「瀕死のキャラが何の理由もなく根性で立ち上がるのとか見ていると...」  インパルス板倉俊之が『進撃の巨人』にハマったわけ

「瀕死のキャラが何の理由もなく根性で立ち上がるのとか見ていると...」 インパルス板倉俊之が『進撃の巨人』にハマったわけ

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/04/09

『別冊少年マガジン』で連載中の大ヒット漫画『進撃の巨人』(以降、『進撃』)。

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本作は現在、漫画は残すところあと1話、アニメもファイナルシーズンが佳境に入り、日本のみならず世界中でファンを熱狂させている。

そのストーリーはこうだ。突如出現した人を食らう巨人たちに自らの生存権を脅かされた人類は、広大な土地に巨大な三重の壁を築き暮らしていた。しかし巨躯を持つ「超大型巨人」、そして壁を破壊する外皮を纏った「鎧の巨人」の襲撃により壁は突破され、人類は100年ぶりに巨人に蹂躙されてしまう。10歳だった主人公エレン・イェーガーはその襲撃により母親を目の前で食い殺され、巨人への復讐を誓うのだった……。

そんな絶望のダークファンタジーに魅せられたのが、昨年9月3日に放送されたテレビ朝日系の人気トーク番組『アメトーーク!』の「進撃の巨人芸人」にも出演した、人気お笑いコンビ・インパルスのボケ担当である板倉俊之さんだ。

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今回はディープな『進撃』ファンである板倉さんにインタビューを敢行。最終回が目前に迫った『進撃の巨人』に関して、まだ読んでいない人でも思わず読みたくなること請け合いのアツすぎる想いを語り尽くしていただいた。 (全2回の1回目/後編を読む

綺麗事も根性論もない、ロジカルでハードな世界観に魅了

――まずは板倉さんが『進撃の巨人』という作品と出会ったきっかけを教えてください。

板倉 芸人やる前にガソリンスタンドでバイトしていた頃は、全週刊漫画雑誌を同僚と分担購入して読破していたんですが、芸人やるようになり、忙しさで単行本派になりました。でも、今度はおもしろい漫画を探すのが大変で、周りの信頼できる人たちに勧めてもらうようになったんですが、そのときに『ゴッドタン』(テレビ東京系)とか手がけてきたプロデューサーの佐久間宣行さんに、「板倉は『進撃』絶対ハマると思うよ」って紹介してもらって。読んだらまあ、これがおもしろくて……。僕、少年漫画でも『HUNTER×HUNTER』みたいに毒がある作品が好きで、逆に綺麗事とか根性論ばかりの作品は読めないんですよ。だから『進撃』はピッタリでしたね。

――根性論や綺麗事の漫画、苦手なんですね(笑)。

板倉 瀕死のキャラが何の理由もなく根性で立ち上がるのとか見ていると、「は? なんで?」ってなっちゃうんですよ(笑)。だから、『ジョジョの奇妙な冒険』みたいな“理由のある勝利”がちゃんと描かれる作品が好きですね。

綺麗事に関して言うと、暴漢に襲われるミカサをエレンが救う二人の出会いのシーン、あそこでハマりました。「うお、(暴漢を)殺すんだ!」って。あの場面って現実だったら殺るしかないじゃないですか。今何かにつけて暴力反対が叫ばれますけど、それは大前提としたうえで、この現実の世界でも「誰かの暴力に救われていますよ、あなたたち」って場面もよく日常で感じるんですよ。そういう目を背けがちな部分を逃げずに描き切ったのにやられました。

理由のないことは起きない、謎は必ず解明する

――ここからまだ読んでいない読者に向けて、『進撃』の魅力を語っていただきたいのですが、まずはそのストーリーの妙についてお聞かせください。

板倉 『進撃』って、謎が謎を呼ぶミステリー展開がベースにありますけど、必ず解明されるから途中であきらめないで、と言いたい。少年漫画って人気商売なので、色々な意見が入って作者の思い通りにできず、割と謎を投げっぱなしで終わるものも多いじゃないですか。でも『進撃』はブレずに進んでいくので安心してほしいです。

――そんな作劇の部分に関して、板倉さんは今年の1月25日に『鬼の御伽(おにのおとぎ)』という新作小説を発表なさるなど、小説の執筆もされていらっしゃいますが、ご自身の作品と『進撃』の間に共通項など感じますか?

