小学校英語では文法を教えないってホント?

小学校英語では文法を教えないってホント?

  • ベネッセ 教育情報サイト
  • 更新日:2022/01/15

この記事のポイント

小学校英語が「教科」になって何が変わった?

小学校英語では単語や文法は学習しない?

卒業までにどこまで身に付ける必要がある?

英語教育の専門家 太田洋先生に聞きました!小中高大と続く英語学習でよいスタートを切るために家庭でできること

小学校英語が「教科」になって何が変わった?

2020年度に全面実施された小学校の学習指導要領では、小学5・6年生が英語を「教科」として学ぶことになりました。そして、これまで小学5・6年生で行われていた「外国語活動」は、小学3・4年生で必修化されることになりました。
「外国語活動」と教科の「外国語(英語)」では、何が違うのか解説します。

大きな違いは、「外国語活動」は「英語に慣れ親しむ」までを目指すものであったのに対し、教科の「外国語(英語)」では、英語力の明確な到達目標が設けられていることです。
国は、小学5・6年生の到達目標として、「馴染みのある定型表現を使って、自分の好きなものや、家族、一日の生活などについて、友達に質問したり質問に答えたりできるようにする」といった実際の場面で使える英語力を例として示しました。
こうした英語力の目標に基づき、ほかの教科と同じく、成績(数値などによる段階的な評価)がつくことも教科ならではの特徴です。

出典:文部科学省「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめのポイント」(平成28年8月)
https://www.mext.go.jp/content/1377021_3.pdf

小学校英語では単語や文法は学習しない?

小学校の英語学習の特徴は、人がことばを使えるようになる流れを意識していることです。
赤ちゃんは、まず親の話すことばをたくさん聞き、それをまねすることで徐々に話せることばを増やし、成長とともに読んだり書いたりする力を身に付けます。つまり、小学校英語の授業では、まず「聞くこと」「話すこと」を重視した活動が中心になります。

◎聞くこと

【どんな活動?】
・学校生活など、身近なことを英語で説明する動画やアニメーションを視聴する
・担任と外国人の先生(ALT)のやり取りを聞く

【どんな力が育つ?】
・英語のやり取りを聞き取れる
・長めの英語のおおまかな意味がわかる
・聞いて理解できる単語や表現が増える

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*「担任と外国人の先生(ALT)のやり取りを聞く」をイメージしやすいように、ベネッセ教育総合研究所がイラストにしました。

◎話すこと

【どんな活動?】
・先生の英語を聞いて基本的な文をまねして言う
・歌やチャンツ(一定のリズムにあわせて単語や文を言う活動)の中で英語を言う
・子ども同士で簡単なやり取りをする

【どんな力が育つ?】
・間違いを恐れず積極的に英語を話せる
・自分の知っている単語や表現を使って、自分の考えを伝えられる

「読むこと」「書くこと」の学習範囲は広くありませんが、まったく学ばないわけではありません。
小学5・6年生では、アルファベットの大文字・小文字を線の長さや場所を間違えないよう正しく書けるようにします。簡単な単語や文章を書き写しながら、「文のはじめは大文字にする」「単語の間は空ける」といった英語の文を書く時のルールも学びます。

◎読むこと

【どんな活動?】
・アルファベットの大文字と小文字を見分ける、声に出して読む
・英語の音を聞きながら、単語や文を指でなぞる、声に出して読む

【どんな力が育つ?】
・聞いたことのある単語や文を見て発音できる、読んで意味がわかる
・簡単な文章を読んでだいたい意味がわかる

◎書くこと

【どんな活動?】
・アルファベットの大文字と小文字を練習する
・英語の文を書く時のルールを知る
・簡単な単語や文章の見本をまねして書く

【どんな力が育つ?】
・アルファベットや簡単な文章をルールにそって正しく書ける

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*「簡単な単語や文章の見本をまねして書く」をイメージしやすいように、ベネッセ教育総合研究所がイラストにしました。

卒業までにどこまで身に付ける必要がある?

このように、小学校では文法用語を使ってルールを教えたり、使う場面や文のないところで、ただ単語をたくさん書いて覚えたりはしません。
中1ぐらいで学ぶ簡単な単語と文を使って、場面や状況がわかるものについて、英語でたくさん聞く・話す、一部を読む・書くことを行います。ここで注意したいのは、小学校英語の授業で使った単語や文は、小学校ですべて完璧に書けるまでにする必要はないということです。

一方で、中学1年生では、小学校でたくさん触れた単語や文は、聞く・話すことができ、アルファベットや英語の文を書く時のルールを身に付けていることを前提として授業がスタートします。その点を意識して小学校英語の学習を進めておくことが大切になるでしょう。

英語教育の専門家 太田洋先生に聞きました! 小中高大と続く英語学習でよいスタートを切るために家庭でできること

小学校で早くから英語を学ぶことで、お子さまは「新しい窓」を開くチャンスを手に入れます。英語を通して、日本語の発想や文化の中では気付けなかったことに触れて、自分の世界を広げていくようになるのです。
だからこそ、お子さまに英語を好きになってもらうことを最優先にして学習をサポートしてあげてください。

そうした考えは、文法の学び方にも表れています。
小学校英語では、保護者のかたがイメージされるような伝統的な文法の学び方はしません。文のつくりは実際に英語を使う場面の中で、言い方とセットで自然に身に付けていくことを想定しています。たとえば、活動を通して、“I want to ~.”“I went to ~.”といった表現を使いながら学びますが、これらの文に使われている不定詞や過去形などの文法のルールは中学校で学ぶことになります。

小学校英語の教科書にはさまざまなテーマの会話が掲載されていますので、親子で一緒に英語のやり取りを楽しんでみられるとよいでしょう。英語が苦手という保護者のかたも、お子さまとともに楽しく学び直すという気持ちで、まずは教科書を一緒に見たり、英語の歌や音を一緒に聞いたりしていってください。

小学校英語の「読む・書く」は、たくさん聞いて慣れ親しんだ単語や文を読んだり書き写したりする学習が中心です。単語や文を繰り返し書いて暗記するような学習は行いません。
「書く」力を身に付けるには時間がかかります。お子さまが嫌にならないように、興味を持った英語を読みたい・書きたいという気持ちを大切にし、徐々に英語の読み・書きにも慣れていくと、中学校の英語にもスムーズに移行できると思います。

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プロフィール

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太田 洋

東京家政大学教授。東京都公立中学校と東京学芸大学附属世田谷中学校で21年間教鞭をとり、駒沢女子大学を経て現職。東京学芸大学大学院修了。英語授業研究学会理事。2006,2007年度NHKラジオレベルアップ英文法講師。小学校検定教科書・中学校検定教科書『Here We Go!』(光村図書出版)の著者を務める。
主な著書:『英語力はどのように伸びていくか』(大修館書店)共著、『英語を教える50のポイント』(光村図書出版)単著、『“英語で会話”を楽しむ中学生』(明治図書)共著

プロフィール

加藤由美子

ベネッセ教育総合研究所 言語教育研究室室長 主席研究員。ベルリッツシンガポールを経て、ベネッセのさまざまな英語事業に携わる。研究部門に異動後は英語教育研究を担当し、19年度からは言語教育に領域を広げて担当。

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