M6〜7クラスの大地震がいくつ発生しても「3・11」が終わらない理由

M6〜7クラスの大地震がいくつ発生しても「3・11」が終わらない理由

  • 週刊女性PRIME
  • 更新日:2016/12/01

ドーン!と突き上げるような揺れ。東日本大震災から5年8か月後の余震だった。震災後最大となる1・4メートルの津波が宮城・仙台港で観測された。次の大地震はどこで発生するのか。専門家が真っ先に挙げたのは震源地・福島県沖の“南”だった──。

茨城、千葉県沖が危ない理由

「東日本で次に地震活動が活発化しそうなのは福島県沖の南です。茨城、千葉両県の沖合でマグニチュード(M)6〜7クラスの大地震が数か月以内に発生する確率が高いとみています。本当はもう少し発生時期を絞り込めればよかったんですが……」

と話すのは、立命館大学・歴史都市防災研究所の高橋学教授だ。

福島県沖を震源とするM7・4の地震が11月22日午前5時59分ごろ発生。岩手、宮城、福島など6県で津波警報・注意報が発令され、約50万人に避難指示・勧告が出た。

気象庁によると、震源は福島県いわき市の東北東沖約70キロ付近で深さは約25キロ。福島県いわき市などで震度5弱の揺れを観測し、10数人が転倒するなどしてケガを負った。宮城県仙台港には1・4メートルの津波が到達した。川を津波が遡上していった。

気象庁は2011年3月に発生した東日本大震災の「余震」との見方を示している。いまごろ余震とは……と驚いた人も多かったようだ。

しかし、『週刊女性』11月15日号で前出の高橋教授は《3・11はまだ続いているんです》と警告したばかりだった。10月21日に発生した鳥取県中部地震について解説する内容で、あえて東日本の現況に触れたといえる。次に西日本を襲う大地震については《鳥取の東にくる》と予測したとおり、11月19日に和歌山県南部でM5・4の地震が起こった。想定より小さかったため、まだまだ警戒が必要だという。

高橋教授は言う。

「前回の取材で話した“3・11の動き残り”が起こりました。北米プレートが割れたんです。過去100年のデータをみると、M7クラスの地震は5年に約3回発生しています」

下の地図を見てほしい。東日本で次にM6〜7クラスの大地震が起きそうなエリアを高橋教授がマークした。危険度の高い順にA(茨城、千葉県沖)、B(首都圏)、(c)(北海道・襟裳岬から青森、岩手県北部にかけての沖合)の3エリアだ。

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※A〜(c)の順に高橋教授が次の大地震を危険視するエリア。▲は気象庁が新たに常時観測対象に加えた3火山。△は高橋教授が動向を注視する雄阿寒岳(作図/スヤマミヅホ)

「地殻変動は骨折とよく似ています。骨が折れると、次は1度折れた箇所よりも、その近くが折れやすくなりますよね。福島県沖は大地震が起きました。余震を軽視してはいけませんが、大地震に限っていえば、次はその南か北のほうが危ないんです」(高橋教授)

巨大噴火とアウターライズ地震がこない限り終わらない

茨城、千葉の沿岸部は東日本大震災で被災している。福島県沖地震でも震度5弱〜3と大きく揺れたため、警戒心を維持してほしいという。

「茨城、千葉の海岸線近くで地震が発生すると、震源が浅いため津波による大被害が予想されます。例えば湖で国内2位の面積を持つ茨城・霞ヶ浦は縄文時代の海の名残です。土地の歴史を忘れてはいけません。1メートルどころかひざの高さの津波でも踏ん張るのは無理です。水平方向ではなく、垂直に逃げることを心がけてください」(高橋教授)

高橋教授が“3・11はまだ終わっていない”とする根拠は、太平洋プレートの動きからも裏づけることができる。3・11以前は北米プレートにもぐり込む速度が年約10センチだったのが、震災後は年約30〜40センチと加速している。

「太平洋プレートは南米チリの沖合まで続く超巨大プレートです。そのうち加速についていけなくなった箇所でプレートがちぎれ、アウターライズ地震が発生します。東日本大震災を引き起こしたのはM9の巨大地震ですから、火山の巨大爆発もセットで発生します。もぐり込んだプレートが溶けてマグマを量産しています。

M6〜7クラスの大地震がいくつ発生しても、巨大爆発とアウターライズ地震がこない限り、3・11は終わりません」(高橋教授)

インドネシア・スマトラ島沖で2004年に発生したM9・1の地震では、8年後にM8クラスのアウターライズ地震が追いかけてきた。津波による大被害を招いた1896年の明治三陸地震では37年後、アウターライズ地震とみられるM8クラスの昭和三陸地震が発生した。

大噴火はいつごろくるのか。

「ここ1〜2年以内に東日本の活火山は巨大爆発する可能性が高い。気象庁は12月から、24時間体制で監視する47火山に八甲田山、十和田、弥陀ヶ原を加えます。新たに人員も予算もつぎ込むのは噴火が怪しいと思っているからでしょう。私は地表近くで地震が頻発している北海道・雄阿寒岳が気になっています。ただし、大爆発の予兆が確認できた山はない」(高橋教授)

いまさら『危ない!』とは言いにくい

福島県沖地震は複数の課題を突きつけた。まず津波警報の遅れがあった。気象庁が地震発生後すぐ津波警報を出したのは福島県だけで、宮城県では1・4メートルの津波を確認したあとで注意報を警報に切り替えた。これでは意味がない。

気象庁は「原因を調査して改善につなげたい」と話す。

「スピードが大事なので、地震の震源位置、規模、深さを考慮し、シミュレーションした約10万通りの津波予報データベースから適合するパターンを選び、津波の高さや到達時間をすみやかに発表している。宮城で想定した波の高さを超えたのは、海底の複雑な地形が影響したことなどが考えられる」(同庁・地震津波監視課)

3・11後、津波予測のアイテムは増強された。国交省が沖合20キロに浮かべるGPS(全地球測位システム)波浪計が全国18か所にあり、防災科学技術研究所が沖合200キロを含む海底125か所に配備した水圧計で構築する『日本海溝海底地震津波観測網(S-net)』が7月末から稼働している。

もうひとつの課題は避難する車で渋滞が発生したこと。寒冷期に高齢者や子どもを連れた徒歩避難にはリスクも伴う。高台にある宮城・石巻市立石巻中には車が押し寄せ、学校前の道を塞いだという。

「津波注意報が警報に切り替わったタイミングで110〜120台の車が集まりました。ポケモンGOのイベント中だったので他県ナンバーもあった。校庭を開放し、体育館に暖房を入れて受け入れ態勢を整えました」(板橋裕二教頭)

学校側の迅速な判断で混乱を防いだ好例だろう。

それにしても、なぜ、東日本大震災の余震について、政府は積極的に注意を呼びかけてこなかったのか。

「安倍首相は五輪招致のスピーチで福島について『アンダー・コントロール(制御下にある)』と言いました。いまさら『危ない!』とは言いにくいでしょう」と高橋教授。

国民の生命・財産を守るのは政府の責務だ。それは五輪開催よりもずっと重い。

<プロフィール>
たかはし・まなぶ 立命館大学教授。1954年愛知県生まれ。環境考古学(環境史、土地開発史、災害史)が専門。著書『平野の環境考古学』(古今書院)など

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