中国版ゆとり世代「95後」が大国のビジネスを変える

中国版ゆとり世代「95後」が大国のビジネスを変える

  • ハーバービジネスオンライン
  • 更新日:2018/09/03
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Wish & Recommend inc.取締役 朱 子靑氏(左)と山口氏

「シニアが若手とコミュニケーションがしづらくなった」というフレーズは、日本企業で頻繁に言われるようになりました。実は中国でも、その傾向が顕著です。今回は、中国のビジネスパーソンの最新事情について、中国と日本の両国でコンサルタントとして活躍している朱子靑さんに、本連載「分解スキル反復演習が人生を変える」でお馴染みの山口博氏が迫ります。

豊かさの象徴である「九五後」世代

山口 博(以下、山口):日本だけでなく、北京、深圳、上海で、分解スキル反復演習型能力開発プログラムを実施していると、30代前後のリーダー層と20代の若手層との間に、大きな言動のギャップがあるように思えてなりません。

朱 子靑氏(以下、朱):中国では、1995年生まれ以降の世代のことを、「95後」(中国語読みで「ジーウーホー」)と呼び、それ以前との世代との間で、別の人種であると言われるほどに大きな断層があります。この世代が社会人になり始めているので、社会問題化しています。

山口:1995年という年に、どのような意味があるのですか。

朱:改革・解放政策が浸透し、経済が発展した後に生まれた世代であるということです。つまり、貧しい時代、先進国に追いつこうともがいていた時代を全く経験していない世代ということです。

ほしいものは手に入り、一人っ子政策のため、もとより甘やかされている。そして、親は共働きで祖父母に育てられ、なおさらかわいがられて、育ってきた世代と言えます。

山口:まさに豊かさの恩恵を享受してきた世代ですね。

朱:加えて、国は経済発展し、都市部では海外と差がない。それ以前の世代は旅行でも転勤でも、海外での生活を経験すると、海外はすごい、中国は劣後しているということを目の当たりにしてきたわけです。しかし、「95後」の世代は海外をすごいと思っていない、中国が世界をリードしているというイメージをもって育ってきたのです。

山口:そんな「95後」の世代は、どんな特徴をもっているのですか。

従来のリーダーシップが通用しない

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Wish & Recommend inc.取締役 朱 子靑氏

朱:柔軟で、自由で、枠にはまらない点は、とても優れています。私は「95後」世代の人材が、中国をさらに革新させる、飛躍的なイノベーションを実現するとまじめに思っています。

山口:しかし、言わば我慢を知らず、甘やかされて育った世代ですから、ネガティブな傾向もあるのではないですか。

朱:決まりがこうだから、規則がこうだから、前例がこうだから、という前提での上司の指示や命令に従いません。自分が納得しないと動きません。人に譲る、先輩を敬うという儒教の教えが効いていません。

山口:朱さんは、「95後」世代の上司層にいるわけですが、「95後」世代に対するリーダーシップの難易度は高いのではありませんか。

朱:従来のトップダウンのリーダーシップは、全くといっていいほど効きません。やれと言ってもやらない。言えば言うほど、かたくなになる。逆にやる気をなくすわけです。そこで、人それぞれ持っている個性や価値を認めてあげて、いい点を誉め、本人の気持ちを鼓舞しながら、巻き込んでいくことが不可欠です。

山口:私も能力開発プログラムを実施していますが、中国版シリコンバレーといわれている中国中関村は、いち早くトップダウンのリーダーシップから、メンバー一人一人のモチベーションファクター(意欲が高まる要素)を梃にした巻き込み型のリーダーシップのスキルを高める方向にシフトしようとしている。背景には、そのような理由があるのですね。

朱:ひとたび、「この人は自分の個性や価値を認めてくれている」「自分の気持ちを尊重してくれている」という信頼関係が築ければ、能力を発揮してくれます。しかし、なかには「部下は上司に従うべきだ」「部下は上司に合わせるべきだ」というトップダウンのリーダーシップしかできない上司もいます。そういった上司は「95後」世代のパフォーマンスを発揮させることができず、チームのパフォーマンスも向上しないということになるのです。

環境と教育が「95後」世代を生み出したわけで、今から「95後」世代にすぐに変われと言っても変われるはずがありません。だから、上司が変わるしかないわけです。

逆コーチングで上司側が変わる

山口:上司の世代も、変わることには相当のエネルギーが必要なのではないですか。

朱:自分の経験と照らしあわせても、現在、30代前後の世代は、中国における大きな変化を体験しています。インターネット、SNSをはじめ技術革新も享受しています。変化を体験していない「95後」世代よりも、30代前後の世代の方が、変化に対する耐性は強いのです。私は、変われる方が変わればよいと思います。

山口:上司層が自己変革しようとする意欲は、私が中国でコーチング話法による巻き込み型リーダーシップの演習をしていても、それに対する貪欲さから実感しているところです。

朱:中国でもコーチングが浸透しつつありますが、なかには、逆コーチングを実施している上司がいます。「95後」世代をはじめ、その前後の若い部下から上司がコーチングしてもらうということを上司が望んで、部下に依頼しているのです。

山口:部下のことがわからない状況に直面して、「若手の言うことは理解できない」とか、「今の若い世代は宇宙人だ」などと言っている暇があったら、その若手に考え方を聞いたり、若手の考え方をコーチングしてもらったりして、相互理解を深めるということですね。

しかし、過保護であるとは言えませんか。

朱:その面は否定しません。ストレス耐性も低いです。加えて、「95後」世代は海外志向よりも、国内志向が強いです。大国となり成長を実現しているベンチャー企業が、ほとんど一夜にして巨額の富を得る「一夜爆富」や、極めて短い期間に上場したり巨大企業に育ったりしている姿を目の当たりにし、自分の夢を実現できるかもしれないと思っているからです。

そうであれば、なおさら上司層は「95後」世代をサポートし、彼らの能力を生かしてあげたい。それが企業の成長や国の発展につながると思うのです。

<対談を終えて>

数年来、中国各地でリーダーシッププログラムを実施していると、国営/民営企業によらず、中国企業がトップダウンのリーダーシップから巻き込み型のリーダーシップへ変革しようとする強い意欲をひしひしと感じます。それは、「95後」世代が社会人になることを見越した、先進的な取り組みであるといえましょう。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第98回】

【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある

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