3年働いてみてわかった!雇用形態、稼ぎ、保証、Uber Eats配達員のリアル

3年働いてみてわかった!雇用形態、稼ぎ、保証、Uber Eats配達員のリアル

  • @DIME
  • 更新日:2021/01/14
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コロナを機に利用者が増えているUber Eats。働き方も配達システムも斬新で、注文する人やお店にとってはいいサービスだが、配達員の立場でサービスの実態を見つめると、決していいところばかりではなく……。

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Uber Eats配達員兼本誌ライター Wさん
フリーライターとラジオの構成作家を生業にしつつ、空き時間に副業でUber Eatsの配達員もこなす。都内を自転車で激走する生活のおかげで15kgのダイエットに成功!

メタボ解消とスキマ時間の活用で始めた配達員

2016年に日本上陸したUber Eats。私がその存在やシステムを知ったのは、2017年秋のこと。注文者側のサービスよりも、「好きな時間にアプリをオンするだけで仕事が始められ、オフにしたら仕事が終了できる。面倒そうな配達依頼の場合は拒否してもOK」という配達員側のシステムに大きな関心を抱いた。

ちょうどその頃、私は医者からメタボ体型について、「そろそろ運動しないと、大変なことになる」と忠告されていたこともあり、運動を始めなければ……と考えていた時期。スポーツジムに入会して空いた時間にジムへ行き、エアロバイクを漕ぐと会費がかかる。が、Uber Eatsの自転車配達員として空いた時間に自転車を漕げば健康を維持しつつ、お金がもらえる。そんな理由から2018年1月より配達員としての生活がスタートした。

配達を始めた当初のサービス提供エリアは、山手線の内側と、外側の一部地域ぐらい。配達員も少なく、あの大きなバッグを背負って自転車を漕いでいる人と出会うことは日に1〜2度ほど。すれ違うと「おつかれさま!」と挨拶を交わすような感じだった。

この頃は運営側も、配達員側も「新しいサービスを育てていこう」という意識があり、運営側が配達員を慰労するイベントなども行なわれていた。

しかし、自転車で都内をグルグル回る生活を始めてから約3年。配達員を取り巻く環境は大きく変わった。

Uber Eatsは幅広い世代へ急速な浸透

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右のデータは2020年3月までのものだが、配達した実感として緊急事態宣言が出た4月以降、配達依頼はグッと増えたように思える。

誰でもカンタンに配達員になれるけれど……

これからUber Eats配達員の現状を書いていこうと思うが、その前に配達員の働き方について説明をしておこう。

まずは、配達員用アプリを立ち上げ、「出発」と書かれたボタンを押す。すると、「新型コロナウイルス感染症にかかった可能性がある場合や、関連する症状がある場合は運転しない」「マスクを着用している」「定期的に手を洗うか、消毒している」「自転車・バイク・車両を今日消毒した」といったチェック項目が出る。各項目のチェックボタンを押すと、今度は顔認証機能が立ち上がり自分の顔を撮影。登録している写真と同一人物であることが確認されると、配達が可能になる(顔確認はランダムで現われるので出ないことも)。

配達可能状態で待機していると、配達の依頼がやってくる。依頼が来ると、まず店までの所要時間が表示され、「依頼を受諾する」ボタンと「拒否する」ボタンが現われる。受諾ボタンを押すと、受け取り先の店の場所が表示される。

店で商品を受け取り、「配達開始」ボタンを押すとお客様の配達先が表示されて、配達できるようになる。商品を届けて、「配達済み」ボタンを押せば終了。距離や時間帯ボーナスなどが自動計算され、報酬が決定する(配達距離は、店から配達先まで)。

ちなみに、配達員には自転車軽自転車、バイク(125cc以下、もしくは以上)の4種類がある。私がやっている東京23区内の自転車配達員の場合、配達距離は3km以内。1回の配達で得られる報酬は平均で400〜450円程度。バイクの場合は長距離の配達が多いので、1回の配達で平均500円以上稼げるという。

報酬は週払いで、月曜から日曜日まで働いた分が、翌週の月曜から水曜日に振り込まれる(遅れる場合もある)。

Uber Eats配達員たちが感じているメリット

●社会のセーフティーネット
バッグを用意したら、誰でもすぐに働ける。

●週払いなのですぐに収入ゲット
日曜日に働いた分が月〜水曜日に入金。

●エリアフリーの新しい働き方
アプリを立ち上げれば全国どこでも働ける。

今の日本の社会にとって必要な働き方のシステム

前述したが、Uber Eatsのシステムで一番の美点は、働く時間を自由に決められることだ。アルバイトのように前もってシフトが決められていないので、副業にピッタリ。また、働いた分のお金がすぐに銀行口座に振り込まれるシステムもすばらしい。

