【GW特集】ドル・円、ユーロ・円とも金融政策の出口が意識される展開か

【GW特集】ドル・円、ユーロ・円とも金融政策の出口が意識される展開か

  • モーニングスター
  • 更新日:2021/05/04
No image

●21年序盤のドル・円は、米長期金利上昇に主導され一時110円を突破

21年の為替市場は、年明け1月はバイデン米新政権による大規模な経済対策への思惑で財政出動、国債増発観測が高まり、米長期金利が上昇。これを背景にドル・円は昨年末の1ドル=103円台前半から一時105円近辺まで上伸した。2月に入ると、米大規模経済対策に加え、新型コロナウイルスのワクチン普及への期待が米長期金利を押し上げ、ドル・円も堅調。月末にかけて106円台後半の水準に達した。3月、ワクチン普及や米大規模経済対策による景気回復期待が続く中、FRB(米連邦準備制度理事会)がFOMC(米連邦公開市場委員会)で急伸する米金利に大きな懸念を示さなかったことから米長期金利が一段高となり、ドル・円はフシ目の110円を突破し、一時111円に迫る場面があった。昨年末からFRBの金融緩和の長期化を織り込み、21年序盤はドル安・円高が進行するとの見方が市場では根強かったが、ドル・円は3カ月連続で月足チャートが大きな陽線を描く上昇相場に振れるという意外な結果になった(図表参照)。3カ月連続陽線は16年10-12月以来、およそ4年ぶり。

●有識者に聞く21年度ドル・円、ユーロ・円相場展望

想定外に円安が進んだ21年序盤。21年度(21年4月-22年3月)におけるドル・円、ユーロ・円の方向感はどうなるか。

【ドル・円】

あおぞら銀行チーフ・マーケット・ストラテジストの諸我晃氏はドル・円予想レンジを1ドル=104-112円と予想する。「高値は9月頃を想定しており、新型コロナウイルス感染の収束期待を背景に、FRBがテーパリング(量的金融緩和の縮小)の検討し示唆するとみている。その後、FRBの金融引き締め方向を意識した株安が進み、22年初に安値水準を迎え、年度末は108円」との見方を示している。

一方、みずほ証券マーケットストラテジストの鈴木健吾氏は予想レンジを106-113円となっている。「米長期金利は3月下旬に1.8%に迫ったのをピークに、足元は緩やかに調整しているが、新型コロナの変異株がさらなる感染拡大を引き起こすリスクは残り、そうした中ではFRBもテーパリングには慎重にならざるを得ないことから米長期金利の調整は5月まで続き、金利底入れがドル・円の安値圏とみている。テーパリング観測が再浮上するとみられる10月に高値を付け、テーパリングの時期を巡り早期実施の織り込みが後退するなど調整し、22年3月に110円近辺に落ち着くだろう」とみている。

【ユーロ・円】

諸我氏のユーロ・円予想レンジは1ユーロ=125-135円。「9月頃にユーロ圏でのワクチン接種急拡大やユーロ復興基金への期待が高まるとみており、ドル・円が112円を付けるタイミングでユーロ・円も135円に到達するだろう。年明け株安・リスクオフの局面で125円を付け、その後はユーロ買い戻しの展開で年度末に130円」としている。

一方、鈴木氏の予想レンジは127-135円。「足元で新型コロナは変異株が猛威を振るい感染拡大に歯止めがかかっていない。ユーロ圏経済は出遅れて、6月頃が安値水準になるとみられる。ユーロ経済の回復期待とともにECB(欧州中央銀行)のテーパリング観測が再燃し、10月に高値。その後も130円台では底堅く、期末は133円近辺」との見方を示している。

有識者はいずれも新型コロナの変異株を主体とする感染拡大がワクチン接種の普及とともに年度前半にピークアウトしていくことをメインシナリオに、ドル・円、ユーロ・円とも高値を付ける時期(9-10月)は概ね一致している。感染拡大が一服し、経済正常化への期待感が高まる段階では、FRB、ECBともテーパリングに向かうとの観測が強まり、対円でドル、ユーロとも強含む展開になりそうだ。ただ、変異株が多様化し感染力を増す、米中対立の激化など想定外のサブシナリオが長引けば、レンジを一時的に下抜ける場面もあるという。また、市場では日本のワクチン接種の遅れが円安要因になるとの見方が根強い。緩和の出口のカギを握るFRB、ECBがドル・円、ユーロ・円を主導する展開になるのは間違いなさそうだ。

(チャート図:モーニングスター作成)

有村 孝浩

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加