働かない松坂と契約延長しても、球団が一儲けできる背景

働かない松坂と契約延長しても、球団が一儲けできる背景

  • ITmedia ビジネスオンライン
  • 更新日:2017/08/11
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“まさか”の展開となりそうな気配だ。今季で3年契約最終年を迎えている福岡ソフトバンクホークスの松坂大輔投手が来季も契約延長となる可能性が高まってきている。

ここ最近、一部の報道でも松坂の来季契約延長について球団側が前向きに検討していることが取り沙汰され、にわかに現実味を帯びてきた。もともと松坂にはホークス入団時から「実は3年契約ではなく4年契約」とのうわさもあり、水面下では来季契約延長が規定路線となっていたフシも見え隠れしている。

いずれにしても、このまま本当に松坂が来季もホークスのユニホームを着ることになれば批判は避けられないだろう。「右肩の筋肉疲労」などで終始調子が上向かず、2015年シーズンからここまでホークスでの1軍公式戦登板はわずか1試合で0勝。2016年の10月2日楽天戦(Koboパーク宮城)に登板したものの、1回3安打4四死球5失点と無残に大炎上で終わった。

まさしく「給料泥棒」も同然。そんな松坂に対し、球団側はこれまで報じられていたように年俸4億円ベースで3年契約だとすれば12億円、最初から4年契約でサインを交わしていたとすれば実に16億円もの巨額マネーを支払わなければならないのだ。

「いや、上層部から聞いている本当の契約内容は4年16億円ではなく4年20億円だ」「インセンティブ(出来高)はあくまでも年俸4億円のプラスアルファ。だからこれだけヒドい成績でインセンティブがゼロだったとしても松坂は人もうらやむような大金を手にできる」などと赤裸々に指摘する球団関係者も複数いるほど。

ソフトバンクの緻密な勝算

それにしても、これだけの大金をロクに働きもしない松坂に支払ってホークス側には何かメリットがあるのだろうか。球団親会社・ソフトバンクの会長兼社長と球団オーナーを兼務する孫正義氏が松坂に肩入れしているとの情報も聞こえてきているが、どうやら単に情だけで「鶴の一声」を発しているわけではないようだ。

落ちぶれた“元怪物”との巨額契約の裏には、きっちりと利益を生み出している常勝軍団ホークスと世界的企業ソフトバンクの緻密な勝算がある。

「最大のメリットは大輔が入団したおかげで何と言ってもすさまじい経済効果を生み出す点だ」と球団フロントの1人は打ち明ける。

いくら落ちぶれようとも、やはり「松坂大輔」のネームバリューは絶大だ。今どれだけディスられようが、かつて彼が一時代を築き上げたことは紛れもない事実。その“元怪物”がメディアで取り上げられるたびに「ソフトバンク・松坂大輔」として登場することは親会社にとって大きな宣伝につながり、絶大な広告効果にもつながる。

簡単に言えば「腐っても松坂大輔」ということなのだ。野球ファンの中には「落ちぶれた松坂とセットにされたら逆にイメージダウンにつながるだけだろう」と鼻で笑う人もいるだろうが、親会社と球団の広告戦略があることを忘れてはいけない。

ホークス球団に出向経験のある親会社ソフトバンクの関係者は次のように言う。

ソフトバンクの広告戦略

「野球ファンはあくまでもワン・オブ・ゼムだ。小さな世界の枠組みを見るより、大きな視野を広げることが大事。つまり野球ファン以外の層はプロ野球の選手をほとんどしらなくても、松坂大輔の名前ならば知っている人が多い。

そういう人たちは松坂が活躍していようが、していまいが関心はなく、別にどうでもいい。だからメディアで『ソフトバンク・松坂大輔』の文字を見れば『ああ、ソフトバンクって松坂が所属しているんだね』という具合に各々の脳裏にインプットされる。

それは日本だけの話ではない。松坂はメジャーリーグでプレーしていたことで、過去の実績に基づいて米メディアに取り上げられるケースも少なくない。そうなれば『ダイスケ・マツザカ』のプロフィールとして『ソフトバンク ホークス』が加えられる。つまり米国を含めた世界にソフトバンクの名が発信できる。この広告効果は計り知れない」

ちなみに親会社と球団が「ソフトバンク・松坂大輔」のメディア露出による広告効果について、試算したところ「軽く30億円以上になる」との見込み額が計上されたという話もある。もしこの試算に大幅な狂いがなければ、たとえ松坂の契約内容が4年20億円でも球団と親会社は不良債権に悩まされることなく十分に回収が可能。実質上のもうけまで手にできる。

それだけではない。球団関係者によれば「実を言えば、大輔のグッズ売り上げがかなり大きい」とのことで、ホークス側から嬉しい悲鳴が上がっているのだ。まったく活躍していないのにホークス公式の松坂グッズが売れるというのもやや理解に苦しむ。

しかしながらこのへんにも「落ちぶれても松坂大輔」のファン心理があって、徐々にその数は減りつつあるも根強く怪物復活を待ち望む人たちの中にはまだまだ松坂グッズに手を差し伸べる現象が見られるというのだ。球団側からは「球団グッズの中でも大輔関連は間違いなくトップクラスに入る」との声も耳に入ってくることを考えれば、まだまだ松坂人気は捨てたものではない。

親会社であるソフトバンクの広告戦略に大きなプラス要素を生み出す上、高いグッズ収入も見込めるとあれば、たとえ“ノースロー”でも松坂との契約延長はソフトバンクにとっても球団にとっても「十分なウマみがある」と言えるのかもしれない。

ソフトバンクのしたたかな戦略

最後にホークスがこの期に及んでも松坂を抱え込む理由として「将来のビジョンがある」ことをご紹介したい。まず間違いなく松坂の現役生活は長くないであろうが、終止符が打たれた後には指導者として各球団からオファーが舞い込むことは必至だ。その事態を想定し、ホークスはあらかじめ今の松坂に恩を売って“ツバ”を付けておきたいという考えもあるようだ。

「将来的に大輔はコーチや監督になるべき逸材。過去の実績はもちろんのこと、ネームバリューも申し分ない。ホークスで指導者になれば、親会社のソフトバンクにとってもあらゆる面ですさまじい経済効果がうまれる。だから今、大輔の面倒をしっかりと見ておくことが大事だ」(前出の球団フロントの関係者)

一見すると不可解に思える「松坂囲い込み」には、ソフトバンクと球団のしたたかな戦略が見え隠れする。

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2017年第4回まで全大会)やサッカーW杯(1998年フランス、2002年日韓共催、2006年ドイツ、2010年南アフリカ、2016年ブラジル)、五輪(2004年アテネ、2008年北京、2017年リオ)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。

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