93年日本Sの“伝説のバックホーム” 飯田氏語る野村の教え「直感を信じろ」

93年日本Sの“伝説のバックホーム” 飯田氏語る野村の教え「直感を信じろ」

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  • 更新日:2020/09/16
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90年代ヤクルト黄金期を支えた飯田哲也氏(左)と川崎憲次郎氏【写真:荒川祐史】

ヤクルト黄金期を支えた2人が選ぶ「90年代最強ヤクルトベストナイン」外野手編

4度のリーグ優勝に、3度の日本一。ヤクルトが黄金期を迎えた1990年代、主にチームを率いたのは野村克也監督だった。その野村監督の下でクローザーを務めたのが、今季から指揮を執る高津臣吾監督だ。黄金期の遺伝子を現代に伝える高津監督とチームメートとして戦った2人がいる。それが、不動の中堅手だった飯田哲也氏と、1998年に沢村賞に輝いた川崎憲次郎氏だ。

黄金期を語る時に欠かせない2人は、今でも「てっちゃん」「憲次郎」と呼ぶ親しい仲間。息もピッタリな2人が「Full-Count」の特別企画に参加し、「90年代最強ヤクルトベストナイン」を選出してくれた。爆笑対談の末に、2人が選んだ最強メンバーとは?

最終回は外野手編だ。

◇ ◇ ◇

川崎「90年代のレフトって誰がいるんでしょう?」

飯田「90年代は若松(勉)さん」

川崎「ワカさん?」

飯田「小川淳司さん」

川崎「あ、(出囃子だった)インディー・ジョーンズのテーマが鳴り響いた……」

飯田「杉浦(享)さん。杉さんはライトか?」

川崎「ファーストのイメージがありますね。ワカさん、レフトでしたっけ? だったらワカさんじゃないですか?」

飯田「でも、一緒にやったのは、もう若松さんが代打の時代だから。若松さんが代打で出て、俺が代走というパターンだったの、当時は。代打の神様的な感じだったんだよね」

川崎「だって、40(歳)超えてましたよね。僕らが一緒にやらせてもらった時は。」

飯田「俺は荒井(幸雄)さんの印象の方が強いかな」

川崎「そうですね。一緒にやらせてもらったという意味では。やっぱり(93年)日本シリーズのファインプレーがずっと(残っている)」

飯田「ライナー性の(打球)ね。転んだのか、捕ったのか……(笑)」

川崎「どっちなんだ!って。『捕ったから、ま、いいや、ナイスプレー』って、あの緊張感ある場面でそういうことを言っていた(笑)」

飯田「他に誰かいる? 荒井さんでしょ」

川崎「ホージーじゃないことは確かです(笑)」

注目の中堅は…飯田「自分じゃ言えないでしょ(笑)」 川崎「本当に助けられました」

飯田「センターは1人しかいないから」

川崎「橋上(秀樹)さん……」

飯田「城(友博)でしょ、城」

川崎「真中(満)……。真中はいい選手ですよ。でも、その上がいるでしょ。城友博、橋上秀樹、もう1人いるでしょ」

飯田「自分じゃ言えないでしょ(笑)」

川崎「言えって、自分じゃ言えないから(笑)。もう、飯田様です」

飯田「もう確定です。ありがとうございます。俺の魅力は憲次郎がよく知っている」

川崎「知ってるけど、もう自分で言っちゃった方が良くないですか?(笑)」

飯田「凄いところは守備ですよ。その当時は誰にも負けない自信はありました。イチローくんが凄いとか、新庄が凄いとか言ってましたけど、負けるわけはないと思っていました」

川崎「守備範囲が横も広かったし、高さもありましたよね」

飯田「それは憲次郎に語ってもらわないと。なんぼ助けたか」

川崎「本当に助けられました。要するに塀を上っていくんだけど、昔の広島市民とかナゴヤ球場とかだと分かるんですよ。ラバーがあって、その上はフェンスの金網だったんで、足を掛ければ上れるんだけど、東京ドームで毎日練習しているんですよ。ラバーなのにどこまで上れるかって。むしろ、捕球とかよりは壁上りの練習をずっとやってた(笑)」

