2020年度「貸切バス事業者」と「軽貨物運送業」の倒産状況

2020年度「貸切バス事業者」と「軽貨物運送業」の倒産状況

  • 東京商工リサーチ(TSR)
  • 更新日:2021/04/09

新型コロナウイルス感染拡大で、同じ運輸業界でも業種により経営環境で明暗が分かれた。
2020年度(2020年4月-2021年3月)の一般貸切旅客自動車運送業(以下、貸切バス事業者)の倒産は15件で、前年度からほぼ倍増(前年度比87.5%増)し、過去20年間で最多を記録した。
一方、貨物軽自動車運送業(以下、軽貨物運送業)の2020年度の倒産は18件(同30.7%減)で、大幅に減少した。小・零細事業者が多く、人手不足に苦慮していたが、コロナ禍での資金繰り支援策に加え、在宅勤務の広がりやネット通販の利用増などが寄与した。新型コロナ関連倒産では、貸切バス事業者はインバウンド需要の消失だけでなく、国内でも旅行自粛で修学旅行や慰安旅行などが激減、11件と約7割(構成比73.3%)がコロナの影響を受けた。これに対し、軽貨物運送業は1件(同5.5%)にとどまり、影響の大きさも対照的だった。
貸切バス事業者は、「Go To トラベル」で業績回復を見込んだが、感染拡大の影響でキャンペーンの停止状態が続く。一方、軽貨物運送業はコロナ禍の宅配需要が業績を押し上げた。人手不足や燃料高騰など収益課題も多いが、今後も宅配など小口配送の需要の伸びが期待されている。
ただ、苦境が続く貸切バス事業者、活況にある軽貨物運送業いずれも過小資本の中小・零細企業が多い。コロナ収束が長引くほど支援効果も薄れ、息切れ倒産につながる可能性を残している。

※本調査は、「一般貸切旅客自動車運送業」と「貨物軽自動車運送業」の倒産(負債1,000万円以上)を集計、分析した。

2020年度の貸切バス事業者の倒産は15件(前年度比87.5%増)で1.8倍増と急増した。過去20年間で最多の2008年度と2012年度の12件を抜き、最多を記録した。
インバウンド需要や旅行客を取り込み、2014年度以降は10件未満の倒産で落ち着いて推移していたが、コロナ禍で環境が一変。貸切バス事業者の多くは売上の大半を失い、事業継続が難しくなったケースが目立った。
2020年度に倒産した15件のうち、販売不振が12件(構成比80.0%)に達した。また、消滅型の破産が13件(同86.6%)と9割弱を占め、再建を断念した倒産が多い。
さらに、負債1億円未満が12件(同80.0%)を占め、経営体力の乏しい小・零細企業の倒産が中心だった。

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軽貨物運送業は、人手不足が深刻で、過当競争が激しかった。しかし、コロナ禍で在宅勤務や外出自粛が広がり、ネット通販による宅配需要が急増。一定の扱い数量を確保した事業者が多かったとみられ、倒産が減少した。
また、小・零細事業者が多く、コロナ支援が奏功したとみられる。ただ、もともと人手不足が続く業界のため、資金的にも思い切った設備投資は難しく、市場参入が増えて、競合が激化すると環境が暗転し、倒産が増加する可能性を残している。

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東京商工リサーチ(TSR)

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