篠崎愛「サテライトオフィスCM」が関心引いた証拠

篠崎愛「サテライトオフィスCM」が関心引いた証拠

  • 東洋経済オンライン
  • 更新日:2023/01/25
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タレントのダンスが企業の成長の鍵!?(画像:サテライトオフィス公式サイト)

「(中略)♪サーテ ライトオフィス、サテライトオフィス、さて、サテライト、オフィス」

「クラウドってどうするの?」と声を上げる中年のビジネスマンに対して、女優・グラビアアイドル・YouTuberなど多才な活躍を見せるタレントの篠崎愛さんがビジネススーツに身を包み、民謡「おおブレネリ」のメロディーに合わせて踊りながら歌う。テレワークに欠かせないクラウドサービスの導入支援を行う「サテライトオフィス」のCMだ。テレビで見かけたことがあり、記憶に残っているという人も少なくないだろう。

テレビCMの効果は「GRP(広告出稿回数ごとの視聴率を足した数値)」や、広告認知・ブランド認知などの調査データなどで測られることが多かったが、最近はテレビCM放映中のブランド名や商品名での指名検索数の変動を測り、視聴者の動きを把握しようとする「指名検索」という手法もある。

この「指名検索」をさらに掘り下げたのが「指名検索スコア」。指名検索スコアとは、CM放映の前後数分間に増えた指名検索数をCMのインプレッション数で割ったスコアのことで、理論上はこのスコアが高いほどCMによってブランド名がより効果的に検索されたことになる。

2022年9月のCM効果ランキング上位はコロナ関連

今回は2022年9月に放映されたテレビCMにおける「指名検索スコア」を、筆者が所属するノバセルが提供する、あらゆるテレビCMの効果を可視化する「ノバセルトレンド」で調べてみた。

なお、指名検索数は検索エンジン側で指数化したものを使用し、インターネットに接続しているテレビでのCM接触率から全世帯での表示回数を概算した数字をインプレッション数とした。

まず、2022年9月にテレビで放映されたCMの指名検索スコアランキングを見てみよう。

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(外部配信先ではランキングやグラフ・図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

過去最大規模の新規感染者数を記録した新型コロナウイルス感染症の第7波が収束に向かいつつあった2022年9月。世情を反映してか、東京都による「こまめな換気による感染対策」を推奨するCMが最も高いスコアを記録した。

2020年に新型コロナウイルスのパンデミックがはじまって以来、感染対策を取り入れた「新しい生活様式」が浸透してきていることを受け、テレビでも関連するサービスや製品を訴求するCMを見る機会が増えている。

2022年8月の指名検索スコアランキングではトゥーコネクトの小型空気清浄機「Airdog(エアドッグ)」が1位だったが、同9月は6位に「新しい生活様式」に対応したサービスとして、「サテライトオフィス」のCMがランクインした。

「サテライトオフィス」躍進の要因は篠崎愛さん?

昨年9月に主に放映していた「歌編」は、記事冒頭で紹介した内容。主にサービス認知を目的としていた。一方、昨年2月に主に放映していた「カフェ編」は、クラウドに関する悩みを抱えているビジネスパーソンのぼやきを篠崎愛さんがカフェで偶然耳にしたという設定。「ワークフロー」や「セキュリティー」といった具体的な課題に対して、サービスへの理解を深める内容になっている。

昨年1~9月で合算すると、「歌編」の指名検索スコアのほうが「カフェ編」よりも約1.5倍高かった。つまり、サービスへの理解を深めることを重視したCMよりも、サービス名の認知を目的としたCMのほうが視聴者により多く検索された──より深く刺さったということだ。

総務省の「通信利用動向調査」によると、令和3年のテレワークを導入している企業の割合は51.9%で、前年度の調査から4.4ポイント上昇している。高いニーズを背景にCMを投下したと考えられる「サテライトオフィス」のCMだが、同様のサービスを訴求するCMはほかにもある。

そんななか、なぜ「サテライトオフィス」のCMにとりわけ高い効果があったのか。

それほど認知度の高くない商品やサービスのCMは、サービス内容を15秒のCM放映時間で理解してもらうことや、とにかくサービス名を覚えてもらうことを意図したものが多く、「サテライトオフィス」のCMもそれらのポイントを押さえたつくりになっている。そのうえで他社よりも高いCM効果を発揮できた要因は篠崎愛さんを起用したことである、というのが筆者の仮説だ。

大企業ほど認知の進んでいない企業がBtoBの商品・サービスを訴求する場合、認知とともに信頼感を獲得しようとする傾向がある。テレビCMを放映するにはテレビ局による審査に通る必要があり、テレビCMを放映すること自体で一定の信頼感が担保されるからだ。

加えて有名タレントを起用すればより高い認知と信頼感が得られそうなものだが、単に著名人を起用したテレビCMを放映すれば高い効果が得られるというわけではない。重要なのはターゲットとの相性がいいタレントの起用で、サテライトオフィスはその点で他社に差をつけた可能性が高い。

ターゲット層と起用タレントのファン層が一致

CM放映前後に「サテライトオフィス」でワード検索した人の属性を調べたところ、男女の比率は7:3で男性のほうが多いことがわかった。年代を見てみると40代と50代が51%を占めるので、最も多く検索しているのは中年男性ということだ。

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「サテライトオフィス」検索の性別・年代のデータ(出所)ヤフー・データソリューション DS.INSIGHT ※期間は2022/9/1~2022/9/30

サテライトオフィスはクラウドサービス導入支援のほかにセミナーも実施しているため、サービス導入の決裁権を持つ層、あるいは利用に不安を持つ層が検索していると考えられる。

他方、「篠崎愛」でワード検索した人の属性は男性が8割、年代は40代と50代を合わせて51%。「サテライトオフィス」でワード検索した属性との相性がきわめていいことがわかる。

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「篠崎愛」検索の性別・年代のデータ (出所)ヤフー・データソリューション DS.INSIGHT ※期間は2022/9/1~2022/9/30

さらに、検索者が「サテライトオフィス」を検索した前後に検索していたワードを調べてみると、予想どおり「篠崎愛」が圧倒的に多く、つづいて「サテライトオフィスとは」「サテライトオフィス CM 女優」が多く見られた。

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「サテライトオフィス」で検索した人の時系列キーワード(出所)ヤフー・データソリューション DS.INSIGHT

現在、サテライトオフィスの公式YouTubeチャンネルでは、歌編、カフェ編を見ることはできないが、アップされているCM動画「サテライトオフィス2022年CM動画(15)サッカー編」(2022年7月10日配信)の再生数は350万回を超えている。篠崎愛さんの存在が検索数を牽引していることは間違いない。

篠崎愛さんとオフィスシーンの意外なマッチング、サービス名を歌って踊りながら伝える印象的な演出など、さまざま要素がうまく作用して大きな効果を引き出すことに成功したCMだと言える。

(柿谷 隆太,網野 雄太)

柿谷 隆太,網野 雄太

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