今、Z世代との共創を求める企業が増えている理由

今、Z世代との共創を求める企業が増えている理由

  • @DIME
  • 更新日:2020/10/18
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Z世代を巡る企業の取り組みはすでに始まっている。〝共創〟と語られるそれら施策の狙いは、単なるモノ作りに留まらない。企業はZ世代と交わることに、どんな価値を見出しているのか。Z世代包囲網の最新事情を読み解く。

有名企業も注目する〝創造力の甲子園〟とは?

全国の中高生の間で夏の風物詩になりつつあるイベントがある。デザイン思考を育むためのアクティブラーニングを実践する小中高校生向け学習塾・キュリオスクール(東京・目黒区)が主宰する、モノコト・イノベーションだ。

モノコト・イノベーションは、新しい価値を作り上げるプロセスと、そのおもしろさを伝えるために、企業を巻き込んで実施する独自のプログラムで、同塾が展開する教育領域の集大成に位置づける。

「Withコロナにおける困りごとを解決するモノコト」など課題に対する解決策を中高生の参加者から募り、経営者やデザイナーといった様々な分野のプロフェッショナルたちが審査。予選を突破した参加者は、メンターとディスカッションしながらアイデアを磨き、カタチにするプロセスを経て、最終プレゼンテーションへと挑む。

ビジネスプランコンテストなど、従来のコンペと異なり、モノコト・イノベーションはアイデアのおもしろさや課題解決にフォーカスする。それが〝創造力の甲子園〟と呼ばれる所以だ。第1回大会から数えて今年で6回目。参加者は現在までに累計1100人にのぼり、協賛企業は年々増加。日立製作所、タイガー魔法瓶、バンダイナムコアミューズメントラボなど、モノコト・イノベーションが共創の懸け橋となったケースも多い。

近年、企業からの共創の引き合いが急増していることから、キュリオスクールはモノコト・イノベーションを卒業した1100人のOGOBを対象にした共創支援コミュニティー・CONNECTを今年新たに設立した。

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タイガー魔法瓶はモノコト・イノベーション2016の優勝チームと『楽ジャガ』を開発。写真はプロトタイプ。

企業は年後、年後のシナリオを描き始めている

Z世代との共創を求める企業が増えている理由を、キュリオスクール代表取締役の西山恵太さんはこう話す。

「新商品の開発や定番商品のリブランディングなど、共創の目的は企業によって様々です。ただ、その中で最もニーズが高いといえるのが、未来シナリオの作成です。幼い頃に東日本大震災や熊本地震などを経験したZ世代は、環境問題に対する危機感や社会貢献の意義を強く感じているなど、これまでの世代とは違った価値観を持っています。ヒット商品が生まれにくくなった今、10年後、20年後に経済の主人公となる彼らと直接対話することで共有した価値観を、事業開発やマーケティングに生かそうと考えているのです」

キュリオスクールの事業体系

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ソニーが始動した次世代ブランド戦略

Z世代との共創は、すでに企業主体で動き始めている。その代表格がソニーだ。ソニーは2019年11月に「ソニーは君と組みたい。」と銘打ち、24歳以下の次世代クリエイターに向け共創プログラムU24 CO-CHALLENGE 2020の開催を発表した。わずか1か月の募集期間で応募総数は331チーム・532名! さらに6週間のプログラムを経て行なわれた最終プレゼンテーションで、高校2年生の提案した絵本がグランプリを獲得したことも話題に拍車をかけた。

一般的に企業主体のコンペティションは、クリエイターへの投資を目的としたものが多い。だが、ソニーのブランド戦略部でプロデューサーを務める古口訓子さんは「投資やアイデアの収益化がU24 CO-CHALLENGEの目的ではなく、アイデアに関する権利は参加者に帰属する」と話す。

U24 CO-CHALLENGE始動の背景には〝クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす〟というソニーの理念がある。

共創は存在意義を伝える手段にもなる

「弊社はこれまで様々なクリエーターと共創しながら、新しい価値や感動を生み出そうと努めてきました。新しいモノを創造するためにテクノロジーは不可欠ですが、それだけでは価値や感動を生み出すことはできません。重要なのは創造力です。クリエイティビティーを持った人が世の中にあふれていないと、我々の存在意義は薄れてしまう。そこでクリエイターを育むこともミッションのひとつであると考え、今年2月にSony Creators Gateを立ち上げました」

Sony Creators Gateとは、ソニーが展開するクリエイター育成プログラムの一部を集めたプラットフォームを指す。小学生向けのSTEAM Studio、中高生向けのENTERTAINMENT CAMPなど現時点で7つのプログラムからなり、U24 CO-CHALLENGEは先陣を切った形だ。

Z世代はブランドに執着しないといわれている。ソニーの施策には、知見の純粋な教導とともに、共創を通して存在感を次世代へアピールする狙いが見て取れる。

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U24 CO-CHALLENGE 2020のグランプリは『子供の想像・創造力を育てる絵本』。

モノ・コト創生の甲子園!国内2大コンペティション

キュリオスクール Mono-Coto Innovation

プロの支援を受けながら創造力を育み、競い合う

2015年より毎年夏に開催している、デザイン思考を学ぶ中高生のためのコンペティション。働・移・医・遊・環・衣・食・住など、12のテーマから提示された課題に対して、その解決策となるアイデアを公募。予選大会で勝ち残ったファイナリストは、デザイン思考のプロフェッショナルによるサポートを受けながら、協賛企業の担当者とともに「アイデアをカタチにする」「試す」を繰り返しながら、4か月間かけて実践的な解決策へと磨き上げ、決勝大会に挑む。

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モノコト・イノベーション2018の優勝チームが考案したサボテン型デバイス。カシオ計算機と共創した。

ソニー U24 CO-CHALLENGE

感動を創り出す次世代クリエイターを育成

24歳以下の世代を対象にした、ワークショップ&コンペティション一体型の共創プログラム。プログラムは「アイデアを育てる」「アイデアを磨き上げる」「アイデアを世の中に問う」という3つのセクションからなり、アイデアを世の中に発表するまでの一連のプロセスを経験することで次世代のクリエイターを育成・支援する。グランプリ受賞チームは、開発資金の援助やアイデアを具現化する機会など、ソニーがバックアップ。

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小学生、中高生、若手クリエーターの育成も!

24歳以下の世代を対象とするU24 CO-CHALLENGEのほか、小学生、中高生、果ては30歳以下の若手クリエイターを対象にしたプログラムまで用意。職業クリエイター以外にもソニーは支援・育成の門戸を広げている。

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小学生向けの育成プログラムSTEAM Studioは毎年1度開催していたイベントを定常化したもの。

ビューティー業界はZ世代の囲い込みを積極化

2019年以降、化粧品各社は新たな需要者層としてウエルネス意識の高いZ世代に注目。ビーガンコスメブランドが新規参入を果たす一方で、Z世代に人気のインフルエンサーをプロデューサーに起用した「リカフロッシュ」など、新ブランドが続々登場。女性、男性を含めたZ世代の囲い込みが進む。

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資生堂研究所では、Z世代を対象にしたトークセッション、ワークショップが複数回にわたって行なわれた。

取材・文/編集部

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