「やっと辞められた...」親主導で進めた習い事に子どもの本音、適性と辞め時をどう見極める?

「やっと辞められた...」親主導で進めた習い事に子どもの本音、適性と辞め時をどう見極める?

  • eltha
  • 更新日:2023/01/25
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親子で取り組む幼児教室は親同士の繋がりを持てる場にもなっている

言われるがまま幼い頃から続けてきた習い事。「やっと辞められた…」と本音をもらす我が子に衝撃を受けたという保護者の投稿がSNSで反響を集めていた。本当は自分に合わないと感じていても、親が喜んでくれるからと顔色をうかがい、親は子どもが出すサインを見抜けない。習い事を開始するタイミング自体も年々早まり、0歳から通える教室も増えている。習い事の低年齢化が進み、過熱することで起こる弊害もある。習い事の内容や方法をどのように考えることが真に子どものためになるのか悩む親も多いはずだ。

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■共働きで地域の両親学級に参加できない…親同士のつながりを築ける場として機能

話を聞いたのは、英語教育を専門に手がけるラボ教育センターの竹内美貴子さん。近年は特に習い事のバリエーションが増え、始める年齢も早まってきているのを感じるという。なかでも特徴的な傾向として語ってくれたのが、こんなケースだ。

同社の英語スクール「ラボ・パーティ」では0~3歳のクラス(親子で参加)を設けているが、「近年、育休中に通う人が増えている」というのだ。グローバルリーダー育成が叫ばれ、一刻も早いうちから英語に触れさせたい思いが強いのか? と思いきや、理由はそれ以外にもあった。

「働いていたために地域の両親学級に参加できず、居住地の界隈にお友達がいないということで、育休中に子育ての仲間が欲しくて、早い人では3ヵ月のお子様と一緒に通われるお母さまもいらっしゃいます。クラスの中には、第2子と通われている先輩ママさんもいますので、子育てに関する相談事はもちろん、幼稚園や小学校の情報が聞けるなど、親同士のつながりを築ける場としても大切にされていらっしゃるのかなと感じています」

近年、0歳から通える習い事は増えているが、竹内さんは「選び方を間違えると、逆効果」と断言する。

「英語教育においては、早くから触れれば耳が慣れますし、英語に対する垣根もなくなります。でもやり方によって、早くから始めたことでむしろ英語が嫌いになってしまうこともあるんです。他の習い事の場合も同様です。例えば、保護者が一緒に参加できない教室もあります。子どもが中で泣いていたとしても、親は状況がわかりません。

何より、0~3歳の習い事は、親子で一緒に楽しい時間を過ごす場として考えることが大切です。子どもは幼稚園に入園する前までに親子で十分に触れ合って、心が安定していないと、新しい環境に踏み出す準備ができずに親から離れていけません。0~3歳の習い事は、その準備をする方法のひとつと考えるべきだと思います」

■目的は「才能を伸ばすことだけではない」、学習効果はあくまでも副次的産物

さらに、幼稚園、小学校の年代になっても、習い事の一番の目的は「才能を伸ばすことだけではない」と竹内さん。

「どの習い事にも共通して言えるのは、子どもにとって一番のメリットは、普段接することのない人と出会って、コミュニケーションする機会が増えることです。以前、数学のチャンピオンになった男子高校生がインタビューで、『僕は別に数学が好きだったわけじゃない。大会に行くと、新しい人に出会ったり、前の大会で知り合った人と会えるから、それを楽しみに頑張っただけです』と応えていましたが、そういうものだと思います。人と会って刺激を得ることで、語彙力が増え、主体性や自主性も身につきます。そういう体験をさせることこそが、結果、将来の学習の役に立つんです」

「〇〇の能力をつけさせたいから」「どこに才能があるかわからないから」という理由で習い事を考える人もいるだろうが、知識やテクニックを身につけさせるよりも、内面の力をつけさせることが習い事の意味ということだ。

