会心の一本! 迫力の大イワナ! 「渓流シーズン終盤戦・有終の美を飾るトラウトを求めて」

会心の一本! 迫力の大イワナ! 「渓流シーズン終盤戦・有終の美を飾るトラウトを求めて」

  • BRAVO MOUNTAIN
  • 更新日:2022/09/23
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立派な魚体。精悍な顔つきながら、どこか愛らしい大イワナ(撮影:杉村航)

早いもので2022年の渓流釣りのシーズンもあとわずか。自然渓流では今月いっぱいで終了とする漁協が多い。漁協によっては、すでに禁漁時期入っている河川もある。

関連:【写真】圧倒的存在感! 迫力の大イワナ「念願の一本」

たとえ毎日釣りができたとしても残り10日もない。当然、仕事やその他の予定もあれば、水量などの河川のコンディションもある。気は焦る一方だが、同時に思い出に残るような一本を釣りたい欲もある。

数でもサイズでもなく、野生の美しい魚が釣りたい。そう思いつつも、釣り友や知人がSNS等でアップする写真の魚に目が眩む。欲深い僕のような釣り人は、自慢できるような魚が釣れそうな川、ポイントに思いを巡らしてラストスパートに勤しむのである……。

■千曲川と信濃川の狭間・北信濃の深き渓へ

春の雪解けや梅雨の増水時期、本流差しの銀ピカヤマメや雪代イワナを狙って足繁く通った長野県北部、北信濃の渓。ここ数年でいまだに満足のいく大物どころか、坊主(一匹も釣れない)の日がほとんどだ。けれど毎回色々と理由をつけては「今日は釣れる気がする」と思い込んで足を運んでしまう。

千曲川へと注ぐ川は山里の深い谷間を流れる。途中、下流部と上流部を区切る堰堤は魚の遡上を許さない。今回も千曲川(信濃川)から遡上する大物を狙い、合流点から堰堤までに狙いをつけて懲りずに出かけてみた。

■秋鱒の遡上に期待! 川見すること数時間

先週の千曲川は予想以上の増水で釣りどころではなかった。その水が落ち着いた頃がチャンスとタイミングを見計らっていたのだ。いざ来てみると予想に反して随分と水量が少ない。上部でずいぶんと取水されているようだ。

遡行は楽でポイントも絞りやすいが、気温は30℃近く、夏が戻ってきたかのように蒸し暑い。水温は19.6℃と冷水性のトラウトにはかなり酷なコンディションだ。せっかく朝イチから来たのだが、竿を出しあぐねて有望そうなポイントを探して川を見てまわる。渇水気味の流れからは魚の気配をまるで感じない。

念のため堰堤より上流を覗いてみると、案の定、程よく水量を増した流れが滔々と涼しげなリズムを刻んでいる。これならさらに奥の源流部へ行けば、居着きの美しい天然イワナが迎えてくれるのは間違いなさそうだ。けれど今回の狙いは本流から遡上してくる大物……。

■橋の上は釣り人の憩いの場

橋の上から流れに揺れる良型のイワナ(来るたびに同じ場所にいる)を見つめながら、釣りをするべきか逡巡していると、道路を僕の方へ歩いてくる釣り人と目が合った。

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橋の上から流れに揺れるイワナを観察する。見ていても飽きない

齢80歳だと言うフライマンは、幼少期から少年時代をこの川岸にあった家で過ごしたと言う。今現在は偶然にも割と近いところに住んでいる事がわかり、話も弾んだ。昔の川の様子やダムの事、大水で当時の木製の橋が流された話、さらには近所の娘さんが美人で好きだったなどなど。

なぜかここ一年ほど、フィールドで偶然出会う釣り人と四方山話をすることが多く、フィーリングが合うと釣りをするより楽しい時間だと思うことがよくある。すっかり長話となり、満足してしまったので釣りをせずに帰ろうかと思ったのだが、会話の中で出たポイントが気になり、それをヒントに川辺へ降り立った。

■午後3時半「見逃しそうなポイント」を狙う

河岸段丘の深い谷間はすでに日差しが届かなくなっていた。急に釣れる気がしてくる。プールとプールの間をつなぐ、見逃しそうなポイントに狙いを定めた。

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渇水気味の流れ。大物が潜みそうな場所を推理する楽しみ

複雑な流れの中に明瞭な2筋があり、よく観察するとその合わせ目、沈み石で作られる底波が居心地良さそうだ。実はこの夏、同じような流れのポイントで迂闊に流したフライに大物が飛び出し、掛け損なっていた。しかも一度ならず二度三度も……。

慎重にラインを伸ばしつつ、狙いのポイントへじわりじわりと近づく。いよいよフライが核心部へ差し掛かる。三度目。スイングしたフライが吸い込まれるように狙いの場所へ……。

■まるで根掛かりのようなアタリ!

根がかりのような不明瞭で鈍いアタリがきた! けれど明らかに魚が掛かっている手応えが伝わってくる。ずいぶんと重い。「尺は超えてるな」そう思いながらじわじわと寄せてくると鈍く光る魚体が流れの隙間から覗いた。「なんじゃこりゃ!」尺どころではない! 予想を遥かに上回る大イワナだ。

水中で激しく身を捩りながら深みを探そうとしている様子だ。周辺は膝上程度。深く潜り込めるほどの深さはない場所なのでこちらに有利だが、流れに乗って下流のプールに逃げ込まれると話が変わる。絶対に逃したくないサイズのイワナ。懸命にプレッシャーをかける。強めの4番10ftのロッドが絞り込まれる。リードに結んだソフトハックルはイワナの上顎にしっかりとフッキングしている様子。大きなイワナは賢く、持久力もあるので長期戦は不利だ。細軸のフックが曲がらないことを祈りつつ、強引に岸に寄せる。そのまま身動きの取れないくらいの浅瀬に導いて取り込んだ。

■シーズン有終の美を飾る大イワナ!

ようやく観念した様子の大イワナは44cmあった。飴色に鈍く輝く魚体、発達した鰭(ひれ)、太い尾鰭回り、あまりの存在感にガッツポーズも忘れ、呆然と見つめる。渓流で出会えるイワナとしては会心の一本だろう。狙い通り、いやそれ以上の僥倖に、日頃の思い通りにいかない釣りの時間が報われたような気がした。

風格ある魚体に恐れ多くてストマックポンプ(捕食内容を調べるためのスポイト)を挿入することも躊躇われ、なぜかヘコヘコと一人でイワナに頭を下げながら流れに返した。

満足したのも束の間、今度は銀ピカのヤマメが釣りたくなって下流のプールの流れ込みにフライを流す。すぐに20cmほどのヤマメが水面に踊った。すでに秋色に染まっていた。釣り人は欲深い……。

【画像】「尾鰭回りが太すぎる!」圧倒的存在感を放つ大イワナ

杉村 航

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