「1本仕事が終わったら、2本企画を置いてくる」人気フリーライターが実践する「書いて稼ぐ」コツ

「1本仕事が終わったら、2本企画を置いてくる」人気フリーライターが実践する「書いて稼ぐ」コツ

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/11/25
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フリーランスには2つの人種がいる。いつも仕事が舞い込んでくる人と、いつも仕事を探している人だ。営業力なのか、あるいは仕事の精度なのか、磨くべきポイントはどこにあるのだろう。未経験で独立してから21年間、今までいちども仕事が途切れない人気ライターの佐藤友美氏が、その秘訣を著書『書く仕事がしたい』で明かしている。無理なくできる範囲で、自然に受注を増やし、稼ぎを伸ばすには。

仕事はいつも「人」からやってくる

収入面の不安が減ると、メンタルは安定しやすくなります。無理なく働ける範囲で、
仕事や稼ぎを増やしていく方法を考えてみましょう。

売り込み以外で新規の仕事を増やしたいときに、一番有効なのは、実は「現在の仕事を頑張ること」です。

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仕事は、常に「人」からやってきます。だからこそ人脈が大事と言われるのですが、この人脈の意味を勘違いしている人は多い。たとえば、「私が、出版社の編集長をよく知っている」は、人脈でもなんでもありません。

人脈が仕事に生きるとしたら、それは「こっちが相手を知っている状態」ではなく、「相手に私が知られている状態」、しかも「信頼できる状態」で「知られている」場合のみです。 だから、今すでにお付き合いがある人たちとの仕事をコツコツ丁寧にやって、その仕事相手に「信頼できる人」として認知され、その人(や仕事)を通して「知られる」 ことが、結果的には仕事につながりやすいのです。

交流会やパーティーで名刺交換して「こんな仕事をしています」とアピールするのもいいでしょう。もちろん、それが仕事につながることもあります。でも、それ以上に、今、すでに仕事をご一緒している方とのご縁で別の仕事が入ってくるほうが多いと感じます。

仕事を呼ぶクレジット、選ばれるプロフィール

そうやって仕事が増えていったあとには、人とのつながりだけではなく、クレジットが仕事を呼んできてくれます。

編集者は、「この原稿はいいな」と思ったときに必ずクレジットをチェックします。そして、同じ人のクレジットを何度も見ると(つまり何度もいい原稿だなと思うと)、 仕事を頼みたいと思うものです。

書き手にとってクレジットは財産です。ある意味、原稿料よりも大事だと言えるかもしれません。ですから、なんらかの事情でクレジットが入らないと言われたら、そこはちゃんと納得がいくまで話し合いをしてください。私は、クレジットが入らない仕事は、5倍から10倍程度の原稿料をもらうようにしています。

さて、クレジットを見て、この人に仕事を依頼しようと思った編集者は、プロフィー
ルもチェックします。なので、肩書きやプロフィールも重要です。

肩書きは、自分のキャリアに合わせて変更していっていいと思います。

私自身は、キャリアの前半15年は、ヘアライター、その後はライター/エディター、現在はライター/コラムニストと名刺に刷っています。

専門ライターであることをはっきり謳うことには、メリットもあるしデメリットもあります。そのジャンルで第一想起されるライターになりたいのであれば、専門を冠につけて活動するのも良いでしょう。

ただ私の場合、名刺に刷っている肩書きは、上記の通り変遷しているのですが、実際にプロフィールに記載する肩書きは、媒体によって変えています。

たとえば、ドラマ俳優の髪型を取り上げる連載では、

日本初のヘアライター&エディター。 20年弱のヘアライター人生で、約4万人、200万カットのヘアスタイル撮影に立ち合う。 「美容師以上に髪の見せ方を知っている」とプロも認める存在で、日本はもとより、海外でも美容師向けの講演を行い、セミナーを受けた美容師はのべ3万人を超える。
著書に、ベストセラーとなった『女の運命は髪で変わる』、『髪のこと、これで、ぜんぶ。』 などがある。

