祖母に「出て行け」と言われても「この家にいさせてください」と言えなかった

祖母に「出て行け」と言われても「この家にいさせてください」と言えなかった

  • かがみよかがみ
  • 更新日:2021/01/14
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普通にしなさい。素直になりなさい。

祖母が口癖のように言った言葉だ。

子どもの頃の私は「ふつう」がわからなかったので、何度も怒鳴られながら育った。

前提のため、私について書こう。私は現在23歳で、絶賛卒論執筆中の大学生である。だから本当はそっちを優先すべきなのだけど――このテーマがどうしても気になった。

「ふつう」って何なんだ?

両親は私が3歳の時に離婚したので、母親に引き取られた私は、今に至るまでの20年間を母方の実家で、そこに住む母の両親(私にとっての祖父母)と過ごしている。

家族は優しかった。自分で言うのも何だが愛されて育ったと思う。

けれど私は「普通の子ども」ではなかった。だからいつも「普通にしなさい」「素直になりなさい」と言われたのである。

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「出ていけ」と言われた。私は、祖母の言う「普通」になれなかった

ところで、これを読んでいるあなたは、家族に「出ていけ」と言われたことがあるだろうか?

私は小学生の頃「出ていけ」と言われたことがある。

理由は覚えていない。いや、理由も思い出せないほど何度も言われていたからだと思うが。

私は黙ってリビングを出た。

「普通の子ども」がする正解の言動を知らなかったから。

「出ていけ」と言われたら、泣いて謝るはずなのだ。

「ごめんなさい」「追い出さないで」「言うことを聞きます」「この家に居させてください」が正解だ。

祖母は、何も言わずに玄関に向かう私の腕を掴んで「素直になりなさい」と怒鳴った。

当然である。

その「出ていけ」は、言われた私が泣いて謝り縋りつくのを期待して言った「出ていけ」なのだから。

私は愛されてはいたけれど、それは私が「普通の子ども」であれば、という条件付きだったのである。

「普通の子ども」は21時には寝て6時に起きる。

たとえ学校で流行っていても21時から始まるドラマなんて見ない。

夜更かしなんてしない。

風邪を引いたりしない。

学校になじめなくて「行きたくない」なんて言わない。

買ってあげた服を喜んで着るし、せっかく行かせてやった塾には文句言わずに行くはずだし、宿題を溜めないし塾の帰りに買い食いなんてしないのだ。

「出ていけ」と言われて「はいそうですか、じゃあ出ていって死にます」みたいな態度を取る私は可愛げがないどころか、祖母にとっては理解できない化け物だったのだ。

でも、普通の子どもであることに、どんなメリットがあるのだろう?

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期待通りの子どもになれなかった私は、そうして大人になった

祖母が何度も言った「普通にしなさい」「素直になりなさい」が、「私の予想の範囲内で行動しなさい」という意味だと気づいたのは、成人してからのことだった。

「普通の子ども」はいつもにこにこと笑顔でいて、親が何を言っても喜び、親の命令には必ずはいっと頷く。それが「ふつう」だと、心の底から信じている人だった。だから私のことを人でなしと言った。

でも、それを悟った時にはもう遅すぎたのだ。

私は救われないまま大学生になった。

人でなしのまま、どこにも馴染めず、人と会話するだけで泣くろくでなしになった。

子どもの頃の私は「ふつう」がわからなかった。

でも、今の私も「ふつう」が何なのかわからない。

それでも思うのだ。

女の子が大学に行くのは「ふつう」だし、

お給料が高くて責任が重い仕事に就くのも「ふつう」だし、

結婚後に仕事を続けるのも「ふつう」だし、

逆に結婚しないのも出産しないのも「ふつう」だ。

社会が変わるにつれて「ふつう」は変わっていく。

「ふつう」って何なんだろう?

死にたいと思うことは私にとっては当たり前だった。

でも、どうやら世間での普通はそうじゃないらしい。

今でも「ふつう」がわからない。でも私は「ふつう」の呪縛を解きたい

今でも私には「ふつう」がわからない。

けれど世界にはにはたくさんの「ふつう」があって、私は自分の心を豊かにすることで、私は私を縛るものの正体に気づくことができた。

社会の想像力を広げていくことが、「ふつう」の呪縛をなくすことに繋がると私は考えている。

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普通じゃない、人でなしの私は普通の人間になれるのだろうか?

どんなに頑張っても、私は普通の子どもにはなれなかった。

普通じゃなくても生きていていいよ、と言ってもらえる世界に生きられたらいいのにと思う。

朝倉八恵

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