JR西日本、融雪設備稼働させず 7000人が最大10時間閉じ込め

JR西日本、融雪設備稼働させず 7000人が最大10時間閉じ込め

  • 毎日新聞
  • 更新日:2023/01/26
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積雪したJR京都駅に止まる電車=京都市下京区で2023年1月25日午前7時56分、本社ヘリから大西岳彦撮影

今季最強の寒波が列島を襲い、大阪と京都の間を走るJR東海道線で24日夜~25日朝、15本の列車が線路上でストップした。乗客約7000人が列車内に最大10時間閉じ込められ、救急搬送された人も。当時、列車内では何が起きていたのか。立ち往生は防げなかったのか。

何度も車内の非常ボタンが… 「酸欠のような状態」

滋賀県に住む50代男性は24日夜、帰宅しようと京都駅(京都市下京区)から滋賀へ向かう列車に乗った。しかし午後8時ごろ、山科駅(京都市山科区)の手前で列車が突然停止する。そのまま約8時間も動かず、「トイレに行けず失禁する人もいて、まるで地獄絵図だった」と振り返る。

降車して山科駅まで歩くよう乗務員に言われたのが25日午前4時ごろ。氷点下の気温のなかで線路脇を歩き、ようやく駅に着くと、反対方向の列車に乗せられて京都駅へ戻される。「列車ホテル」になった特急「はるか」に乗り換え、朝を迎えた。男性は「車内アナウンスは『間もなく運行再開します』とずっと言っていたが、一向に動かなかった。JRの対応はむちゃくちゃだ」と憤った。

東海道線は、大阪駅や京都駅といったターミナル駅を結ぶ主要路線だ。JR西日本によると、立ち往生が起きたのは高槻(大阪府高槻市)―山科間で、24日午後7時40分ごろから25日午前5時半ごろの間。帰宅時間とも重なって列車内は満員で「酸欠のような状態になった」と話す乗客もおり、トイレにも長蛇の列ができたという。体調不良で乗客16人が救急搬送された。新快速に6時間以上閉じ込められた50代女性は「車内は暑く、気分が悪くなる人が何人もいた。乗客が『体調不良の人だけでも降ろして』と頼んだが、対応してもらえなかった。JRは、もう少し早く何とかできたのでは」と話した。

帰宅できなくなった人のため、自治体も対応に追われた。京都市は京都駅近くの公共施設を開けて約200人を受け入れ、保温用のアルミ製ブランケットや飲料水などを無償提供した。滋賀県野洲市もJR野洲駅前の劇場を避難所として開放。約200人に水や非常用のパン、毛布などを渡した。

JR西は25日午後、近畿統括本部の三津野隆宏本部長らが記者会見し、「多数のお客さまに多大なご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げる」と謝罪した。立ち往生の原因は、レールを切り替える分岐器のうち、京都駅など京都府内の3駅にある20台以上が動かなくなったためと説明した。雪が挟まったり、凍結したりしたことが理由という。

降雪が10センチ以上と見込まれる場合、各分岐器で雪を熱で溶かす設備を稼働させるが、24日は8センチの予想だったのでこの作業をしていなかった。実際には15センチの雪が積もっていた。

乗客の閉じ込めは、列車によって1時間40分~10時間に上った。三津野本部長は「安全のため、線路ではなく最寄り駅に降ろそうとした。分岐器を復旧させて列車を動かすことを優先したが、時間がかかってしまった。対応が適切だったか検証したい」と話した。今回の問題で、JR西は国土交通省から再発防止に必要な措置を講じるよう指導を受けたという。

JR西の主要路線では25日も終日ダイヤが乱れたが、26日は近畿では始発から通常運転(一部特急を除く)する。大阪市の松井一郎市長は「どこまで予測できるか難しいところだが、自然災害の運行措置は早め早めに判断して広報してもらいたい」と苦言を呈した。

鉄道の安全に詳しい関西大の安部誠治教授(交通政策論)は「融雪設備を動かす基準がある以上、稼働させなかった判断は責められない。ただ、基準を引き下げるなど見直しも検討する必要がある」と指摘した。乗客が長時間閉じ込められたことについては「夜間に線路上で乗客の移動をさせるのは危険で、最寄り駅に降ろそうとした対応は理解できる」としつつ、「最大で10時間も閉じ込められたのは問題だ。今回のケースを教訓に避難誘導のタイミングを見直すべきだ」と話した。【清水晃平、榊原愛実、千金良航太郎、礒野健一】

毎日新聞

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