と入れています。 一方で、主に経営者のロングインタビューを執筆しているビジネス媒体では、

年間8冊ほど担当する書籍ライターとして活動。ビジネス書から実用書、自己啓発書からノンフィクションまで、幅広いジャンルの著者の書籍を執筆。自著に、ビジネスノンフィクション『道を継ぐ』など。大企業にいながら一歩を踏み出した若手が集まるONE JAPANの『仕事はもっと楽しくできる』では、取材・構成を担当。元東京富士大学客員准教授。

と、同人物とは思えないプロフィールを載せています。

他にもいろんなプロフィールがあるのですが、意識しているのは、その媒体の記事や連載を書くにあたって、一番説得力がある(もしくは興味を持ってもらえる)実績は何かと考えて、肩書きとプロフィールを書き分ける(絞り込む)ことです。

「記憶に残る幕の内弁当はない」と言ったのは秋元康さんですが、物書き業界で、「全部できる」は、「全部できない」と同じだと思われてしまいます。なので、なるべくその媒体に合った、そして旗の立った経歴を入れ、あわよくば次の仕事につなげたいと考えています。

1本仕事が終われば、2本企画を置いてくる

仕事を増やすために、私はこれまで、「1本仕事が終わったら(もしくはその仕事の最中に)、2本企画を置いてくる」ことを意識してきました。

たとえば、ヘアページを担当していたときには、4月号の仕事をしながら、5月号の企画を2本置いてくるようにしていました。

この企画は、ヘアメイクさんや美容師さんと、4月号の打ち合わせをしているときに集めたネタで作ります。わざわざ企画書を書くというよりは「そういえば、最近こんな髪型が流行っているそうなんです。次回の企画にどうでしょう」というくらいのテンションで口頭でお伝えします。

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この「企画を置いてくる」は、実は今でも続けています。

最近私は、あるビジネス媒体から、ロングインタビューの仕事をいただきました。それは連載もので、初めてその仕事をしたのですが、初回のインタビューの帰り道に「この連載内容だと、○○さんや、△△さんにインタビューすると面白い気がします」と、 編集者さんにお伝えしてみました。

するとその数日後に、「○○さんへのインタビューが決まったので、ぜひさとゆみ (佐藤友美=私)さんに書いてほしいです」と連絡がきました。

実は、これが、私にとってはすごくラッキーな出来事でした。

というのも、その後、最初のインタビュー原稿を提出したところ、「新人時代にもこんなに赤字をもらったことない」というくらい、ボロッボロに修正されて戻ってきたのです。普通だったら、私は二度とその媒体で仕事をもらえなかったでしょう。

でも、初回のインタビュー帰りに次回候補の提案をし、その仕事を頼まれていたので、首の皮一枚つながりました。1度目の仕事はボロボロでしたが、2度目の原稿を褒めていただき、この媒体では、いまでもお仕事をさせていただいています。

この「1本仕事が終わったら、2本企画を置いてくる」は、ライター講座でも、講座生によく伝えるのですが、「レギュラーが獲得できました」とか「リピート率が格段に上がりました」といった報告を受けています。

「言われやすい」人になる

もうひとつ、私が心がけていることがあって、それは仕事が終わったときに「どこが良くなかったかを編集さんに聞く」ことです。これは、ずば抜けて高い顧客リピート率を誇る美容師さんの話をヒントにしました。

その美容師さんのリピート率の高さの秘密は、2度目に来店したお客様に、「前回、どこがやりにくかったですか? どこが困りました?」と聞くことにありました。つまり、ダメだった前提で質問をするんですよね。

これ、実際に客として体験してわかったのですが、気になることを伝えるのに、ものすごく心理的ハードルが下がります。

この「クレームというほどではないけれど、ちょっとした気になること」は、解消されると、とても嬉しい気持ちになります。そして、普段どれだけ、「別に言うほどでもないか」と、ささいな違和感を言い逃しているかということにも気づきます。

