映画『生きててよかった』で 45歳にして初主演を飾った 逆輸入俳優・木幡 竜

映画『生きててよかった』で 45歳にして初主演を飾った 逆輸入俳優・木幡 竜

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  • 更新日:2022/05/14
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強制的に引退を強いられたプロボクサーの男が、地下格闘技の世界に足を踏み入れてしまう『生きててよかった』で、45歳にして映画初主演を飾った木幡 竜。自身もプロボクサーの経歴を持つ異色の逆輸入俳優が、これまでのキャリアを振り返る。

●プロボクサーから俳優に転身

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――子どもの頃の夢は?

強くなりたかったです。中学生のとき、友だちがヤンキーに絡まれてボコボコにされたことがあって、僕はそれを見ながら「やめろ!」ということしかできなくて……。助けることができなかったんですよね。

――それが中学2年のときにボクシングを始められることに繋がるんですね?

キックボクサーをやられていた非常勤講師の先生に勧められたことも大きいですが、友だちとの出来事も大きく、圧倒的な力が欲しかったんです。その後、高校ではインターハイや国体で3位になり、大学に進学してからは、オリンピックを目指しました。

――その後、プロボクサーとなり、俳優に転身するきっかけは?

実際、日本3位の成績でオリンピックに出場できなかったのですが、プロとなり、大橋ジムの会長さんのところでお世話になりました。その後、「無敗で日本チャンピオンになったらプロを続ける」という目標を立てて頑張りましたが、二戦目で引き分けになってしまったんです。

それで、以前からとても興味があった映画の道、俳優の道に進むことに決めました。山田洋次監督の『息子』で観た永瀬正敏さんの演技が大きいかもしれません。

●中国映画界のスゴさを目の当たりに

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――そして、2004年から俳優活動を始められます。

知り合いの俳優に誘われ、事務所に入りました。正直ボクシングができることを売りにしていたわけでもないですし、日本ではアクション映画自体多くないこともあって、演じていたのはアクションとは関係のない普通の人の役ばかりで、『陰日向に咲く』で初めてちゃんとした役をもらいました。その後、30歳ぐらいのときに中国映画のオーディションを受けました。

――2008年に、日本人兵役を演じられたルー・チュアン監督作『南京!南京!』ですね。

何度か撮影が延期されるなかで、やっと決まった役です。そして、その映画のプロデューサーでもあったハン・サンピンに声をかけてもらって、『東雨風』(日本未公開)に出ることになりました。

中国語がまったく喋れないこともあって、最初は断ろうと思っていたんですが、行き当たりばったりな感じで、中国映画界でやっていくことになりました(笑)。それで3本目に出演したのが、『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』です。

――『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』では、主演のドニー・イェンとの壮絶なバトルシーンもありました。

現場ではドニー・イェンを中心としたスター共演作であることの豪華さに圧倒されましたし、中国でスゴいアクション映画を撮れる理由を、実体験を通じて感じました。とにかく、お金と時間と人材があるんですよ。

また、この作品で武術指導として参加されていた谷垣健治さんからも、映画におけるアクションについて、いろいろ学ばせてもらいました。そして、この作品に出演したことで、中国の監督たちに「木幡 竜はアクションもできるんだ!」というアピールができました(笑)。

●身体作りと精神的にも追い込んだ壮絶な役作り

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――その後、中国人役も演じられる俳優として活躍されます。そして、21年に放送されたドラマ「アバランチ」では秘密組織の工作員役に出演。綾野 剛さんとのアクションシーンも大きな話題を呼びました。

19年に綾野さんが『破陣子』(日本未公開)という中国映画に出演されたんですが、僕もその作品に出演していたんです。それがきっかけで綾野さんや綾野さんの事務所の方と仲良くさせていただいた縁もあり、「アバランチ」にお声がけしていただきました。

何を考えているか分からない、感情を表に出さない不気味な役でしたが、TVドラマだったこともあり、とても反響が大きかったですね。

――最新主演映画『生きててよかった』では、プロボクサーを引退した創太役を演じられています。作品を観ると、鈴木太一監督やアクション監督である園村健介さんとの絶対的な信頼関係が見えてきます。

この映画は企画を立ち上げてから、5~6年かかった作品なので、鈴木監督やプロデューサーとはいろいろ話し合っています。脚本もかなり変わっていって、人間ドラマやエンタメ要素を増やしていきました。

また、アクションシーンに関しては、中国映画流というか、アクション監督に絶対的な権限を持ってもらうようお願いし、園村健介さんを紹介してもらいました。彼がアクションを担当した『ディストラクション・ベイビーズ』での生っぽさを出したかったんです。

――約2ヶ月で10キログラムを減量し、体脂肪率3%まで仕上げた身体作りなど、苦労されたことは?

悶々としている創太という人間を演じるにあたり、撮影前から2ヶ月ほど、僕自身も悶々としながら、ウィークリーマンションにひきこもって生活していました。あえて、自分からそういう状況に追い込んだのですが、身体作りや減量といったことよりも、それが精神的にいちばん辛かったです。

●今後も日中分け隔てなく、活動していきたい

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――本作では、どんな新しい木幡さんが見られると思いますか?

個性的なキャラクターによる物語が展開していくなか、アクションに関しては、これまでの日本のアクション映画とは違うものになっていると思います。また、創太の奥さんとのラブシーンに関しても、鎌滝恵利さんと本気と本気のぶつかり合いをしているんです。そこも是非、注目してもらいたいです。

――今後の目標や展望について教えてください。

日中分け隔てなく、日本でも仕事をしつつ、これまで通り中国でも活動していけたらと思っています。実際、コロナ禍で1年半近く中国には行けていないですが、どんどんいい作品を残していけたらと思います。

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木幡 竜(こはた りゅう)

1976年9月12日生まれ。神奈川県出身。プロボクサーとして活躍後、2004年に俳優デビュー。09年の中国映画『南京!南京!』で才能を見出され、単身中国への活動に拠点を移す。その後、数々の作品に出演するなか、21年にはドラマ「アバランチ」にも出演。キレのいいアクションと独特の存在感で注目を集めた。

文=くれい響
写真=佐藤亘

くれい 響

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