November 21, 2023 | Design | casabrutus.com | photo_Kiyoe Ozawa styling_Yumi Nakata text_Yoshikatsu Yamato
11月3週目の担当は、祐天寺にある花屋〈チビ〉を営む芳賀規良さん。朝夕は気温が下がり、きりっと澄んだ冬の空気に切り替わる11月下旬。大理石の花器に活けたのは、マットな質感の葉の間にぽってりとした実をつけるユーカリ(トランペット)です。楽器の名前がつき、ベルのようでもあるそのかたちからは、冬めいた音が聞こえてくるよう。部屋に飾りながらドライフラワーにしていきます。

このユーカリには「トランペット」という品種名がついています。まるっこい実と、空いたくぼみがその楽器を連想させるのだと思うけれど、ベルに似ていると言った方がしっくりくる。その風貌が冬の気配を運んできてくれますね。12月が近づくと、クリスマス飾りでベルを目にする機会が増えてくるでしょう。
大理石は実際の重量と同じくらい、見た目として重厚感がある。その素材に負けないバランスにしようと思いました。ユーカリ(トランペット)は実の存在感があります。1本しか活けていませんが、ごろんとした実が複数ついている。器ともボールのシルエットでつながっていきました。
この器は雪だるまに見えるとも思いましたね。だから、今回は、冬を予感させるもの同士を合わせたと言えるかもしれない(笑)。水を入れておけるつくりにはなってないので、飾りながらドライになっても成立するほうがよいと思ったのもユーカリを選んだ理由です。ドライフラワーは時間が経過してできるもの。水分が抜けるといっそう色合いが秋冬らしくなりますよ。ベージュに近づいていきます。
●今週の花:ユーカリ(トランペット)

500種もの品種に分かれるユーカリの一種、トランペット。地下深くに根を伸ばし、水を吸い上げる力が強いため乾燥地帯でもよく育つ。ドライになったら実のフォルムを活かして冬のリース飾りに加えると可愛らしい。
●今週の器:〈アディションスタジオ〉の《モレキュラーベース ピカソ》

乾燥した植物を飾り付けるための大理石の花器。石のざらついたテクスチャーをほどよく残しながら磨かれており、自然が生み出すマーブル模様が美しい。水をためることはできないが、大理石はどっしりと重みがあり、ボリュームのある枝物を飾っても安定する。〈アディションスタジオ〉は2010年オーストラリア、バイロンベイに設立されたウェルネス・インテリアブランド。〈アディションスタジオ〉の《モレキュラーベース ピカソ》 φ18×H35.5cm 55,000円、(JAU https://www.jau.co.jp/ )
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