「10歳の壁」を乗り越えるために!【後編】親のサポートが“壁”をジャンプ台に変える!?

「10歳の壁」を乗り越えるために!【後編】親のサポートが“壁”をジャンプ台に変える!?

  • ベネッセ 教育情報サイト
  • 更新日:2022/01/15

子どもは10歳前後になると、学習面でつまずいたり、心が不安定になったりしがちです。その見えない壁のようなものが「10歳の壁(9歳の壁)」と言われていたりもしますが、そこをうまく乗り越えるには、どんなサポートが必要なのでしょうか。前編に引き続き、発達心理学が専門で、『子どもの「10歳の壁」とは何か?』の著者でもある渡辺弥生先生(法政大学文学部心理学科教授)にうかがいました。

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この記事のポイント

学習面で壁にぶつかり、心は不安定に!?

つまずきや反抗は成長の大事なステップ

視野が広がる声かけを

学習面で壁にぶつかり、心は不安定に!?

低学年くらいまでは、素直で頑張り屋の子どもたち。しだいに体とともに心や思考も成長し、思春期の入り口に立つ10歳前後から、抽象的なことや複雑なことを考えられるようになっていきます。
ただ、10歳になったからといって、いきなり抽象的なことを理解できるようになるわけではありません。ところが学校の授業のほうは、高学年になったとたんに「りんごが3つ、みかんが5つ」などと具体的な物事で学ぶのではなく、頭の中でイメージしながら考える「電気」や「速度」といった単元が登場します。そのため、理解できずにつまずいてしまうケースも。気持ちの面でも、自分と友達を比べたり、「友情」のように抽象的なことを考えられるようになったりするぶん、悩みも複雑化し、不安定になりがちなのです。

つまずきや反抗は成長の大事なステップ

そんな「10歳の壁」を乗り越えるために、おうちのかたはどんなサポートをしたらいいのでしょうか? まず大切なのは、得意だったはずの算数に手こずり始めたとか、おうちのかたを客観視して「お母さんは靴をそろえなさいって言うけど、自分だってできてないじゃん」なんて言うようになったりしても、闇雲に不安がったり、「反抗期!」なんて身構えたりしないということです。
なぜなら、それもこれも成長の大事なステップ。より複雑なことを考えられるようになってきた証であり、ここから≪自分≫なりの考えなどをどんどん確立して、社会に適応する力を身に付けていくからです。だからむしろ、「そんなことも考えられるようになったのか」なんて、喜ばしく思っていいことなのです。

視野が広がる声かけを

とはいえ、いきなり大人になるわけではありませんので、大人がフォローしてあげることで、より客観的な見方や抽象的な考え方を身に付けていくことができます。たとえば友達といざこざがあった際に、「あなたが悪いから謝ったほうがいいよ」と単純に片づけるような対応ではなく、気持ちに寄り添ったうえで話し合うなどの解決策を提案したり、「お母さん(お父さん)ならこうするかな」などとお子さんが気付いていない方法を伝えたりしていきましょう。また、テレビドラマでも観ている時に、「こんなことをしていると、この主人公は10年後にああなると思うよ」「この人はこういうつもりで言ったんじゃないかな」なんて、子どもが自発的に気が付きにくいことや、考え方を伝える。さらに日常生活の中では、たとえばバスに乗った際に「運賃箱のお金はどこに行くと思う?」なんて社会の仕組みなどに気付かせたり関心を持たせたりすると、より幅広い考え方や社会的概念が身に付いていくはずです。
一方、複雑な思いを一人で抱えがちな時でもあるので、普段から、葛藤を抱えた時の対処法を伝えておくのも大事なことです。スポーツやゲームなどでの気晴らしのコツでもいいし、ユーモアで受け止める方法でもいいので、モヤモヤを乗り越える術を親身に伝えてあげてください。

この時期に大切なのは、おだてたりほめそやしたりすることよりも、上記のように人生の道しるべのようなものを示して、やがて子ども自身が自分でコンパスを持って道を選べる日が来るようにサポートしていくということです。つまり、大切なのは日頃の会話。その積み重ねが、いよいよ反抗期に突入した時にもいい親子関係を続けるヒケツであり、壁をジャンプ台のようにして、勉強面でも日常面でも飛躍していく土台となっていくはずです。

まとめ & 実践 TIPS

学習面でつまずいたり、いちいちあげ足取りのような反応が返ってきたりすると、心配になったりイラッとしてしまったりするでしょうが……。会社で例えるなら、部下が意見を言うことを「生意気」ととる上司よりも、「いろいろな意見を言ってくれるようになったな」と喜ぶほうができる上司であり、部下や組織の成長にもつながります。
子育てにおける親も同様で、子どもの成長を喜び、ともに変化していくことが大切。ぜひ≪いい上司≫になったつもりで我が子の成長を喜びつつ、ご自分が子どもだった時のことを思い出したりもしながら、状況に合わせて親身にサポートしていってあげてくださいね。

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