さらに、誰でも手軽に配達員になれる点もいいところだ。私が配達員になった頃は、スマホに配達員アプリをダウンロードしたあと、当時恵比寿にあったパートナーセンターで配達員登録や例のバッグの受け取り、そして配達員としての働き方を説明する映像を見るという手順が必要だった。だが現在は、配達員アプリをダウンロードして、Amazonでバッグを購入するだけでOK。バッグさえ届けば、誰でもすぐに配達員を始められるのだ。

このシステムは、事情によって職に就けない人や急な休職に追いやられてしまった人たちのセーフティーネットとして一定の役割を果たしていると感じている。

サポートセンターがサポートしてくれない!

だが、長い間働くうちに、ありがたいと思う部分以外が目につくようになってきた。

私が最初に気になったのは、トラブルが起きた際のサポートセンターの対応だ。配達員を始めてから1年後のある日。某寿司店に商品を受け取りに向かうと、お店は大忙しだが握る職人さんはひとりだけ。宅配用の寿司を握る余裕はなさそうで、ついには店員から「相当時間がかかる」と言われた。当時は商品を受け取らないとお客様と通話やメールが設定できなかったので、サポートセンターに電話。事情を話すと、次のような言葉が返ってきた。

「時間がかかるなら、その注文を断って、別の注文を受けたほうが効率よく稼げます。私たちはそのような対応をお勧めしております。注文をキャンセルしたペナルティーはつきますが……」

注文したお客様のスマホには、私の顔が映されており、私のいる場所も地図上に記されている。キャンセルした場合、私が配達依頼を放棄した旨が先方のアプリに表示される。店側の都合にもかかわらず、自分のせいにされてはたまらない。そこで「事情をお客様に伝えてほしい」と伝えると、こんな回答が返ってきた。

「配達のキャンセルは、ご自身の責任で行なってください」

書かれたことを読み上げ質問には答えない運営側

ちょうどその頃、私と同じように運営側の対応に疑問を持った人たちが労働組合を結成すると聞き、「ウーバーイーツユニオン」に参加することにした。組合に入ったことで、ほかの配達員と交流する機会が増えたが、そこから聞こえてきたのは運営のひどさだった。

「顔認証機能のバグで、本人なのに別人物と認定される。そうなると丸一日アプリが停止されてしまうので働くことができない」

「ナビ機能が脆弱で、自転車配達員なのに高速道路を走れと指示が出る」

「配達時間の目安の表示が適当で、5km先にある店にもかかわらず『お店まで2分』と表示される。自転車でもバイクでも当然、無理。しかしお客様のアプリの到着予想時刻も、それ前提で表示されるので、『遅すぎる!』と怒られ、配達後にBAD評価がつけられた」など枚挙にいとまがない。

組合結成から2か月後、運営側は東京エリアの配達料の改定を行なった。

「東京エリアの1km当たりの配達料が150円から60円に下がる」

と一方的にメールをしてきたのだ。配達料は距離料金と基本料金で構成されるので、収入が6割減らされるというわけではないが、大きなダメージとなる。運営側から配達員に「説明会を開く」という一斉メールが送られてきたので組合員のひとりが出席。その模様を後日聞いてみると……。

「全然事情を知らないアルバイトみたいな人が、壇上で紙に書かれていることを読み上げて、その後配達員から質問したら、『私にはわかりかねます』とか『それは企業秘密なので申し上げることはできません』としか答えない。説明でも何でもなかった」という。

ちなみに運営側はこの件に関して、「数回にわたり説明会を開き、しっかり対応した」と言っている。

さすがにこの問題を放置してはいけないと考え、組合では運営側に抗議したが、運営側は、「配達員は労働組合法における労働者ではない」との理由で組合を認めず、話し合うことさえできなかった。

以降、組合活動や個人的な配達で出てきた不満は……。

「事故に遭った際に見舞金が支払われる制度が始まったが、交渉特約がないので、自力で相手と交渉をして示談までもっていかないといけない。ケガしている中、相手と交渉するのは大変だ」

「保険を使うと、アカウント停止となってしまうことがある」

「BAD評価が多くなると、アカウントを停止されるかもしれない……というプレッシャーがかかり、商品を早く届けるために無理な運転をしてしまう」

「報酬制度が予告なく変更されることがあり、専業で配達員をするには不安がある」

「コロナの影響で、配達員が激増。にもかかわらずサポートセンターの受け付け規模縮小で、トラブルがあった時に電話がつながらない」

これらの問題は、少なくとも組合が調査した限りでは解消されていない。

専用ナビが交通違反の原因!?

