現在の主流は「ケースに入れる」 グラブを遠征バッグに入れなくなった理由

現在の主流は「ケースに入れる」 グラブを遠征バッグに入れなくなった理由

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  • 更新日:2021/02/21
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現在はグラブをケースに入れて持ち運ぶのが主流に【写真:荒川祐史】

野球少年少女にも伝えたい、専門家に聞く道具の向き合い方【グラブ編】

時代は流れ、野球道具の種類やケアの仕方も変わってきた。中学生、高校生の球児の中にはグラブを専用のケースに保管、移動している選手も多く見られ、プロ野球では主流となっている。専門家に聞くと、形崩れによる捕球ミスを防ぎ、何よりも革が長持ちするという利点があるという。【楢崎豊】

前回、紹介した折れたバットの使い道に続き、元巨人の選手でスタッフとしてチームを支えてきた大野和哉さんに話を聞いた。長年、NPB球団で用具担当などを務めた“裏方のプロ”によると、プロ野球の世界では、最近10〜15年の間で、グラブの運び方に変化があったという。

「昔はボストンバッグの中にグラブ、スパイクを一緒に入れていましたが、最近はグラブを別にして運ぶようになりました。それでも、遠征先へのトラックに積み込む時は(グラブケースを)一番上にするように心がけていました。グラブの形が変わるのは嫌ですからね」

繊細な感覚が大事になるプロの守備では多少の変化も命取り。はめた感覚や手を閉じた時に違和感があれば、失策を引き起こすこともある。ただ、それは野球人である以上、ミスを肯定する理由にはならない。型を崩さないようにするのが最善策であり、今の選手のこだわりだ。

グラブケースを絶対に使ってほしい、と推奨しているわけではない。ここで野球少年少女に注目してほしいのは、グラブのケアの仕方についてだ。

「他の道具と一緒に大きな鞄に入れるのではなく、できればそれとは別に、袋などに入れてグラブを手で持ってほしいという気持ちはあります。できなければ、グラブの中にボールを1、2球入れ、グラブをゴムのバンドで止める。そして、袋にいれて、カバンの中にしまってもらいたいです。型を維持することで長持ちもするし、捕球もしやすくなります」

グラブの中に何も入れないと、潰れたりして型が崩れてしまい、捕球がしにくくなる。型が崩れたから、新調するというのはおかしな話。大野さんの言葉を借りれば、自分に合ったものを長く使うということが「野球選手にとってベストなこと」と言う。

プロ野球選手だからといって、頻繁にグラブを変えているわけではない。10年以上も同じグラブ一筋でプレーしている名手も多くいる。雨などで少し濡れてしまった場合、湿気はグラブの革にダメージを与えてしまうため、陰干ししている選手もいる。手を入れるところに新聞紙を入れて保管している選手もよく見てきた。

プロがグラブを磨くタイミングとはいつ?

型も大事だが、日々のケアも重要だ。用具担当は公式戦終了後、ベンチ内の片付けを終え、選手のいるロッカーにも入るのだが、大野さんは戦いを終えたナインが乾いたタオルを手に取り、グラブを磨いている光景をずっと見てきた。

ホコリや土を取り除き、全体にオイルを塗って仕上げる。その横顔は人それぞれ。笑顔の選手、悔しそうな選手、それぞれが一心不乱に磨いている。

「疲れている中、みんなグラブや用具を磨いてから帰路についていますね。その理由は様々だと思いますが、『今日も一日、お疲れ様』と声をかけているようにも見えますし、興奮した心を落ち着かせるために磨いているのかな、という選手もいます」

打てなかった。エラーをした。投手ならば、打たれてしまった……フラストレーションをぶつけているのではなく、磨いて気持ちをリセットしているように映った。他にもロッカーでは新しいグラブが届くと仲の良い選手同士で「この型はいいね」「深いね」「浅いね」――と品評会のように話で盛り上がったりもする。いくつになっても、グラブへの探究心は尽きない。

「プロの選手はグラブを本当に大切にしています。なので、野球をやっている子供たちは、プレーだけでなくそういうところも真似して欲しいと思います。あと、例えばですが、(グラブの)伸びている紐は切ってください。邪魔になってボールが取れなかったりしてしまうからです。グラブは使ったら放置するのではなく、磨いてほしいです。常に今、グラブがどんな状態にあるかをわかっていてほしいですね」

グラブでボールを“つかむ”ように、野球での成功も思い出も、自分の手でしっかりと手にしてほしいと願っている。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

楢崎豊 / Yutaka Narasaki

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