米国で増えてきた「北朝鮮を軍事攻撃せよ」の声

米国で増えてきた「北朝鮮を軍事攻撃せよ」の声

  • JBpress
  • 更新日:2017/12/07
No image

「北の技術が成熟するにつれ、先制攻撃の可能性は強まる」と唱える米共和党のリンゼー・グラム上院議員(2017年9月13日撮影、資料写真)。(c)AFP/JIM WATSON〔AFPBB News

北朝鮮の新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15号」の発射以来、米国では一段と北朝鮮への軍事攻撃を促す声が高まってきた。

北朝鮮の核兵器とICBMの開発を防ぐには軍事オプションしかない、全面戦争による大惨事を防ぐためには米軍による限定的な軍事攻撃もありうる、という意見が輪を広げてきたのだ。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

「これまでの対北朝鮮戦略は失敗」

北朝鮮当局の公式発表によると、北朝鮮が11月29日に発射した「火星17号」は米国の首都ワシントンを含む全土に到達しうるという。この新型ミサイルの登場は米側の官民に新たな衝撃を与えた。

米国がとるべき対応策について議論が輪を広げる中で、まだ少数派とはいえ、軍事的手段を求める意見が増えている。

トランプ政権は「軍事的オプションもありうる」と強調しながらも、当面は、中国の協力を得ながら経済制裁などの非軍事的な手段を強め、北朝鮮を核放棄へ追い込むという政策を保っている。

だが政権内外では、非軍事的な手段ではもはや北朝鮮の核武装を止められない、かといって核武装を容認するわけにもいかない、というジレンマが生じていた。そのジレンマの論議を軍事力行使の方向に一段と傾かせることになったのが、今回の「火星15号」発射だった。このままだともう軍事手段しか残されていないのではないかという判断が、より真剣に提起されるようになったのである。

その一例が、ニューヨーク・タイムズの国際問題専門記者のニコラス・クリストフ氏が執筆した「私たちは新たな朝鮮戦争へと向かっているのか」(11月29日付同紙)と題する評論記事である。

クリストフ氏は「米国領土のどこにでも届く能力があるという今回の北朝鮮のミサイル発射の意味は、まず米国側のこれまでの対北朝鮮戦略が失敗であり、戦争の可能性が増している、ということだ」と述べ、戦争の危機の増大を指摘した。

同氏は、軍事攻撃策の最大の弱点としてよく指摘される「膨大な人命の損失」を挙げ、もしも米朝全面戦争が起きたら「これまでの米国のどの戦争よりも多くの血が流れ、戦闘初日に100万人が死ぬという推定もある」とも警告する。

だがその一方で、今回のミサイル発射の直後に上院共和党の有力メンバーであるリンゼー・グラム議員が「北朝鮮の核武装を止めるためには戦争しかないとなれば、米国はそうするだろう。もし情勢が今のまま変わらなければ、私たちは間違いなく戦争へと向かうことになる」と発言したことも報じていた。

「ミサイル基地を攻撃して破壊せよ」

ワシントンの専門家たちの間では、今回の新型ミサイル発射を契機として、北朝鮮への「限定的な軍事攻撃」を提案する声も増えてきた。

たとえば、ワシントンの大手研究機関AEIの安全保障専門の上級研究員マーク・ティーセン氏は11月29日、「トランプ大統領は、今回、北朝鮮が新型ミサイルを発射した基地を攻撃して破壊すべきだ」という題の論文をAEI機関紙に発表した。ティーセン氏はジョージ・W・ブッシュ元大統領やドナルド・ラムズフェルド元国防長官の補佐官として働いた経験のある共和党系の専門家である。

同氏は、今後、米国を狙うような同種の長距離ミサイルの発射を止めさせるために、 すでにミサイルが発射された北朝鮮の基地をミサイルあるいは空爆で攻撃して、もし同じような発射実験をすれば同じような攻撃をすると宣言すべきだ、と唱える。

そして、全面戦争に発展することは避けるために、攻撃はあくまでもミサイル基地に限定されることを北朝鮮に明確に伝えるよう提案していた。

変化してきたワシントンの論調

さらに、過去二十数年、歴代政権の国務省、国防総省、中央情報局(CIA)で朝鮮軍事情勢への対応を専門としてきたフレッド・フライツ氏(現在は民間研究機関の「安保政策センター」の副所長)は、ワシントンの政治・外交紙「ザ・ヒル」(12月1日付)に「北朝鮮に対する米国の限定軍事攻撃の時」と題する論文を公表した。

フライツ氏は同論文で、(1)これまでの北朝鮮に対する交渉や制裁では、核とミサイルのさらなる開発を阻止できないことは完全に明白となった、(2)北朝鮮の核武装を容認すれば、韓国や日本への軍事的な威嚇や侵略、さらには米軍の東アジア撤退の危険を招く、(3)米国はまず朝鮮半島をサイル発射禁止地域と宣言して、北朝鮮のミサイル発射を軍事力で阻止するべきである、(4)米国は北朝鮮の核開発関連の物資の流れを阻むための艦艇臨検を実施し、北の核施設を破壊する意図を宣言するべきである――と述べ、トランプ政権がまず軍事オプションの採択を言明するという戦略を提唱していた。

こうした軍事的手段の提案はまだ多数派ではなく、トランプ政権の政策にもなってはいない。だが、それなりの専門家たちがその種の提言を公表するようになったことは、ワシントンにおける国政論議の新しい傾向だといえる。北朝鮮情勢の危機がいよいよ深刻化していることだけは疑問の余地がない。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

中国・韓国・アジアカテゴリの人気記事

グノシーで話題の記事を読もう!
おっぱいポロリ! 機内食盗み食い! トラブル多発の中国航空業界で“CAお騒がせ事件”が続出中!?
新幹線に重大トラブル!「中国高鉄」をアピールする中国から聞こえてきたのは...
世界的に見ても日本ぐらいだろう「こんなに偽札がない国は」=中国
中国人女性が、日本で1年間「公務員」として働いて感じたこと=中国メディア
日本人が中国で80年前に立てた建築物、「侵略の証拠だがその質は・・・」=中国
  • このエントリーをはてなブックマークに追加