「母も祖母も乳がんだった...」これって遺伝するの? 予防のために何をすればいい?

「母も祖母も乳がんだった...」これって遺伝するの? 予防のために何をすればいい?

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  • 更新日:2021/11/25
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現在、乳がんは「女性が発症するがん」のなかで第1位です。特に、親族や親戚に乳がんの人がいる場合、「もしかしたら、自分も乳がんになるのかも……」と不安を感じている人もいるのではないでしょうか。はたして、乳がんと遺伝に関係性はあるのでしょうか。また、遺伝する場合、どのような対策を打つべきなのでしょうか。「目白乳腺クリニック」の緒方先生に、これらの疑問をぶつけてみました。

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監修医師:
緒方 晴樹(目白乳腺クリニック 院長)

東京医科大学卒業後、聖マリアンナ医科大学大学院卒業。聖マリアンナ医科大学病院乳腺・内分泌外科部長などを経た2019年、東京都豊島区に「目白乳腺クリニック」を開院。女性が気軽に受診できる「乳がん検診・治療・フォローアップ専門クリニック」として、東京逓信病院乳腺センターと密に連携しながら、地域に密着した医療活動をおこなっている。日本外科学会外科専門医・指導医、日本乳癌学会乳腺専門医・指導医。日本乳癌検診学会、日本臨床外科学会、日本癌治療学会、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会の各会員。聖マリアンナ医科大学 乳腺・内分泌外科非常勤講師。

そもそも、がんは遺伝するの?

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編集部

「がん家系」という言葉を聞くことがありますが、実際に存在するのですか?

緒方先生

種類を問わずがん全体でみれば、遺伝性のがんは5~10%程度と言われています。現在は、2人に1人ががんになる時代です。「親や兄弟ががんだから、自分もそうなるのではないか」と不安を抱えている人もいるでしょう。しかし、がんの発症は遺伝よりも、むしろ環境要因が関わるケースが多いのです。

編集部

そうだったのですね。環境要因とは何でしょうか?

緒方先生

食生活や運動習慣、飲酒、喫煙などの生活習慣のほか、ウイルスや細菌の感染、紫外線などの外的要因が環境要因となります。ただし、乳がんに関していえば、紫外線との関係は確認されていません。

編集部

環境要因が大きく関わるとはいえ、遺伝性のがんも実際にあるのですよね。これは「すべてのがんが遺伝する可能性がある」ということですか?

緒方先生

いいえ、すべてではありません。しかし、膵臓がんや甲状腺がん、骨肉腫、スキルス性の胃がんなどのごく一部には、遺伝性のがんが認められます。そのなかでも、比較的多いと考えられるのが、「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」と「リンチ症候群」です。

遺伝性乳がんとは?

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編集部

実は、母も祖母も乳がんにかかりました。私にもその可能性はあるのでしょうか?

緒方先生

乳がんには、様々なリスクファクターがあります。リスクファクターとは、「この条件に当てはまると、乳がんを発症する確率が高くなりますよ」ということです。そして、リスクファクターのなかでも、家族歴がもっとも重要な要素になります。お母さんが乳がんの場合、そうでない場合の1.5倍のリスクがあります。

編集部

リスクファクターでみると、乳がんの遺伝リスクはどれくらいですか?

緒方先生

遺伝的に一部の遺伝子異常のある家族に限りません。例えば、お母さん1人だけだと1.5倍ですが、お母さんを含む姉や妹などの一親等内で乳がん罹患者が2人以上いる場合は、2~4倍のリスクになります。

編集部

ということは、やはり母や姉妹が乳がんになると、乳がんを発症するリスクが高くなるということですよね。これは遺伝によるものですか?

緒方先生

先述したように、がんは食生活などの環境要因が関与して発症すると考えられています。しかし、その一方で乳がんを発症した人の5〜10%は、遺伝的に乳がんを発症しやすい体質を持っていると考えられています。

編集部

「遺伝的に乳がんを発症しやすい体質」ですか?

