「ハリポタ」の次がなぜマリオ?ユニバーサル・スタジオ・ジャパン経営の裏舞台

「ハリポタ」の次がなぜマリオ?ユニバーサル・スタジオ・ジャパン経営の裏舞台

  • bizSPA!フレッシュ
  • 更新日:2022/01/15

コロナ禍の影響を大きく受けた日本国内のレジャー施設では、やむなく閉園を発表した施設もあり、惜しむ声が後を絶たない。日本の2大テーマパークのひとつであり、2021年に20周年を迎えたユニバーサル・スタジオ・ジャパンも来場者数の減少や感染症対策による来場者制限などにより同じく苦境に立たされていた。

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20周年限定「NO LIMIT! ツリー」 画像提供:Universal Studios Japan TM & © Universal Studios. All rights reserved.

そこで今回は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのコロナ禍への対応や感染症対策、安全への取り組みのほか、アトラクション展開までの紆余曲折などを合同会社ユー・エス・ジェイのマーケティングコミュニケーション部長である山本歩氏に話を聞いた。

オープンから現在までの紆余曲折

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「鬼滅の刃 XR ライド」エリア 画像提供:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

2001年にオープンしたユニバーサル・スタジオ・ジャパン。オープン当初はハリウッド映画に関するアトラクションのイメージが強かったが、現在は日本で人気のあるアニメやキャラクターもパークを盛り上げる。

「2001年にオープンした当初はPOWER OF HOLLYWOODをテーマに、若い方を中心にしたアメリカのやり方で運営していました。けれど日本は、海外のマーケットと消費者ニーズが違っていたためターゲット層を変更。独身女性や4~11歳の子供を持つお母さんが中心になるだろうということから、ファミリーエンターテイメントという方向にシフトしました。

ユニバーサル・ワンダーランドというファミリー向けのエリアをつくり、映画だけにこだわらずアニメやキャラクター、マンガやゲームを展開。なかでもハリー・ポッターが大きなエポップメイキングとなり、大きくビジネスを伸ばしました」

なぜハリー・ポッターの次が「マリオ」?

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画像提供:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン ©Nintendo

関西方面ではオープン当初より人気のあったユニバーサル・スタジオ・ジャパンだが、関東方面から認識・注目され、大きくビジネスが変化しはじめたのは、ハリー・ポッターがキッカケだったのだとか。その後も、ナイトパレードやミニオンなど強いコンテンツを定期的に展開。こうした戦略が功を奏し、2017年には過去最高の約1,600万人もの来場者数を記録した。

2015年からは「スーパー・ニンテンドー・ワールド」のプロジェクトが開始。当初は2020年のオリンピック開催に向けてオープン予定だったが、新型コロナの影響などもあり2021年3月18日にオープンとなった。

「ニンテンドーのマリオは、ゲームとして販売されてから2021年で36年。長い期間経っていて、いまの子供から40~50代までの大人が楽しめる内容になっています。世界観がしっかりしていて、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが考える『クオリティが高くて、みんなが伸び伸び刺激的に、そして元気に楽しめる』という趣旨にマッチしていたからです」

任天堂の宮本茂氏も毎月のように来園

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スーパー・ニンテンドー・ワールド 画像提供:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン ©Nintendo

また、世界的に高い評価を受けているマンガやアニメ、ゲームや音楽など複数ジャンルを現実のものへと再現するイベント「ユニバーサル・クールジャパン」など、リアルな世界の再現には定評と実績のあったユニバーサル・スタジオ・ジャパン。しかし、マリオの世界観を維持しながらのリアルな展開は難を極めた。

「ゲームの世界を現実に持ってくるためのテクノロジーの問題については、『ユニバーサル・クールジャパン』などで新しいキャラクターをゲーム化するといったノウハウがありました。また、AR技術を使ったものやランクアップしたアトラクションを作ることは、我々が得意とする分野だったのです。

ただ、キャラクターなどの世界観をしっかり守ること、ファンの方に『こんなんじゃないよ』と思わせないために、いかに世界観を作り上げるかということが非常に苦労した点です。マリオの生みの親であり、スーパー・ニンテンドー・ワールドの監修者でもあった宮本茂さんは毎月のようにパークまで足を運んで、造形物のクオリティだったり、キャラクターのサイズや動きだったりをチェックしてくれました」

コロナ禍によるメリット・デメリット

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20周年限定「NO LIMIT! ツリー」 画像提供:Universal Studios Japan TM & © Universal Studios. All rights reserved.

