用会社ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)は、9月8日に米財政赤字が20兆ドルを超えたことに関し、債務上限引き上げは行うべきでなかったとして、トランプ大統領を暗に批判した。

ガンドラック氏はツイッターで、「米政府の債務が、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和で助長され、ついに20兆ドルに達した。なのに、債務上限が撤廃される。1913年にFRBが創設された際に危惧されたとおりのことだ」と嘆いた。

米政府の借金が巨大化するなか、償還期限を迎える国債の元本や利子が支払えなくなるデフォルトに陥れば、世界経済が崩壊するほどの大きなショックが走ることが予想される。『ワシントン・ポスト』紙の予想は、恐ろしいシナリオを示す。

まず、米政府の信用に保証された国債への信用が失われ、債券と株式市場が大荒れとなる。また、米政府が「AAA」という最高の信用格付けで得ている、低金利での借り入れ能力が失われる。

最も怖れるべきは、米国が享受する世界的な力に傷がつき、これらが相まって世界的な景気後退を引き起こす心配があることだと、同紙は断言する。そうなれば、米経済だけでなく世界経済と密接につながった日本の株式市場が、想像もできない下落を演じる可能性がある。

一方で、「安全資産」とみなされる円が買われ、急激な円高となって日本経済を直撃する恐れがある。また、日本は中国に次いで米国債の保有が多い国であり、デフォルトで支払いの序列の下位に置かれた場合、連想で日本政府の信用まで毀損する可能性さえある。

■過去のデフォルト危機との違い

一方で、今回の債務上限引き上げ問題は、過去のデフォルト危機とは多くの面で異なる。米経済は堅調であり、2008年に発生した金融危機からの回復局面にあった民主党オバマ政権時代に比べると、市場の不安心理は和らいでいる。

債務上限問題への対処法も異なる。民主党が政権を握っていた2013年は暫定予算の成立が遅れ、連邦政府機関の一部が実際に16日間にわたって閉鎖された。この時は、今回のように債務上限を引き上げるのではなく、債務上限を一時的に適用停止してデフォルトを防いでいる。一方、2014年からは今回の処置と似た債務上限の暫定延長などで資金繰りが行われた。さらに2015年には再び「一時適用停止」が行われている。

今回は、共和党が政権を支配しているが、民主党と結んだ共和党のトランプ政権が、共和党指導部や議会共和党と対立するという、興味深い「ねじれ」が生じている。

トランプ氏は2000年代の一時期、民主党に鞍替えしていたこともあり、経済面ではリベラルな価値観も尊重し、ライバル政党と協力できる領域を見出すことができる。特に、政府によるインフラ支出や債務上限の引き上げなど、共和党伝統の「小さな政府」に反する政策では、民主党と話が合う。

とはいえ、トランプ大統領には、民主党とは相容れない主義主張がある。「米墨国境の壁」の建設予算を、予算や債務上限引き上げ審議に絡める姿勢がそれだ。トランプ大統領は8月に、「壁を建設する予算を確保できなければ、連邦政府機関の一部閉鎖も辞さない」と演説しており、この考えを国費の無駄遣いだとする民主党側が同意する余地は少ない。

つまり、12月から4月に起こる債務上限引き上げが失敗し、米国がデフォルトに至る最大の不確実要素は、トランプ大統領その人であり、国境の壁へのこだわりなのである。これは特筆すべき、過去のデフォルト危機との違いだ。

■予断を許さない情勢

加えて、デフォルト危機は1回だけでなく、民主党との「休戦」が解ける12月と、実際に米政府の債務が上限に達する3〜4月の2回も山場があるかもしれない。

こうしたなか、トランプ政権が年内にまとめようとしている税制改革が、民主党との「3か月の休戦」でかえって困難になったとの声がある。トランプ大統領は、法人税率を現行の最高35%から15%に引き下げ、企業による雇用や投資を促進して、米経済の成長を加速させたい考えだ。だが、3か月という期間は、このような抜本的な改革の審議には短すぎるというのだ。

スティーブ・バノン前首席戦略官は、「税制改革は来年に持ち越されるだろう」との見立てを披露した。「休戦期間」が切れた来年には、再び政権・共和党・民主党がそれぞれの立場を先鋭化させ、2018年11月の中間選挙に向けた論争を始めるため、改革が犠牲になりかねない。

税制改革が成立しなければ、市場はかんしゃくを起こす。そうしたなか、3月から4月に再びデフォルト危機が襲う。こうした最悪のシナリオが、可能性として残るため、投資家にとっては予断を許さない情勢が続きそうだ。(在米ジャーナリスト 岩田太郎)

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