この考えは、これからの時代に求められる力を養うことにも通じている。2017年に文部科学省が示した新たな「学習指導要領」では、これまでの「ゆとり」でも「詰め込み」でもなく、自ら学び、自ら考え、他者と協働しながら学びを深める「主体的・対話的で深い学び」が重要視されている。竹内さんも言う。

「これからはAIがますます台頭し、英語は機械が代わりに話してくれるようになるでしょう。そういう時代に人間に必要になるのは、新しい発想やアイデアを生み出し、コミュニケーションする“人間にしか持てない力”です。英語でいえば、たくさん英単語を覚えさせることよりも、バックボーンが違う人たちの中で相手の立場を尊重しながらコミュニケーションできる力を養うことの方が大切ということです。これはスポーツでも同じではないでしょうか。

一生懸命頑張ってきたのに、ケガで続けられなくなって心が折れてしまうケースは多々ありますが、そのような時にどう考えられるのかが重要です。やはり幼い時期の習い事は、上達や人と競うことを一番の目的にするのではなく、自ら創造したり、人と関わりながら何かを成していくチャンスを与えることが、子どもの将来の役に立つのだと思います」

■習い事の辞め時は?「親が通わせることに決めたなら、やめさせないのが基本」

具体的に何を習わせるか、いくつ習わせるかは、各家庭の考え方や事情、子どもの希望によってさまざまだが、いずれにしても、竹内さんは「親が“こういう子に育ってほしい”というビジョンをしっかり持って選ぶことが必要」とアドバイスする。

「お友達がやっているからうちも遅れずにやらなければとか、費用が安いからとか、送り迎えがラクだからというような大人の都合や、なんとなくこれからの時代、英語ができたほうがいいんじゃないかというような明確な答えがない状態で決めると、長続きしません。私も親御さんと話をするときは、『どんなお子さんに育てたいですか?』と必ず確認をしていました。親が明確なビジョンを持って、教室を見学し、しっかり選ぶことが何よりも大切だと思います」

そのうえで、「親が通わせることに決めたなら、やめさせないのが基本」と竹内さん。

「嫌だといえばすぐにやめさせてもらえるという姿勢を身につけるのはよくありません。ただ、やめたいと言われたときはその理由を親がちゃんと見極めることも忘れてはいけません。先生が嫌い、嫌な友達がいる、宿題が多い、『自分がいない間、おうちで美味しいものを食べているんじゃないか』と考えている、ピアノよりスポーツがやりたい、遊びを優先したいなどなど、子どもがやめたいと言う裏にはいろいろな事情があると思います。聞いても、その理由を子どもはきちんと伝えられない場合もあります。そういう時は習い事を見学することで、子どもの真意に気づくきっかけをつかめます。先生が嫌なら変える、宿題が嫌なら親子で一緒に取り組むなど、対処することも必要です。親の教室の選び方が間違っていた可能性もあるかもしれませんので、その場合は、次につなげるためにも、何が間違っていたのか、選択ミスをきちんと検証したほうがいいでしょう」

習い事を楽しく続けるためには、「日頃から親が関わることも大切」と竹内さん。

「結果的に、習い事の教室まで送り迎えをしているだけになってしまうケースがあります。預けっぱなしにするのではなく、今日は何をしたのか、来週はどうするのかなど、子どもが前向きに習い事に取り組めるように寄り添ってあげることも大切だと思います。親の『がんばってるね』のひと言で子どもの意識は変わったりしますし、常日頃、寄り添っていれば子どものサインも見えますからね」

最近では、プログラミング教室や、英語だけの環境を与えてくれる学童保育も登場するなど、ますます多様化、細分化が進んでいる子どもの習い事。まわりに流されるのではなく、親には、習い事に対するしっかりしたビジョンと、習い事に励む子どもに寄り添う姿勢が求められているようだ。

(取材・文/河上いつ子)

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