中世ヨーロッパのギルドにおける徒弟・マスターといった階級ごとの違いやギルドの目的とは?

中世ヨーロッパのギルドにおける徒弟・マスターといった階級ごとの違いやギルドの目的とは?

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  • 更新日:2020/09/16
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中世ヨーロッパにはギルドと呼ばれる職業別組合が存在しており、ギルドの内部には徒弟ジャーニーマンマスター(親方)といった厳格な階級制度が設けられていました。現代の人々からするとわからないことも多いギルドにおける階級制度やギルドの目的について、ライターのKristine Wilson-Slackさんが説明しています。

Apprentice, Journeyman, and Master: The Medieval Guild – MASONIC PHILOSOPHICAL SOCIETY

https://blog.philosophicalsociety.org/2018/01/10/apprentice-journeyman-and-master-the-medieval-guild/

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中世初期~1000年頃までの暗黒時代が終わったヨーロッパでは、町や都市が大きく発展したため、工芸品を安定して供給する必要性が生じました。しかし、暗黒時代の職人らは自分の知識を息子や甥(おい)などに受け継いでおり、体系化された知識の伝達構造がなかったため、熟練した職人を大勢集めることは困難だったとのこと。

そこで作られたのが、熟練職人が徒弟を教育する職人ギルドです。職人ギルドが形成されるのと前後して商人によるギルドも形成され、両者は特定の地域における産業や流通を独占する一方で、商品の品質や取引の基準を維持していました。また、ギルドはメンバーの利益を促進するために働き、町や都市の政府にも力を持つ存在となっていきました。

職人ギルドには、徒弟・ジャーニーマン・マスターといった厳格な階級制度が存在しており、これは職人としての熟練度を表していました。今日でもドイツをはじめとする一部の国々では、ジャーニーマンやマスターが資格として認定されており、最高位のマスターの資格を得るには厳しい試験に合格する必要があります。

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ギルドの中で最も階級が低い徒弟は、特定の技能・技術を学ぶためにマスターの下で働く人々のことです。徒弟は一定期間をマスターの下で学び、技術面と精神面の両方でスキルやテクニックを習得しました。しかし、ギルドやマスターによって定められた要件を満たすまでは、徒弟がギルドの公式なメンバーとして認められることはなかったとのこと。ギルドによって維持・伝達されていた技術の標準化や製品の品質が、徒弟をマスターに強く結び付ける原動力となっていました。

徒弟が一定の訓練を積んで技術を習得したら、ジャーニーマンという階級に昇格します。ジャーニーマンは1人のマスターに縛られることなく働くことができましたが、ジャーニーマンに徒弟としての教育を施した元マスターが、ジャーニーマンの性格と能力を保証していたそうです。また、ジャーニーマンは徒弟を雇うことはできず、所属したギルドで仕事をして賃金をもらう生活を送っていたとのこと。

マスターの数はジャーニーマンと比較すると非常に少なかったそうで、一生をジャーニーマンとして過ごす職人も少なくありませんでした。ジャーニーマンがマスターに昇格するには、自身の技能を証明する「傑作(マスターピース)」をギルドに提出する必要があり、これがマスターにふさわしいとの評価を受けるとマスターに認定されました。

マスターになった職人は自身の工房を立ち上げ、徒弟を雇って教育することができました。マスターとは、さまざまな素材や条件下で職人としての高いスキルを発揮できる人物であると同時に、富や社会的地位を持つ人物とも見なされていたとのこと。

Wilson-Slackさんはギルドの興味深い点として、「ギルドの一番の目的は、それ自体で製品を生産したり技能を磨いたりすることではなく、『徒弟を教育すること』だった」ということを挙げています。徒弟を受け入れて技術や慣習を伝達して、製品の品質・生産・伝統を維持し続けることがギルドの最も大きな役割であり、ギルドは地域に仕える存在でもあったとWilson-Slackさんは述べました。

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