飯田「捕ったことはないですからね。飛んでいたイメージだけですよ」

川崎「人の倍以上はあるから5メートルくらいはあるのかな。ホント届いてましたよね、あそこ」

飯田「着地のことは本当に考えてなかった。怪我もしてませんしね。大丈夫じゃないですか」

川崎「人間じゃねえなと思いました(笑)。同級生とかに『サル吉』って呼ばれてましたよね」

飯田「お前も呼んでたじゃないか」

川崎「俺は呼んでない。先輩にそんなこと言えるわけないじゃないですか(笑)」

飯田「あんなことやる選手いなかったもんね。壁に上って」

川崎「いない、いない。そもそもできないですよ」

飯田「みんな真似してましたよ、できてないけど(笑)。できないけど、壁上ろうとしていたよね」

川崎「絶対できないですよ、あんなの」

飯田「最初、壁に足を2歩かけるんですよ、ポンポーンって」

2人が「スーパーバックホーム」と絶賛する93年日本シリーズ第4戦の奇跡

川崎「でも、飯田さんと言えばあれですよ。93年(日本シリーズ第4戦で)のスーパーバックホームね。あれ。もう僕の中では、もうあれ以上はないんですよね」

飯田「だって、あれでMVPだもんね、憲次郎は。本当にそれは俺のおかげですよ。御礼は何もないです」

川崎「いや、ベンチに帰った時に『ありがとうございます』って言ったじゃないですか(笑)」

飯田「もちろん、そんなの欲しいとは思ってないですよ、実際。憲次郎が泣いてたから、良かったって」

川崎「いや、あれは本当に凄かったですね。絶対にセーフだと思いましたもん」

飯田「(自分にとって)あれは本当にプロ野球でベストプレーだと言っていいくらい」

川崎「あんなの奇跡ですよ。俺が投げて、(鈴木)健さんに打たれて、飯田さんが(打球を)捕るじゃないですか。あの時、セカンドランナーが笘篠兄(誠治)だったんです。サードベースを回った時のタイミングを見たら、どうしたってセーフだったんですよ。もうダメだと思って。それでも(本塁の)バックアップを守っていたんだけど、そうしたら(中堅から返球が)バシャーって来たからウワーッと思って。凄かった。『うぇ、これがアウトなんだ』って。誰もが、90何パーセントの人が絶対セーフだと思ってましたよ」

飯田「あんまり自分のこと褒められないんで(笑)、宜しくお願いします」

川崎「その時の心境を教えて下さいよ。例えば、ベンチからのサインはどうだったんですか?」

飯田「(走者は)二塁の単独なんで、ベンチからの指示は『前に来い』よりは『定位置』。だけど、風が逆になったんだよね。なので、もう僕は前に出ていったんですよ、結構。だから、(打球が)センター前に飛んで来た時に、ちょっと受け身で行っちゃった。ちょっとバウンドが合わなくて、これはちょっとヤバいなって思ってノーバンで投げたんですけど、間一髪。ちょっと一塁側に逸れたんですけど、うまく古田さんがカバーしてくれた」

川崎「もう絶対セーフだと思ったんです。それなのに、アウトにできたって奇跡。俺の中ではもうスーパーバックホーム」

飯田「ベンチに帰って来る時、うれしくてうれしくてしょうがないよね(笑)。人生イチの笑顔。もう出ない(笑)」

川崎「いや、何がすごいって、このプレー、完全にベンチのサインを無視しているんです。このシリーズって第4戦、第7戦ってサイン無視で勝っているんです。第7戦は古田(敦也)さんのギャンブルスタートで。多分、偶然もそうなんだけど、勘が当たった」

飯田「そうだね。勘が当たった。勝負に勝ったっていうかね」

川崎「前に言っていたじゃないですか。データはあくまでデータだ、と。だけど、ノムさんが『直感を信じろ』って」

飯田「そう『直感を信じろ』って言葉があって、セオリーじゃないことをしたんですよ。それがハマったんですよ。これ、取られたら負けるな、守り切らなきゃなって思ったんです。この1点を。結局1-0で勝つんで、本当に勝負してよかった。だって、追いつかれたら、向こうのピッチャーは潮崎(哲也)、杉山(賢人)さん、鹿取(義隆)さんって鉄壁。勝つ要素がないんですよ。こっちはもう、高っちゃん(高津臣吾)しかいないんで。だから、追いつかれたら負けだっていうのはあったんで勝負できたんです」

川崎「93年の話は盛り上がりますよ。第7戦までありますからね」

飯田「このプレーは残してほしい。ずーっと語り継いでほしい」

右翼は意見が一致「稲葉かな」 飯田が明かす守備の成長

飯田「ライトは稲葉(篤紀)かな」

川崎「そうっすね。稲葉っすね」

飯田「稲葉しかいないな」

川崎「そうですね。土橋(勝征)さんも守ってましたけどね」

飯田「95年の日本シリーズ(第2戦)か。(稲葉が福良淳一の打球を)スリーベースにしちゃったの。知らない?」

川崎「そんなのありましたっけ」

飯田「それでノーアウト三塁になって、山部(太)が頑張ってゼロで抑えた」

川崎「95年って(相手は)オリックスか」

飯田「イチローが全然打てなかったシリーズ。(稲葉は)最初は守備がホントに下手くそで。元々ファーストの子なんで、そこを外野に来て全然ダメだったんですよ。徐々にうまくなりました」

川崎「今では侍ジャパンの監督ですよ」

飯田「超レジェンドですよ。北海道で選挙出たら当選するでしょ、アイツ」

川崎「どうでしょうねぇ?(笑)」

飯田「北海道知事とかなれるでしょ。ジャパンもすごいですけど、道民は願っているんじゃないですか。ハムの監督にもなってほしいでしょうね。願っていると思います」

川崎「栗山(英樹)さんもいたなぁ」

飯田「センターね(笑)」

川崎「ま、いいっすよ(笑)」(佐藤直子 / Naoko Sato)

佐藤直子 / Naoko Sato

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