石原さとみ、様々な表情見せる『高嶺の花』は1粒で何度おいしい?

石原さとみ、様々な表情見せる『高嶺の花』は1粒で何度おいしい?

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  • 更新日:2018/07/15
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石原さとみ(撮影:志和浩司)

パステルブルーのふんわりとしたワンピースを身にまとい、髪を振り乱しながら、赤い自転車を走らせる。セリフはない。荒い息遣いで、とにかく走る。

石原さとみが演じるのは、華道の名門「月島流」本家の長女にして天才華道家、月島もも……のはずだが、とてもそうは見えない。意表をついたツカミは問答無用で、ドラマの世界にぐいぐい引きずり込もうとする。「高嶺の花」(日本テレビ系、水曜・午後10時)は、こうして11日にスタートした。

ももが自転車でたどり着いた公園には、半年前、挙式当日に白無垢姿の自分に「申し訳ありません」と土下座して逃亡した婚約者とその妊娠中の妻がいた。ももは、警察からつきまといを禁じられているにも関わらず会いに行ってしまったのだ。

気になる、初回平均視聴率は、11.1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と、好調のスタートとなった。

高嶺の花なれど、手の届きそうな女性 オンとオフのギャップを石原さとみが好演

華道の名家の令嬢なのに、婚約者に逃げられるという辱めを受け自我崩壊。なんともやるせない役どころなのだ。警察で注意を受けたももは、帰途、再び自転車に乗るが、走行中に転倒し、商店街の自転車屋にボロボロの状態で現れる。自転車もボロボロで、せっかくのきれいなワンピも泥まみれ。修理を依頼するために立ち寄った自転車店の店主、峯田和伸演じる風間直人(通称:ぷーさん)が、今後の新たな恋の相手になるのだろう。

以降、まるで友だちのような距離感まで接近する二人は、番組の宣伝フレーズにある“美女と野獣の超・格差恋愛!”と丸めてしまうと単純なラブストーリーに聞こえてしまいそう。ももは華道界においてはすごい人物なのだが、市井に降り立てば、喜怒哀楽を丸出しにした親しみやすい美人。ぷーさんの友だちからは、“学年で4番目くらいの美人”“ワンチャン(=ワンチャンス)あると男に思わせるタイプ”と言われ、ムカつきながらも悪い気持ちはしていない。そんな演技をサラリとこなす、石原は本当におもしろい女優だ。

今回も石原のファッションに釘付け

番組のキービジュアルでは美しい和服姿を披露している石原だが、ドラマ中では洋装が多い。ドラマに出るたびファッションが話題となる石原。冒頭のパステルブルーのワンピからは、婚約が破綻になって以来、何を食べても味を感じないほどのダメージを受けたという憂いの気持ちが伝わってくるし、異母妹である月島なな(芳根京子)と遊園地で遊ぶ場面で着ているタートルネックのジャガードレースのワンピからは、良家の子女の匂いがたしかにただよってくる。シースルーブルゾンにしてもクリア素材のイヤリングにしても、いちいち趣味がいい。それも誰が見てもすぐわかるようなベタなブランド品で固めている印象ではない。そうかと思えば、ジャージ姿であぐらをかいて味噌汁をすすり、涙を湛えながらもバカ笑いをする。

そして、花を生けるときには和装で勝負に挑むといったメリハリの効いた演出がいい。帯を締め、紅をひき、颯爽とお披露目の場に登場するももの姿は美しくも凛々しい。

単なるラブストーリーではとどまりそうもない予感

脚本は「高校教師」(1993年、TBS系)や「薔薇のない花屋」(2008年、フジテレビ系)などを手掛けた野島伸司氏。石原は、野島氏の脚本でラブストーリーをやりたいとずっと言い続けてきたそうだが、それが今回やっと叶った形だ。だが、ロマンティック一辺倒な恋物語というわけではなく、振り幅の大きい怒涛のラブストーリー。たおやかなシーンも、ドタバタなシーンも、令嬢には似つかわしくないやや乱暴で砕けた言葉遣いや酒ヤケしたかのようなハスキーボイスも、何でもこなす石原の魅力が十分発揮されている。

また、共演陣の充実ぶりにも注目したい。ベテラン俳優・小日向文世が演じる、ももの父親で月島流家元の月島市松の存在感がいい。前クールではドラマ「コンフィデンスマンJP」で軽妙洒脱なノリの詐欺師を演じたばかりだが、今回は打って変わって厳格な家元役で重みのある役どころ。ももの異母妹を演じる芳根京子や、自転車屋のコスプレ娘役の高橋ひかる、スナック喫茶のママ役の笛木優子など、女優陣もそれぞれに個性が発揮されている。また、もものライバルともいえる、華道家であり新興の「宇都宮流」を率いる宇都宮龍一役の千葉雄大のイケメンぶりもさることながら、今後の物語にどう絡んでくるのかが楽しみだ。

ドラマのロケ地も気になる。前クールで人気だった深夜ドラマ「おっさんずラブ」と同じキリストンカフェが登場し、ネットでもすかさず話題になっていた。超・格差恋愛ということで、ロケ場所もおしゃれなカフェから下町の商店街まで、幅広い景色を見ることができそうだ。

いまや“石原さとみ”はドラマの一つのジャンルとなりつつある勢い。そんな勢いのある女優がさまざまな表情を見せる勢いのある物語。しばらく楽しめそうだ。

次も観たい度★★★★☆

(文:田村豊)

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