お金持ちはなぜ利用しない?「普通の人」こそトクする「NISA」の使い方

お金持ちはなぜ利用しない?「普通の人」こそトクする「NISA」の使い方

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/01/14
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NISAという言葉を耳にしたことはありませんか? 読み方はニーサ。これを使って投資をすると、通常は利益にかかる20.315%の税金が非課税になります。

利用者は年々増えていて、金融庁によるとNISA口座数は約1830万口座、累計の投資額は20兆円を超えました(2020年6月末時点、金融庁「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査」より)。

日本では、金融商品を使ってお金が増えたら、しっかり税金がかかる仕組みになっています。これが非課税なのだから、確かにお得! なのに、私の周りには、特にお金を持っている人たちは、「あえてNISAは使わない」という人がけっこういます。節税に敏感なお金持ちが、なぜNISAを使わないのでしょう?

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NISAの仕組みをおさらい

まずはNISAの仕組みを確認。NISAは、「一般NISA」、「つみたてNISA」、「ジュニアNISA」の3種類。「ジュニアNISA」は未成年者が対象なので外して、「一般NISA」と「つみたてNISA」について説明します。

2014年に始まった期間限定の制度で、すでに説明した通り、NISA専用の口座を開設して利用すると、利益にかかる税金が非課税になります。1年間で投資できる金額と、非課税になる期間、口座を開設できる期間が決まっています。

*「一般NISA」 年間120万円まで株式や投資信託を購入でき、非課税期間は5年間。口座を開設できるのは2023年まで。

*「つみたてNISA」 年間40万円まで投資信託を積立で購入でき、非課税期間は20年。口座を開設できるのは2037年まで。

NISA口座で買えるのは、株式や投資信託です。投資ですから、値下がりして損をするケースも想定されます。損をしたときはそもそも税金がかからないので、非課税の恩恵もありません。得をしたら非課税、損をしたらそのまま。これがNISA口座の特徴です。

お金持ちがNISAを使わない理由

ここで、複数の投資先をもつ人なら、思い浮かぶ仕組みがあるのではないでしょうか? 「損益通算」です。

損益通算とは、同じ年に出た投資の利益と損失をぶつけて相殺できる税金計算上の仕組みです。複数の投資先を持っていて、例えばある投資信託では100万円の利益がでたが、ある株式で50万円の損失がでたら、100万円+(-50万円)=50万円で、課税の対象となるのは差額の50万円のみです。助かりますね。

そろそろ損切りしようかと思う投資先があるなら、利益が出た年に売れば、この仕組みを使えます。その年は損失の方が多く、損益通算してもなおマイナスなら、もちろん税金はかかりませんし、さらに最長3年まで損失を繰り越して控除する(翌年以降の利益と相殺する)ことができます。

損益通算ができる範囲は、株式の売買による損益、株式の配当金、投資信託の売買による損益、投資信託の分配金、ETFやREITの売買損益と分配金など通常の投資であればかなりカバーされています。損失が出ても税金を安くすませる、つまり「転んでもただでは起きない」ことがやり方次第では可能です。複数の投資先を持つ人は必ず知っておきたい仕組みです。

NISAでは、損失が出ても、損益通算ができません。これが、お金持ちがNISAを使わない最大の理由だと思われます。もう一つの理由は、利用できる上限金額が小さいことでしょう。一般NISAは年間120万円、つみたてNISAは年間40万円までです。

NISAの正式名称は「小額投資非課税制度」。小額の投資なら税金を安くしますよという、もともと庶民向けの制度なのです。日本は、欧米に比べると家計の金融資産が預金に偏っているから、もっと株式等の投資商品に動かしたい、庶民のお財布からも投資に振り向けてもらえればという政策により始まった制度です。

一般NISAか、つみたてNISAか

では、お金持ちではない庶民は、NISAとどう向き合ったらいいのでしょうか? 利益にかかる税金が非課税、これはやはり大きなメリットです。投資をしたいなら、使わない手はありません。

損失がでても損益通算できない点については、あまり気にする必要はないと思います。なぜなら、NISA口座の利用者は、とくにつみたてNISAの場合、投資初心者が多いからです。NISAでしか投資をしていないなら、仮に損失がでたとしても、ぶつける相手先が存在しません。それよりも、損をしない投資を心がける方が先決です。

一般NISAの非課税期間は5年、つみたてNISAの非課税期間は20年です。つまり、この非課税期間中は、いつ売っても利益に非課税です。5年、あるいは20年の間には、値上がりする時期があるでしょうから、そこで売ってしまうのが、損をせず、税金の優遇を活かす方法です。

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とはいえ、特に個別株式では、買った後ずっと低迷して値上がりしないままのケースも考えられます。景気の変動や、企業の業績が回復するのにかかる時間などを考えると5年という非課税期間は短いかもしれません。

とすると、非課税期間が20年間と長く、しかも買えるのは投資信託の積立のみの「つみたてNISA」に軍配が上がります。20年の間には何度か景気の山がくることが想像されます。その時期には株価が上がり、投資信託の価格も上がると推測されます。

また、つみたてNISAでは、過去の運用実績や手数料をもとに対象となる投資信託が選別されています。さらに積立で長期にわたり購入することにより価格変動のリスクを小さくできます。損をするリスクがゼロとはいえませんが、かなり小さくなるでしょう。

NISAを始める条件

つみたてNISAの口座開設期間は現在2037年まで。これを5年間延長する予定になっています。仮に年間40万円の投資枠いっぱいで20年間、積立てると合計額は800万円です。20年後に資産として元本で800万円の投資信託を持つことになります。

1年目に投資したものは20年で非課税期間が終わりますから、期間内に売ってもいいし、利益が出ているなら、そのまま持っていてもかまいません。売らずに持っている場合は、非課税期間の終了後は通常の課税口座に引き継がれます。

この際の元本は、引継ぎ時の時価。つまり、非課税期間中の利益は非課税になります。2年目以降の投資についても同様です。20年経過後は毎年、非課税期間の満期が来るので売るか持ち続けるかを判断する、そんなイメージです。

積立てたお金を老後資金にすることが目的なら、積立開始後の20年間はよほどのことがない限り取り崩さないのが前提です。ただし、売ろうと思えばいつでも売却が可能。大きな利益が出たときは、途中で売って利益を確定することもできます。この臨機応変さがNISAの特徴でもあります。

投資信託は値動きするので、安全な円預金を一定額持っていることが、つみたてNISAを始める条件。投資額については、年間40万円は上限なので、この範囲で自分のお財布にあった金額を設定すること。そして、NISAを使うときのポイントは、損をしない投資を目指すことにつきます。

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