こんにちは、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの堺屋大地です。
筆者はLINE公式のチャットサービスにて、年間約1500件のペースで恋愛相談を受けています。また知人経由で対面の相談を受けることも多く、性別・年齢問わずさまざまな方の恋のお悩みをうかがってきました。
さて、本当は普通の恋愛がしたいのに、口説かれて好きになるのが既婚男性ばかりという人は、意外と少なくありません。できれば不倫なんてしたくないと思っているのに、どうして禁断の恋に走ってしまうのでしょうか。
今回ご紹介する相談者・アユさん(33歳・仮名)は、結婚願望はそれほどないものの真面目な恋愛がしたいとは思っているそうなのですが、何度も不倫愛にハマッてしまった過去があるのだと言います。
※ご紹介する相談内容はご本人の許可を得て掲載しています。ただし、プライバシー保護のため実際のエピソードから一部変更しています。
◆ときめいた男に限ってあとから既婚者だと判明

写真はイメージです(以下同じ)
アユさんは第一声で「私は純粋にすてきな恋愛を楽しみたいだけなんです」と訴え、切実に悩みを吐露しました。
「“独身のいい男”と“既婚のいい男”がいたら、1ミリも迷いなく独身のほうを選ぶと思います。ただ、これは自分でも不思議なんですけど、口説いてくる独身男にはあまりときめくことがなくて、逆に口説かれてドキドキするなぁって感じる男は、あとから既婚者だったっていうのがわかるパターンが多いんですよね……。女友達からは『アユは自分から不倫沼にハマりにいってる』って言われることもあって。だけど他人のものを奪い取ることに快感を覚えるタイプでもないんですが、どうしてでしょうか?」
◆実は未婚・既婚よりも重要視している要素とは
気分を害したりショックを受けたりする可能性があることをアユさん自身にご了承いただいたうえで、筆者は次のような分析をストレートに伝えていきました。
アユさんは“独身のいい男”と“既婚のいい男”を比較した場合、迷わず独身男性を選ぶとおっしゃっていますが、実はそこが現実とズレていることに気付いていないのが盲点なのです。
結論を言いますと、実際に彼女を口説いてくるのは“独身の普通の男”と“既婚のいい男”で、その両者を比較して既婚男性を選んでいるという構図なのでしょう。
アユさんは独身男性と恋愛したいと主張しつつも、実は未婚か既婚かという要素よりも、相手の男性がかっこいいかどうかを重視している可能性が高いのです。
◆相対評価によって独身男性に魅力を感じにくい

きれいごとを抜きにして説明しますが、恋愛市場には厳然たるランクが存在しており、当然ながらランクが同じ男女だと対等な恋愛ができます。
一方、自分よりランクの高い異性に対して、「かっこいい!」「かわいい!」と感じ、片想いをするというケースも多々あります。
そして、アユさんを口説いてきた“独身の普通の男”は恋愛市場において彼女と同ランクで、“既婚のいい男”は彼女よりワンランク上だったと仮定すると、アユさんが不倫沼にハマりがちな原因が見えてくるのです。
本来なら自分と同ランクの独身男性にときめけるはずなのですが、アユさんの場合、独身男性よりもランクが上の既婚男性と比べてしまうので、相対評価によって独身男性のほうに魅力を感じにくくなってしまうのでしょう。
◆離婚する気はないが火遊びしたい既婚男性の心理
ここからは既婚男性側の心理を解説していきます。
どうして“既婚のいい男”が自分よりランクの低いアユさんを口説いてくるのか。
それは、既婚者であるという“足かせ”がある状態で火遊びできる独身女性を見つけようとしたら、おのずと自分よりランクの低い女性をターゲットにせざるをえないからです。
既婚男性が独身女性と恋愛をしようとすると、離婚を考えていないのであれば絶対に妻バレしないようにしないといけないため、さまざまな制限が発生します。
たとえば土日祝は家族と一緒にいるので連絡が取りづらくなったり、会えないのでデートができなかったりするパターンもよくあるわけです。また、お泊りで旅行に行ったり、クリスマス当日や正月も一緒に過ごせなかったりと、相手の独身女性に多くの悪条件を我慢してもらう必要があります。
それを踏まえて考えると、既婚男性が同ランクの独身女性を口説こうとしても、女性側からすれば同ランクの独身男性と恋愛すればそんな悪条件を飲む必要はないため、相手にされないケースが多いわけです。結果、離婚する気はないけど火遊びしたいゲスな既婚男性は、自分よりワンランク下の独身女性に手を出そうとします。
◆相談者はその“構造”に気付いていなかった…

独身女性側からすると、相手が既婚者であることで発生するさまざまな悪条件を飲むことで、ワンランク上の男性と恋愛が楽しめるため、ある種のWin-Winの関係になれるというわけです。
……アユさんはこの構造に気付いていなかったのではないでしょうか。
「私は、口説いてくる“既婚のいい男”と自分を同ランクだと思い込んで、本当は同ランクのはずの“独身の普通の男”を自分より下だと決めつけていた、勘違い女ってことですか!?」
アユさんは怒気をはらませながら筆者に詰め寄ってきましたが、少し時間が経ち冷静になったのか、「でも確かにそれが現実なのかもしれませんね……」と腑に落ちた様子でした。そして最後には、「既婚男にランクが下だと舐められるのはシャクだから、もう二度と不倫はしません」と固く決意したのです。
<文/堺屋大地>
【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『smartFLASH』、『文春オンライン』、『集英社オンライン』などにコラムを寄稿。LINE公式サービスにて、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。Twitter(@SakaiyaDaichi)。