コウテイ解散で考える「コンビ芸人の不仲」のリアルな事情...意外な原因とは?

  • 日刊サイゾー
  • 更新日:2023/01/25

喜ばしいことでは無いが、最近ではあまり珍しくない「知名度のある芸人の解散」がまた発表された。今回解散発表したのはオリジナリティ溢れるハイテンションネタで人気を博していた「コウテイ」の2人である。「コウテイ」さんは2020年には関西の若手芸人の登竜門として知られる「ABCお笑いグランプリ」で優勝を果たし、「M-1グランプリ」でもたびたび準決勝に進出するなど、若手屈指の実力派であり、名実ともに高い評価を得ていた。

そんな「コウテイ」さんが、1月20日に吉本興業の情報サイト「FANYマガジン」を通じて、1月をもってコンビを解散することを発表したのだ。

「コウテイ」さんと言えばメディアでもお互いの不満を公言している“不仲コンビ”としても有名で、2013年の結成以来、すでに2度解散している。1度目はNSC在学中にケンカとなり解散。その半年後に再結成。続いて2016年3月にコンビ仲が悪化し再び解散。同年10月に再々結成。そして今回が3度目の解散となる。

今までの解散がどういったものか詳細はわからないが、今回の解散に関して「しっかりと話し合った結果」としていることから、3度目の再結成はない可能性が高い。

今回はそんな「芸人の不仲」について、元芸人目線で分析していく。

「コウテイ」さんに限らず“不仲”が原因で解散する芸人は多い。もちろん“不仲”だけが解散の理由ではないと思うが、少なくとも要因のひとつであることは間違いない。

正直、たかが“不仲”と思う人もいるはずだ。皆さんの中でも実際に会社の中には気が合う人もいればそりが合わない人もいるわけで、そういった合わない人ともビジネスと割り切って付き合っている方も多くいる。そんな人たちからすれば、芸人もお金が稼げるなら解散せずにビジネスと割り切ってコンビ活動をしていけばいいじゃないか、という意見があるのはごもっともだ。

しかし、芸人でコンビとなるとそうはいかないのが事実。コンビは世間が思っているより2人きりで仕事することが多い。皆さんが見ている芸人の姿はテレビやライブに出演しているときがほとんどだと思うが、その場合、MCや他の芸人がいるので2人で仕事をしているイメージはないかもしれないが、テレビやライブ以外の仕事はほとんど2人でやるものが占めており、第三者がいる仕事はほとんどない。

とくに若手のうちは「ネタ」を披露する機会が多く、「ネタ」に関しては必ず2人きりになるタイミングがあるのだ。ネタを作成する「ネタ作り」はコンビのどちらかがやったり、作家が参加するパターンもあるのだが、ネタを練習する「ネタ合わせ」は必ず2人でやるものだ。この「ネタ合わせ」は不仲だと本当に辛い。

例えばネタを片方が作っているとしよう。ネタを作っている方はネタに対して愛情もプライドもあるが、ネタを作っていない方はネタを客観視して意見をいう為、ネタの価値観が違ってしまい、かならず衝突する。さらにネタを作っている方は自分の方が仕事をしている気になってしまい、薄っすらと上下関係を意識してしまうため、不仲だと作っていない方を下に見て意見を軽視してしまう傾向にある。こうなるとネタを作っていない方は自分の面白いと思うものが意見として通らず、気が付くとネタの全権が作っている方に握られてしまい、ネタ自体が楽しいものでは無くなってしまい、ネタの台本を見ても不満だけが募り、しまいには自コンビのネタで笑う事がなくなり不仲が加速していく。

両方がネタを作るコンビは比較的不仲にはなりにくいが、それでも意見がぶつかることはあるので、見えない上下関係があるコンビならなおさらだろう。

不仲になる原因のひとつに“お笑い芸人らしさ”がある。その“らしさ”というのはテレビに出ているような先輩芸人が良く言う「プライベートは知らない」的なやつだ。コンビだけど家に行ったこともなければ電話番号も知らないというエピソードはいかにも芸人らしい。

一見すると仲が悪くなったように感じてしまうかもしれないが、これは芸人として必要な形で、テレビやライブでフリートークをする際にコンビが同じような情報ばかりだと話が広がらないし、新鮮なリアクションも取りづらい。さらに別々のテリトリーを持つことによりコンビ間が程よい距離感を保つことが出来て、さらに仲良くなることは無いが、仲が悪くなることも無いのだ。

芸人は元々は仲が良い友達で笑いの感覚が合うからコンビを組むというパターンが多い。友達のまま芸人を続けていても良いのだが、大体は上記のように別々のコミュニティを作り、友達関係からビジネスパートナーになり、長くコンビを継続していく。これが芸人が憧れる芸人らしさであり、コンビの形なのだ。

この形になるまでに、ほとんどのコンビが経験するのだが、お互いのコミュニティがコンビの楽しさを上回ってしまいコミュニティにいる芸人と相方を比べて「隣の芝は青い」状態になり、相方の粗が見えるようになり、もっとこの芸人みたいにしてほしいとか、この芸人の方が相方より優れていると思ってしまい、相方への不満が募る。お互いが努力し、お互いの絆を信じることにより、この困難を乗り越えて初めてビジネスパートナーになれるのだ。この困難を乗り越えられないと不仲芸人となり、挙句の果てに解散となってしまうのだ。ビジネスパートナーと不仲芸人は表裏一体なのかもしれない。芸人とは何と繊細な生き物なのだろう。

ちなみに芸人の中には“不仲”を売りにして活動しているコンビもいる。しかし元芸人の僕が見る限り、本当に不仲なまま一緒に活動している芸人は一組もいない。共演するのは年に1回あるかないかという芸人でも、共演することがあるのなら、その芸人は不仲ではない。ただ共演するタイミングが無いだけで、お互いを一番面白いと思っており、お互いを一番信頼しており、お互いを一番笑わせたいはずだ。

コンビを組んで四六時中一緒にいると、どこかで歯車が狂ってしまうことがある。素直に謝れば違ったとか、あの時意地を張らなければ今と違う関係性になっていたとか。

でも大前提としてコンビはお互い仲良くしたいと思っているはずで、ビジネスパートナーになろうが友達は友達なのだ。不仲芸人の代表だった「おぼんこぼん」さんを見ても一目瞭然だ。ちなみに「おぼんこぼん」さんのコラムを過去に書いているので、お暇な方はぜひご覧ください。

何かと変わりつつあるお笑い界。過去の芸人たちが当たり前のように行ってきた「芸人らしさ」はそろそろ見直さなければいけない風習なのかもしれない。

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