で、思ったのです。

「これって、編集者とライターの関係も同じじゃない?」

この美容師さんの話に感化された私は、仕事が終わるたびに「私の原稿や仕事の運び方で、もう少し意識したほうがいいところがあったら、教えていただけますか 」 と、聞くようになりました。

最初は「いやいや、全然ないですよ。さすがさとゆみさんです」などと言っていた編集者さんも、「いや、強いて言えば、強いて言えばどうでしょうか」と食い下がると、「ああ、そうですね......強いて言えば......」と重い口を開いてくれます。

そして、「あれと、これと、そういえばこれも......」みたいな感じで、「どこが全然ないだよ 、あるあるだらけじゃないか 」というくらい、いろんな指摘をくださいます。

これはね、まあまあ、凹みます(笑)。まあでも一瞬凹みますけれど、私、それを言われないで「はい、さようなら。二度と頼まない」と思われるより、指摘されて次も仕事もらえるほうがいいんですよね。 なので、今でも仕事が終わったら、「赤字とは別に、気になったことを教えてください」と聞くようにしています。

ちなみに、過去、指摘してもらったことで一番聞いて良かったと思ったことは

「さとゆみさん、インタビュー中、服の上からブラジャーの付け根(胸の谷間にあたるところ)を触るクセがあるんですよ。あれ、結構ドキドキして気が散ります」

というご指摘でした。

聞いてみるもんだ、と思いました。

単価を上げるには編集作業に手を出す

仕事をする時間は限られていますから、単価を上げる工夫も大事です。 たとえば、ファッション誌のライターとして、土日もなく働きまくっていた時期。この時期に「原稿を書く仕事だけではなく、編集作業もできる人は、ページ単価が上がる」ことを知りました。

ページ単価が上がるだけではありません。編集部はいつも人手が足りないので、編集仕事まで丸投げできるライターになると、仕事の依頼が飛躍的に増えます。

編集者としての仕事ができるようになると、たとえば、「じゃあ、100ページのヘアカタログ1冊、350万円で作ってください(印刷費別)」のような仕事も引き受けることができます。ファッション誌で書いていた15年間のうち、後半の10年は、こういった「一人編集プロダクション」的な仕事をよく引き受けていました。

ちなみに、子ども向け学習教材などの、教育媒体でライターをしている友人からは、

「このジャンルは文字数が少ない分、ライターしかできない人の需要はほとんどない」

と聞きました。レイアウトラフを描くことができたり、漫画のラフやネームを書くことができたりして初めて仕事の発注があるそうです。

こういうジャンルでは、テキストしか書けないライターさんは、 文字いくらの仕事になってしまい、生計を立てられる仕事にはならないのだとか。

別の先輩ライターさんからは、ある大学の入学案内パンフレットをまるごと1冊引き受けているライターさんの話を聞いたことがあります。 その方は、もともと入学案内の1ページを担当するライターだったのだけれど、あまりに評判が良くてどんどん任される原稿の分量が増え、そのうちに、レイアウトも、 撮影も、デザインも彼にお任せ......となって、しまいには、大手広告代理店との競合コンペを勝ち抜き、入学案内のパンフレットを一手に引き受けるまでになったのだとか。こうなると、単価はちょっと桁違いです。

ちなみに、ぜひやりたい仕事だけれど原稿料が見合わないと感じるときは、あっけらかんと交渉してみましょう。「普段はこれくらいでお引き受けしているのですが、もしご相談できるようでしたら 」と明るく元気に伝えると、意外と見直していただけることも多いです。

ポイントは、申し訳なさそうに伝えないこと。感情は伝播するので、こちらが申し訳なさそうにすると、相手も申し訳ない気分にさせてしまいます。スケジュール調整の連絡をするときくらい、さらっとあっけらかんと聞くのがいいですよ。

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