「作業員のためのアプリ」で40億円を調達した28歳起業家の夢

「作業員のためのアプリ」で40億円を調達した28歳起業家の夢

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2020/05/25
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2014年にカリフォルニア大学バークレー校を卒業したばかりのライアン・チャンは、浄水場で化学エンジニアとして勤務していた。当時の彼が直面した課題の一つが、様々な機器に発生する機械的なトラブルへの対処だった。

メンテナンスに用いるソフトウェアも存在したが、それらを用いると仕事のペースが大幅に落ちてしまうのだ。

「全てのソフトウェアはデスクトップベースのものだった。しかし、現場の作業員はデスクワークとは無縁の人々だ」とチャンは話す。

その後、チャンは作業員向けのモバイルベースのアプリを開発することを思い立った。彼は独学でコードの書き方を学び、夜間や週末に開発を進めていった。そして2016年に、施設管理者やメインテナンス担当者向けのアプリ「UpKeep」を完成させた。

UpKeepは現場の作業員たちが、修理が必要な機器をフラグ立てし、施設全体の修理状況を管理する機能を持つアプリだ。

現在28歳のチャンは、2018年のフォーブスの「30アンダー30」に選出されて注目を集め、先日のシリーズB資金調達で3600万ドル(約39億円)を調達した。今回の調達を主導したのはインサイトベンチャーズで、既存出資元のEmergence CapitalやBattery Ventures、Yコンビネータ、Mucker Capital、Fundersclubからも新たな資金を獲得した。

UpKeepのCEOを務めるチャンは、「暮らしのインフラを支える人々のためのツールを提供していきたい」と話す。同社のアプリは現場の作業員のコミュニケーションに用いられ、浄水場だけでなくエレベータの修理や消火活動、工場などで修理が必要な機器のデータを共有可能にする。

例えば、ビルのメンテナンスの作業員が、補修が必要なエアコンを発見した場合、その機器の写真をスマホで撮影して共有する。すると、その写真を確認したマネージャーが、必要なスキルを持った担当者を現場に派遣するのだ。

「この方法であればデバイスの状態を正確に把握することが可能で、修理プロセスの管理も的確に行える」とチャンは話す。

気づいたら起業家になっていた
UpKeepが処理した修理オーダーの件数は累計で1000万件を突破し、昨年の売上成長率は206%を記録したという。同社の従業員は100人を超えており、2000社以上の顧客を抱えている。UpKeepのアプリは、ユニリーバやシーメンス、マリオットやマクドナルドでも採用されている。

チャンによると、施設の管理業務は人目につかないため、見落とされがちなエリアだという。「世間の人々の大半は、修理や清掃を行う人の業務をあまり理解していない。しかし、メンテナンス業務は国を問わず、世界のあらゆる分野に存在するものだ」

ロサンゼルスでUpKeepを創業したチャンは、2017年にYコンビネータのプログラムに参加し、300万ドルのシード資金を獲得した後、2018年のシリーズAで1000万ドルを調達した。

今回調達した3600万ドルを合わせると、UpKeepの累計調達額は5000万ドル近くに達している。しかし、大学で化学エンジニアリングを学んだ彼は元々、起業家を目指していた訳ではないと話した。

「エンジニアリングの世界を志したのは、モノづくりや手作業が好きだからだった。しかし、実際にエンジニアとして働き始めると、この業界は変化が遅く、自分が思うようなスピードでモノづくりが出来ないことに気づいた。だったら、テクノロジーの力で自分が思うような環境を実現してやろうと思ったんだ」とチャンは語った。

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