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勇者の物語~「虎番疾風録」番外編~田所龍一 根本の執念 オーナーの信任得た長嶋招聘

  • 産経ニュース
  • 更新日:2021/07/26

ユニホームを脱ぐ人、そして再び着る人―。10月29日、西武は広岡達朗(49)の監督就任を発表した。球団旗の前で管理部長となった根本陸夫と広岡は固い握手を交わした。それは昭和44年オフ、広島カープの監督だった根本が、内野守備コーチとして広岡を招聘(しょうへい)して以来のツーショットだった。

「現場は監督にまかせ、私はトレードやスカウト、ドラフトなどを指揮します。球団からは全権をまかされているのでじっくり検討したい」

根本は広岡の招聘に1度失敗している。55年オフ、自らの後継者として推薦したが「彼は西武のイメージに合わない」と堤義明オーナーが拒否。オーナーの希望で上田利治招聘に向かった。結果は上田が阪急に復帰し、根本は監督を続投することになった。このとき、根本は「自分はまだ、オーナーから全幅の信頼を得ていない」ことを悟ったという。

そんなとき「事件」が起きた。巨人の長嶋茂雄監督が「解任」されたのである。これに堤オーナーが反応した。

「いかん、絶対にいかん! 長嶋さんは日本の球界にとって、かけがえのない至宝。どんなことがあっても球界を去らせてはいけない。巨人が必要としないのなら、ウチでやってもらいたい。セ、パの違いなど小さな問題だ。これは球界全体の大問題だ」

53年オフ、クラウンライターから球団を買った際、堤は「西武ライオンズ」の監督に「長嶋」を希望した。もちろん、それは実現不可能な夢だった。堤は「続投」の決まった根本監督を呼び、再び熱い思いを語った。根本もその熱意に打たれた。

「わかりました。シゲ(長嶋)に譲るのなら、私はいつでもユニホームを脱ぎましょう」と長嶋招聘に全力を尽くすことを約束。そして翌日の早朝、長嶋邸を極秘裏に訪ね「西武百年の大計に君は欠かせない。たとえ来年が無理でも、再び君がユニホームを着る気持ちが起こるまで待つ」と長嶋を説得した。

長嶋は〝浪人〟生活に入り、結局、西武との〝縁〟は生まれなかった。だが、根本は堤の信頼を得た。

「私は根本さんを信じています。彼が選んだ監督なら問題ないでしょう」

根本の執念だった。(敬称略)

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