梱包時のエアクッションを利用 「香り」を体験させるグレードのPR施策

梱包時のエアクッションを利用 「香り」を体験させるグレードのPR施策

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2021/01/15
No image

世界最高峰の広告およびマーケティング・コミュニケーションの祭典であるカンヌライオンズ。今回は、2019年の作品から、筆者のお気に入りの施策を紹介しよう。それはメディア部門でGoldを獲得した「Scent by Glade(グレードの香り)」。アメリカの家庭用洗剤メーカーであるSCジョンソンの芳香剤「Glade(グレード)」のためのコミュニケーション施策だ。

Eコマースの発達で、近年宅配便で荷物を受け取ることが劇的に増えている。その時、荷物に緩衝材(エアクッション)が一緒に梱包されていることも少なくない。緩衝材を処理する時には、面倒だなと思いつつ、1つ1つ潰さなければならない。退屈でありふれた時間だ。

「グレードの香り」という施策は、この時間を、ちょっとした芳しい体験に変化させる。緩衝材にはグレードという芳香剤のパッケージ写真が印刷されており、興味をそそる。潰してみると、いい香りがする。グレードという芳香剤がどのような香りなのかを、実際に体験できる機会が提供されるわけだ。

そして、スキャンするとそのままオンラインで買うことのできるコードも記されている。

ウォルマートともWin-Winの施策

「SCENT BY GLADE」

こうした「ちょっとしたアイデア」や「ちょっとした施策」は、面白い。有名なスポーツ選手を起用するわけでもなく、何千万円もかけて豪華なテレビCMをつくるわけでもなく、小粒とも見えかねない施策ながら、ピリリと効いている。

これはSCジョンソンが、ウォルマート(Walmart)のECサイトと組んで、行った事例だ。ウォルマートは全米最大のスーパーマーケットチェーンだが、ECサイトの台頭で苦戦を強いられていた。また、ウォルマートはグレードの主要な売り場でもある。

実は、グレードのような芳香剤も、Eコマースの時代には、「見込み顧客に実際の香りを体験してもらえない」という悩みを抱えていた。リアルな店舗であればサンプル用の商品を置いて嗅いでもらうことができるが、オンラインではそうもいかない。

写真と言葉でいくら香りの説明してみても、リアルな体験には劣る。またEコマースを多用する購買層には、マスメディアを通じた広告も届きにくい。

そこで考え出されたのが、前述のコミュニケーション施策だった。SCジョンソン側からすれば、見込み顧客に実際の香りを体験してもらえて、オンラインでの購買につなげることができる。ウォルマート側からしても、自分たちのECサイトの話題化や魅力化につながる。まさにWin-Winの施策だったわけだ。

結果としてソーシャルメディア上で大きな話題となり、グレードのウォールマートECサイト上での売上も、最初の1週間で83%も上昇したという。

三者面談の帰りに娘をカフェに誘う

さて、この事例から、われわれが学び得るものは何だろうか?

いくつかあると思うのだが、ここでは、「ふだん使われてないモノやコトを活用して、コミュニケーションを取りにくい相手と交流を図る」という点から考えてみたい。

コロナ禍でリモートワークが増え、部下とのコミュニケーション不足を感じている人も多いのではないだろうか? オンライン会議が多く、ネットを通して部下の顔は見かけるのだが、この時節、飲みに誘うわけにもいかない。

リアルな交流が極端に減るなかで、彼はきちんとやっているのだろうか、彼女は鬱々とした毎日を送ってはいないだろうか。そんな心配も頭をよぎる。

そんなとき、例えば1時間予定のオンライン会議があったら、50分で終了することにして、最後の10分間をざっくばらんな「トークタイム」にすると決めてみるのはどうだろうか?

このトークタイムでは、議題は決めず、何か気になっていることや気をつけていること、面白かったことなどについて、自由に語り合うこととする。司会進行は、上司であるあなたが行う。メンバーが数人であれば10分間でも、上手く廻せば全員に少しでも発言してもらえるだろう。

また、年頃の娘と会話する時間を、高校の三者面談の帰路に、カフェにでも誘ってみることでつくり出そうとしてみるのはどうだろうか。これは筆者自身の体験なのだが、オンラインでも可だったのだが、あえて高校まで出かけて行き面談をし、帰りにカフェで娘と2人で30分ほど話をした。すると勉強以外のことも語ってくれ、その場で父娘の仲は深まったと感じた。

オンライン会議も三者面談も、「やらなければならないだけのモノ」と捉えずに、ちょっとした施策を設ければ、思いがけない成果が得られるかもしれない。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加