緒方先生

はい。私たちには、乳がんの発症を抑制する働きを持つ、BRCA1やBRCA2と呼ばれている遺伝子が存在します。これらの遺伝子に異常があると、乳がんを発症しやすくなってしまいます。そして、生まれつきこれらの遺伝子に変異を起こしている人がいます。その人たちがかかりやすいのが「遺伝性乳がん」、つまり、遺伝子の変異が原因となって発症する乳がんということです。

遺伝性乳がんを予防するには?

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編集部

遺伝性乳がんの可能性がある人は、どのように予防したらいいのでしょうか?

緒方先生

遺伝性乳がんが疑われる場合は、早めに遺伝子検査を受けることをおすすめします。HBOCには、「家族の中にBRCA遺伝子の変化が確認された人がいる」、「家族のなかで本人を含め、乳がんを発症した人が3人以上いる」など、明らかな特徴があります。しかし、さらに正確に判断するには、遺伝子検査をおこなう必要があるのです。

編集部

遺伝子検査は、どこで受けることができますか?

緒方先生

まずは、「遺伝カウンセラーが在籍している」または「遺伝子の異常を理解する専門家がいる」医療機関へ行きましょう。大学病院や国立病院のなかには、「遺伝カウンセリング外来」や「遺伝相談外来」を設けているところもありますから、そうしたところを探してみましょう。

編集部

受診した結果、「HBOCかもしれない」と判明したら、どうしたらいいのでしょうか?

緒方先生

考えられる方法の1つが、「予防的乳房切除」です。将来、乳がんが発症するリスクを回避するために、まだ発症していないうちから乳房を切除するというものです。乳房を切除することにより、HBOCの発症リスクが約90%低下すると言われています。

編集部

予防的乳房切除は、どのようにおこなうのですか?

緒方先生

一般的に、2つの方法があります。1つは、乳腺と一緒に乳頭・乳輪と皮膚を取る「胸筋温存乳房切除術」です。もう1つは、乳頭・乳輪と皮膚を残して乳腺だけを取る「皮下乳腺全摘術(乳頭温存乳腺全摘術)」です。なお、シリコンインプラントや培養脂肪組織などを注入して、乳房を再建することが可能です。

編集部

予防的乳房切除をしない方法はありますか?

緒方先生

その場合は、フォローアップ検査として、MRIを含めた画像診断をおこなって経過を観察していきます。

編集部

予防的乳房切除をした方が安全であることは理解できるのですが、女性にとっては非常に厳しい選択です。

緒方先生

そうですね。切除すれば乳がんの発症リスクを低減することができますし、「いつか乳がんになるかもしれない」という不安から解放されます。しかしその一方、将来必ずしも乳がんになるわけではありませんし、「無傷の体にメスを入れるのは辛い」と感じる人もいるでしょう。お悩みの場合は、ぜひ、医師やカウンセラーにご相談ください。個人の価値観やライフプラン、ライフステージなどを考慮しながら、最新のエビデンスに基づいたアドバイスをさせていただきます。1人で悩みを抱えず、何でも相談してほしいですね。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

緒方先生

遺伝カウンセラーへ相談する際には、両親や祖父母、親戚などの既往歴や死因、亡くなった時の年齢などを事前に調べておくとスムーズに進めることができます。また、お母さんや姉妹がすでにがんを発症していて、ご自身も遺伝子検査を受ける場合は、お母さんや姉妹も遺伝子検査を受ける必要があります。そのため、家族でじっくり話し合い、意思疎通を図っておくことが大切です。また、男性でもBRCA遺伝子に変異があれば、乳がんのリスクが上昇します。家族歴から不安を感じている人は、ぜひ医師や遺伝カウンセラーにご相談ください。

編集部まとめ

年々、発症する人の数が増えている乳がんは、遺伝でなりやすくなることが起こり得るとのことでした。また、予防のためには遺伝子検査を一度受けてるのがおすすめだそうです。また、がんを発症したHBOCの人に限って、2020年4月から公的な医療保険が使えるようになりました。こうした制度を活用しながら、自分の健康を守っていきたいですね。

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目白乳腺クリニック

所在地 | 〒171-0031 東京都豊島区目白3-4-11 ヒューリック目白3階 |

アクセス | JR「目白駅」 徒歩2分 |

診療科目 | 乳腺外科 |

03-6908-1026

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