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独自のナビシステムは、場所によってとんでもない表示が出ることも。原付き配達員に聞くと「『一方通行を逆走しろ』みたいな指示も出る」とのこと。

天国か地獄か?2択の評価基準

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評価は「GOOD」「BAD」しかないため、満足度が49%でも「BAD」評価の可能性が。BADが多いと、運営側から注意喚起メールが来る。

さらにUber Eatsが日本で発展するための条件は?

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配達員は注文を受ければ受けるほど、予期せぬ交通事故の可能性が高まる。運営側は、不十分な保証制度を見直すのだろうか?

徹底した責任回避のスタンスを取る運営側

組合は現在、東京都労働委員会に救済を申し立て、「ウーバーイーツユニオン」を正式な労働組合として認め、団体交渉に応じるよう求めている。

この席で出てくる運営側の主張は、基本的に驚くものが多いが、先日はこんな言葉が飛び出した。

「我々はアプリを提供しているだけの会社。うちとの契約は『Uber Eats』というアプリを使うかどうかという点だけ。商品を作る、配達するといった関係は、お店、お客様、配達員の方々が個々で行なう契約なので、我が社は関与していない」

この「私たちは関係ない」という責任を回避するスタンスは社風なのか。最近、配達員の自転車に追突された大阪の女性が配達員と運営側を相手取り訴訟を起こしたが、初公判で運営側は「事故は配達員と原告の間の問題。私たちは一切関係ない」というスタンスを取り、争う姿勢を示している。

ユニオンが運営側に要求した内容

●事故やケガの補償
現在の保険制度が利用方法に不明点が多い。

●運営の透明性
アカウント停止の際、ハッキリとした理由の説明を。

●適切な報酬
依頼を受けた場所から店まで向かう移動にも配達料を。

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この1年で、事故を起こした配達員への聞き取り調査の結果を記者会見したり、配達員にドリンクを配布するイベントを行なってきた。

まずは、安心して配達できる保障制度を

ほかにも、GPSを使った配達員追跡機能による女性配達員のプライバシー侵害問題や、現金授受の際のトラブル、事故を誘発しやすいボーナス制度など、問題点を挙げていくときりがない。さらにコロナで配達員が急増したことで、新たな問題も多く生まれているが私個人としてはまず、安心して配達ができる環境づくりを整備していただけたらと。2019年4月より東京都では自転車の利用者に対し、保険の加入が義務づけられた。これは東京都では「自転車は事故を起こしたら、高額の賠償請求をされる可能性がある乗り物」とみなされたようなもの。そのような乗り物を利用して配達するのだから、それなりの保障があると安心して働けるからだ。

個人事業主は自己責任だ、という意見もあるだろうが、事故の被害者は配達員と関係ない人たちだ。もし、あなたが配達員の自転車に轢かれて、「保険がないから治療費が払えません」「交渉特約がないので、どう話し合っていいかわかりません」と言われたらどう感じるだろうか。配達をする人の中には、自分で保険に加入する経済的な余裕がない人も多い。運営側にはぜひ、現在の自転車事故のリスクを踏まえた新たな補償制度を検討してもらいたい。

ライターWが告白!Uber Eats配達員たちの苦難5選

突然の「エコ設定」導入で、お客様からクレーム続出

注文者用のアプリをアップデートすると自動的に箸を付けない設定になるという仕様にしたため、「箸がない!」のクレームが配達員に。

困り度:★★★★

商品がこぼれるのはドライバーのせいだけじゃない

Uber Eatsを始めたばかりのカフェでは、飲み口となるフタの小穴を塞がずに、「これを運んでください」と配達員に渡すところも。

困り度:★★★

〝置き配指定〟でインターホンを鳴らすと文句が!

商品を置いた後、インターホンを鳴らして立ち去るよう運営側から指示されているが、深夜にこれをやるとBAD評価をする人がいる。

困り度:★★

店によってドレスコードがあることも

「お店で食事を楽しむお客様が不快にならないような服装で」と指示する店があるが、夏の配達はどうしても汗だくになる。

困り度:★★★★★

曖昧な指定で、お客様もドライバーも困惑

注文者のアプリは、住所をしっかり指定しなくても使用可能。そのため地図上に示された場所と実際に運ぶ場所が異なることも。

困り度:★★★★★

文/編集部

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