米選手団が渡航拒否なら五輪は中止。それでも進まぬワクチン接種の後手後手

米選手団が渡航拒否なら五輪は中止。それでも進まぬワクチン接種の後手後手

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  • 更新日:2021/04/06
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前回の記事「五輪中止は決定か?放送権を持つ米NBC「聖火リレー批判」が意味するもの」で、東京五輪中止の可能性に言及していた、メルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さん。今回、津田さんは日本のワクチン接種が遅々として進まない理由を挙げながら、菅首相の指導力不足が致命的なレベルだと指摘し、このままでは米国の選手団が渡航拒否した段階で「五輪中止」が決定的になると推測しています。

五輪開催は「絶望的」に

4月5日に「まん延防止等重点措置」が大阪、兵庫、宮城に発令された。このままだと6月には再度、緊急事態宣言発令の可能性も出てきたし、東京は3週間遅れで大阪に続くことになるだろう。

3月22日に東京で緊急事態宣言が解除されたが、先週号「五輪中止は決定か?放送権を持つ米NBC「聖火リレー批判」が意味するもの」でも懸念した通り、新規感染者数の増加が止まらない。そして、大阪、兵庫、宮城で、4月5日に「まん延防止等重点措置」が発令された。

大阪は緊急事態宣言を2月末で解除したが、1ケ月で再度感染者が増えて、「まん延防止」を発令することになった。東京は3月22日に解除したので、大阪と同じく、1ケ月後の5月には「まん延防止」を発令することになる。

大阪ではコロナ変異株が蔓延して、感染者数の半分が変異株となっている。コロナ変異株は感染力が強く、かつ、子供でもかかるように進化している。東京でも、大阪とは違う変異株が徐々に増えている。

ワクチンの認可遅れにより現在、日本国民の1%未満しか接種されていない。ファイザーだけではなく、少なくともJ&Jやモデルナのワクチンを認可するべきである。

米国や英国は約半数の人が接種を受けて、コロナによるロックダウン解除が進んでいる。それに比べると、日本の遅れは致命的なレベルとなっている。

諸外国では、コロナ感染症との戦いということで「戦時対応」をしているが、日本は今でもコロナワクチンの認定を平時モードで行っていて認可しないままでいる。このため、ファイザーのワクチンしか接種できず、ファイザーのワクチンが取り合いになっている。

逆に認可が早いと、副作用などの問題があって日本の評論家に叩かれる心配がある。しかし、他国での接種が進んで、ある程度の副作用が分かった時点で緊急認可すべきである。

世界の接種情報から、アストラゼネカのウイルスベクター・ワクチンは「血栓ができやすい」ということが分かってきた。また、中国やロシア製のコロナ不活化ワクチンを接種してコロナに感染する事例が出ている。こちらも不活化のレベルが重要なのだろう。

といったように、問題があるワクチンの認可はしないことである。しかし、副作用の低いワクチンの認可も「遅過ぎ」である。副作用がないワクチンなどないので、低いレベルなら早く認可すべきだ。

日本人の治験が必要ということでは認可が遅くなるし、コロナでの正常化を大幅に遅らせることになる。

コロナワクチンで、早期にコロナ回復を想定して株価が下がった株に買いが入ったが、第4波が予想されるために、株価は再度下落している。「コロナ被害」業界に光が見えない。

そして、ここまで必死に企業継続に努力してきたホテル、レジャー施設、飲食業界も、とうとう力尽きてきた。身売りやホテルの廃業がラッシュになっている。婚礼大手のワタナベ・ウエディングのように、超優良企業が自己破産を申告する事態となっている。

コロナ対策の失敗で、日本経済は大きく損なわれる事態となっており、持続化給付金も尽きようとしている。

この大きな原因は、コロナ禍でもワクチンを認可しない厚労省の頑なな対応と、コロナとの戦いを戦時モードにしない菅首相の指導力不足によることは明白である。

ここまで来ると怒りすら感じる事態だ、「早く日常を返せ」と叫びたくなる。このようなことをやっていると、自民党に反省を促すために選挙でも自民の大敗となる。

その上に、このような状態でGoToトラベルを再開するという。政府は、地方自治体が行う地域限定のGoToトラベルへ補助金を出す。何を間違えたか、政府はよりコロナ禍を拡大させる方向へ向かうようである。そろそろ国民の我慢も限界に来ている。

早くワクチンの特別認可をすべきだ。そして、1日でも早く、英国やイスラエルなどと同様に、前の日常を取り戻すことだ。

ワクチン接種までは、定期的に病院関係者や入院患者、高齢施設の職員と入居者にPCR検査を行うべきである。飲食店の従業員にも月1回程度のPCR検査をして、感染拡大を防ぐしかない。

そして、五輪の「聖火リレー」も福島を出発したが、すでに大阪市はパスすることとなった。今後、聖火リレーは「まん延防止」を発令された地域をパスすることになる。

この状況下で、国際水泳連盟は東京五輪テスト大会2つを含む日本開催の3大会について、日本側へ中止を通告した。コロナ感染防止の入国後の隔離措置を不安視して、審判などの関係者が渡航を拒否したことによるものだ。

しかし、日本側で対応する大会関係者全員がワクチンを接種していないので、コロナ感染者ではないと完全に言える日本側大会関係者はひとりもいない。そのため、完全な隔離措置は不可能である。全ての関係者が毎日PCR検査を受けて対応することも、経費的にできないのだ。

この状況は、「ワクチン接種を五輪開催までにする必要がある」と言った私の見解を、世界の選手も同じく言っていることになる。そして、現在の状態は少なくとも五輪まで続く。ということは、五輪開催は「絶望的になった」ことを意味する。

その上、今後東京の感染拡大を受けて、6月にも再度発出の可能性がある「緊急事態宣言」が出されたら、海外選手団、審判などの渡航拒否が起こるのは確実である。

このような事態になり、日米会談も4月前半から4月16日に変更された。米国内で五輪の対応を検討する時間が必要になっていると思われる。

そして、米国の選手団が日本に来ないなら、自動的に五輪は開催不可能になる。

先週は「もし、緊急事態宣言が発令されたら」としていたが、現時点では、ほぼ確実に「6月には緊急事態宣言下」になり、その後に東京五輪をおこなうことになる。7月に感染者が拡大している可能性もある。

そのため、「米国選手団の渡航拒否」で五輪が中止になる確率が高くなったと言わざるを得ない。

菅首相の指導力不足は致命的なレベルで、危機対応時に何も決めないし、この状況を何もせずに漫然と過ごしている。危機時の判断力が決定的にないと言わざるを得ない。

そして、五輪開催不能となると、9月の自民党総裁選挙まで、菅首相でよいのかと言う議論が出てくる。そろそろ議論が自民党内で始まっているような感じもする。このままでは「自民大敗」が見えている。

さあ、どうなりますか?

image by:Ned Snowman/ Shutterstock.com

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津田慶治『国際戦略コラム有料版』

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