「サッカー植民地」を広げる欧州の「マキャベリズム」【世界のサッカーへの責任を果たそうとしない「強欲」なヨーロッパ】(3)

「サッカー植民地」を広げる欧州の「マキャベリズム」【世界のサッカーへの責任を果たそうとしない「強欲」なヨーロッパ】(3)

  • サッカー批評Web
  • 更新日:2022/05/14
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欧州は世界中から才能をかき集めるが、お返しは微々たるものに過ぎない 撮影/渡辺航滋(Sony α1使用)

サッカーの世界は膨張を続けている。ヒエラルキーの頂点に立つ者たちは、強欲に世界中から搾取を続ける。その姿勢は正しいものなのか、サッカージャーナリスト・大住良之が問いかける。

■「お返し」をしないヨーロッパ

FIFAを圧倒的にしのぐ資金源をもち、いまや世界を席巻した観のある欧州のサッカー。しかしその恩恵を受けているのは、一部のビッグクラブ、そしてビッグリーグを中心とした欧州のサッカーだけに限られている。それでいいのかと、私は強く疑問に思う。

欧州のサッカーの資金源が、世界中からかき集めたテレビ放映権であることはすでに述べた。なかでも、中国や日本、中東各国、東南アジア各国、北米大陸は、UEFAにとって「ドル箱」と言っていい。現在行われている戦争でロシアから欧州へのエネルギー供給が止まったように、もしこうした国々からの放映権収入が途絶えたら、ビッグリーグやビッグクラブはたちまち瓦解するだろう。

普通の人間であれば、恩恵を受ければ「お返し」をする。だが欧州のサッカーは、その試合を世界中に見せて(もちろんただではない)、お手本になるということ以外では、一切世界のサッカーに「恩返し」などしていないし、しようというそぶりさえ見せない。19世紀に世界中を植民地にして搾取しまくり、欧州だけに富を築いたころに背景となった思想、「マキャベリズム」は健在なのだ!

■欧州は「富」の源泉を考えない

放映権というカネの流れだけではない。選手も、現在の欧州サッカーを支えているのが南米やアフリカ、北米、アジアの選手たちであるにもかかわらず、それに対して何の見返りもない。貧しいプロリーグで、欧州のビッグリーグから見れば信じ難い薄給でプレーしていた選手を獲得する資金が「正当な移籍金」であっても、その額は彼らにとってはほんのすずめの涙に過ぎず、多くの場合にはその移籍金さえ支払わずに世界中の指導者たちが手塩にかけて育てた選手をかっさらっていってしまう。多少の「トレーニング費用」など、その選手がプレーすることで欧州のサッカーが得ている資金のほんの一部でしかない。

こうして、世界のサッカーは貧しい国はさらに貧しくなり、その一方で欧州のビッグリーグ、ビッグクラブが、コントロールが効かないほど巨大化していくサイクルにはいりこんでしまっている。

UEFAやその傘下にあるビッグリーグ、ビッグクラブは、世界のサッカーの健全な発展になど、何の関心もない。当然、それをサポートする責任感も感じていない。その姿勢が正しいことだとは、私は絶対に思わない。

私たちは物乞いではない。欧州にただ恵んでくれと言っているのではない。しかし彼らの「富」が何を源泉に生まれたかを冷静に考えれば、欧州のサッカーは世界のサッカーに対する責任があるのは明らかではないか。世界のサッカーが健全に発展し、世界中で人びとをより幸せにするため、欧州のサッカーはその責任を果たさなければならない。

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