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは世界中のベンダーを使っていたため、現地で確認すべきことがオンラインでおこなうことになるなど、コミュニケーション面での苦労が大きかったと山本氏。

「また、2020年の1月に発表会をしてニューヨークでスーパー・ニンテンドー・ワールドのイベントをおこない、そのイベントの当選者を日本に招待するなど、開業に向けての盛り上げ施策をいくつも用意していました。けれど、コロナ禍の影響で準備していたことが次々と中止に。オープンもズレ込んで、2021年3月18日となりました。

コロナの感染拡大では大きなあおりを受けましたが、悪かったことばかりではありません。アトラクションの最終的な微調整というのは本当に難しいものですが、コロナの影響でクローズした期間にスーパー・ニンテンドー・ワールドをしっかりと作り込むことができました。

また、ライドを乗せるときや食事をサーブするときの準備などのサービス面なども高水準まで持っていくことができたのです。エリア全体やアトラクションの面白さもありますが、こういった他では体験できない心と心のつながりを創り出すサービス面の高い評価が、過去最高クラスの満足度につながっています」

コロナ禍による苦境と運営方針について

コロナ禍によるメリットについても語ってくれた山本氏だが、キャパシティが小さくなり、売り上げは非常に厳しい状況にあると言う。

「運営は厳しいですが、ゲストの安全が第一です。安心して楽しめるというのは私たちにとって根本的なことなので、ソーシャルディスタンスを守り、保健所や大阪府と常に連携を取りながらガイドラインに沿った運営をおこなっていくことに変わりはありません」

とにかく「お客様の安全を第一に考える」運営方針のユニバーサル・スタジオ・ジャパン。しかし、2021年10月下旬には大阪市の停電が原因でジェットコースターが停止し、11月下旬には営業終了後のアトラクション内でボヤ火災が発生。一時はファンをやきもきさせた。

「大阪府で停電が起こっていくつかのアトラクションは停止しましたが、安全のために停止しました。もし停止せずにあのまま動いてしまうと追突して危険な状態につながるため、むしろ停止は安全の象徴なのです。また、危険ではなく安全な状態で止め、安全に脱出するといったことが重要だと考え、策を講じています」

リピートするほど深い体験に

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画像提供:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは「リピートしても、いつ行っても楽しい場所」を目指している。そのため「スーパー・ニンテンドー・ワールドではパワーアップバンドを購入すれば、コインやデジタルスタンプを貯めることで成長し、クッパジュニアJr.と戦う特別な体験ができる」など、リピートすればするほど深い体験ができる初の仕組みも取り入れられた。

「毎年1~2月のはじめに開催している『ユニバーサル・クールジャパン』も、そういった考えのもと企画しています。コロナ禍によってさまざまなアプローチもチャレンジしていこうという若い社員たちのアイデアによって、2021年11月23日にはオンラインホラーイベント『呪われたオンライン・パーク・ツアー』も開催しました。

ユニバーサル・スタジオのテーマパークは世界に5つありますが、日本ならではの、日本に来るための理由になる、日本が誇れるパークにしたいと考えています。また、経済が停滞している日本に希望を与えるという意味でも、日本発信の強いコンテンツを選んでいます」

コロナ禍のあおりを受けながらも、夢と希望を与え続けてくれるユニバーサル・スタジオ・ジャパン。華やかな舞台裏を支えるスタッフたちの努力や苦労も噛みしめつつ、アトラクションレストラン、ショッピング、そしてクルーたちとのコミュニケーション心ゆくまで楽しみたいものだ。

<取材・文/山内良子>

【山内良子】

フリーライター。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意です

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