板倉 自分で書くものに関しては“サプライズを必ず用意する”、“理由のないことは起こさない”というのが信条です。現実では不思議なものを目撃しても「あれ何だったんだろうな」で終わることも多いですが、僕はそういうのは物語のなかでは許されないと感じているので。そうやって考えると謎にきちんと光を当てていく『進撃』とは、恐縮ですけど僕の小説と近しい部分があるかもしれませんね。

ミステリー、アクション、そしてリアルな人間ドラマも魅力

あと、さっき『進撃』は謎が謎を呼ぶミステリー展開がベースって言いましたけど、そこにアクションや濃厚な人間ドラマまでついて来るので、かなりお得な作品です。悪党・脇役にまでドラマありますから。不正を働いていた憲兵団の人が、「こういう役には多分順番がある…」って言ったセリフが後々効いてくる場面とかね! あと、ニック司祭とか最初超ムカつくのに、先読み進めると「司祭の立場ならこうなるか」とか……、すみません脱線しました。

――(笑)。人間ドラマで言いますと、中盤以降展開される「王政編」は巨人があまり出てこず、人間ドラマの駆け引きがメインでした。

板倉 あのへんは、ダレるって言ってる人もいましたけど、僕すごい好きなんですよ! このパートの敵対者として登場するケニー一派が使う対人立体機動装置に対して、対巨人用の立体機動装置を持つ主人公たちが苦戦を強いられるところとかリアルだし。

――ちなみに『アメトーーク!』の「進撃の巨人芸人」ではアンガールズの田中卓志さんが、「王政編」で離脱されたとおっしゃっていましたが……。

板倉 だから、その程度の感性なんですよ、あの人は(笑)。いや、真面目な話、「王政編」は壁の中で暮らしていたらいずれ起こりうる戦いを描いているんで、「全然巨人でてこねぇじゃん」みたいな感覚は読んでいて全くなかったですね。

ビギナーに注目してもらいたい、板倉さんオススメのキャラ

――では初心者に注目してもらいたいキャラクターを教えてください。

板倉 まずリヴァイ兵長の格好良さに惚れるから。クールでめちゃめちゃ強いっていう、人気投票やると主人公より上いっちゃうキャラでシンプルにシビれますよね。ただ、リヴァイ兵長に自分を投影できるかというと、やっぱ格好良すぎて無理なんでね、そのへんはまた別のキャラかな。

――自分を投影できるキャラは誰なんでしょうか?

板倉 エレンかなぁ。やっぱね、すぐブチギレて問題起こすっていう性格が、自分の過去とリンクしたんですよね(笑)。言わなきゃいいのに言っちゃうんですよ! 物語中盤であるキャラにエレンが拉致されちゃうところで、不利な状況なのに「お前らができるだけ苦しんで死ぬように努力するよ…」ってエレンが毒づくじゃないですか。そういうところに「そうなんだよ、言っちゃうんだよねぇ~」って感情移入しちゃいましたね。

あとは、オススメはサシャですかね。暗い展開ばかり続く『進撃』で、度が過ぎた食いしん坊のサシャがいい感じに場をなごましてくれるんですよ。蒸かした芋を苦渋の決断で割って渡す場面で、「イカれてんだろ…」って突っ込みたくなるくらい割った芋のバランス悪いギャグとかね(笑)。でも、そんなサシャがある少女を助けるために命がけの行動起こすところで、また泣かされるんですよ……。

◆◆◆

徐々にトークのボルテージが上がってきた板倉さん。後編では板倉さんが読んでいて嗚咽したという珠玉の名シーンや、物語のクライマックスであり、人間の暗部を描き出している「マーレ編」に関して熱量たっぷりのお話をしていただいたので、ぜひ後編もチェックしてほしい。

【続きを読む】「『マフラーを巻いてくれてありがとう…』のところでは変な嗚咽出ました」 板倉俊之が選ぶ、最終回直前『進撃の巨人』の名シーン

(文=TND幽介〈A4studio〉、撮影=文藝春秋/杉山秀樹)

「『マフラーを巻いてくれてありがとう…』のところでは変な嗚咽出ました」 板倉俊之が選ぶ、最終回直前『進撃の巨人』の名シーンへ続く

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