ビットコインバブルが大きな意味を持つ理由とは

ビットコインバブルが大きな意味を持つ理由とは

  • WSJ日本版
  • 更新日:2017/10/11
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バブル状態にある仮想通貨ビットコインについて質問すると、「興味深い話だが自分には関係ない」と答える人が多いのではないだろうか。「ビットコインに投資していないので、バブルがはじけても自分たちは無事」という理屈だろうが、そろそろ心配し始めた方が良いかもしれない。

仮想通貨市場はこの数年間で急成長を遂げた。従来の金融市場との関連性も強まりつつあり、今後もこうした傾向が続くとみられる。ビットコインはいまや、主に債券・株式取引を手掛ける機関投資家の取引対象にもなっている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、米ゴールドマン・サックス・グループがビットコイン・トレーディング事業の立ち上げを検討していると報じてきた。また、資金調達手段として仮想通貨を活用する企業も増えている。

アナリストらによると、ビットコインバブルが大きくなるにつれ、はじけた場合にIT(情報技術)株や金融株を中心に株式投資家の心理が冷え込む可能性も高まっている。

TDアメリトレードのチーフ市場ストラテジスト、ジョー・キナハン氏は「どんな商品でもバブルがはじければ必ず巻き添え被害が生じる」と指摘。そうした被害が真っ先に広がるのは、ビットコインを活用した事業を手掛けるIT・金融企業や、ブロックチェーン(分散型台帳)インフラに多額の投資を行っている企業だろうという。

市場関係者の一部が懸念しているのは、ビットコイン相場が半年もたたないうちに1000ドル程度から5000ドルに急騰したことだ。足元では4400ドル程度まで下げたが、それでも2016年初頭に400ドル未満だった価格が1年半で10倍に膨らんだ計算になる。考えても見て欲しい。ビットコインは投機以外の使途がまだ限られている。しかも、JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモン最高経営責任者(CEO)などの金融業界トップが鳴らすバブル崩壊への警鐘は、悪意から出たものではないように思える。

コインテレグラフのサイトによると、ビットコインなど仮想通貨全体の時価総額は約1500億ドル(約16兆8000億円)で、今年に入ってから約8倍に増えた。ヘッジファンド「シビラ・グローバル・ファンド」のマネジャーを務めるロレンツォ・ディマティア氏は、このペースで拡大を続けるようなら、ビットコインが世界の投資可能資産に占める割合は、現在の比較的小さな水準から大幅に拡大すると述べた。ビットコインバブルはさらに拡大を続け、2018年には、崩壊した場合の余波が株式市場全体に広がるほどまで膨らんでいると同氏はみている。

ビットコインは現在、1994年のIT株と同じように投機バブルの初期段階を迎えているとの指摘もある。仮想通貨調査会社デジタル・アセット・リサーチのシニアアナリスト、マシュー・ガートラー氏は「いま目にしているのは新たな技術であり、人々はまだそれを理解しようとしている段階だ」と述べた。

ビットコイン自体の評価が低いわけではない。金融業界では、ビットコインとそれを支えるブロックチェーンが偉大な発明であるとの見方が大勢だ。また、JPモルガンのダイモン氏はビットコインを「詐欺」と批判しているが、同行は独自のブロックチェーン技術を開発している。

それでも、ビットコインがドルなどのフィアット通貨(法定通貨)に置き換わる兆しは見られない。

ガートラー氏は「ビットコインが成功するには、送金や支払い、価値保存など、さまざまな市場で大きなシェアを獲得する必要がある」と話す。

一方、ビットコインの利用拡大を当て込んだ投機は、交換手段としての利便性をむしろ低下させている。

キナハン氏は「例えば、ビットコインでの自動車購入を決めたとする。契約時点の土曜日には3万2000ドルだったが、週末にビットコイン相場が動き、月曜日には4万1000ドルになっていることもあり得る。そんな生活はまずできない」と述べた。

米半導体大手のエヌビディアとアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価は、主要仮想通貨が相場暴落に見舞われた場合、少なくとも一時的に下落するのはほぼ確実だろう。エヌビディアは昨年、S&P500種指数の構成銘柄の中で上昇率がトップだった。両社とも四半期決算で、画像処理半導体(GPU)の主な需要家は仮想通貨のマイナー(採掘者)だと指摘した。エヌビディアでは、仮想通貨関連の需要家向け半導体の売り上げが5-7月期(第2四半期)の売上高22億3000万ドルの6.7%を占めた。

キナハン氏によると、仮想通貨関連の売り上げが全体の5%を超えている企業は、バブル崩壊時に株価が暴落する可能性がある。

エヌビディアとAMDの広報担当はこの記事についてコメントを控えた。

IT株の中で特に注目されているフィンテック銘柄も急落の恐れがある。フィンテック銘柄で構成するETF「グローバルXフィンテック」は年初来の上昇率が43%に達する。

米証券会社DAダビッドソンの機関投資家向け株式調査部門ディレクター、ジル・ルリア氏は「最近のフィンテック関連のイノベーション(技術革新)はブロックチェーンに関連したものが多い」とし、「そのため、仮想通貨の資産価値が下落し、それがブロックチェーンの技術革新と関係していれば、一定のキャリーオーバー効果が生じかねない」と述べた。そうした可能性を踏まえ、IT株全体を懸念する声もある。投資家はすでにIT株のバリュエーションの高さに神経をとがらせている。

新興企業の一部が資金調達手段として仮想通貨を利用していることも不安材料だ。若者に人気のメッセージアプリ「Kik(キック)」を手掛けるキック・インタラクティブといった企業は、ビットコインに似たシステムを利用して多額の資金を一夜にして調達している。こうした調達であれば新規株式公開(IPO) 規制の対象にならず、ベンチャー投資家から厳しい質問に遭うこともない。ガートラー氏によると、「イニシャル・コイン・オファリング(ICO)」を行う企業は、模擬株式を発行した時点で具体的な製品・サービスを確立していないことが多い。

米ネット通販会社オーバーストック・ドットコムの株価はこのところ急上昇している。ICO取引所の運営を検討していると発表したことが好感されている。DAダビッドソンのルリア氏は、仮想通貨の価値が下がれば、オーバーストック株は打撃を受けそうだと話す。

一方、中国の規制当局は先日、詐欺的なICOに対する懸念から、国内のビットコイン取引所を閉鎖した。その影響でビットコイン相場は20%下落した。

ただ、1年半後にはビットコイン相場が再び急落し、より広範囲に影響が広がるかもしれない。

1年半後というのは、仮想通貨投資会社ブロックチェーン・キャピタルの調査責任者、スペンサー・ボガート氏が予想する、史上初のビットコインETF(上場投資信託)が上場される時期だ。米証券取引委員会(SEC)は今年、ウィンクルボス兄弟のビットコインETF上場計画を否認。理由として、連動対象となるビットコイン取引所の規制の不備や透明性の欠如を挙げた。他方、米商品先物取引委員会(CFTC)は7月、レッジャーXがビットコインのオプションや先物の取引・決済業務を行うことを認めた。ETF運用会社プロシェアーズは、シカゴ・オプション取引所(CBOE)上場のビットコイン先物に連動するロングファンドとショートファンドを申請した。同社は以前からこうしたデリバティブ(金融派生商品)の認可申請を行う考えを示していた。

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