自社開発のLTE Cat 1チップを搭載 - u-bloxのIoT向けセルラモジュール

自社開発のLTE Cat 1チップを搭載 - u-bloxのIoT向けセルラモジュール

  • マイナビニュース
  • 更新日:2016/11/30

●自社でLTE Cat 1対応チップを開発

スイスu-bloxは今年ドイツで開催されたElectronicaにおいて、LTE Cat 1向けのセルラモジュールを発表したが、これに関する説明会を11月28日に都内で開催した(Photo01)。

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Photo01:説明を行ったユーブロックスジャパンの吉田正徳氏(ビジネスディベロップメントマネージャ)

そもそもu-bloxはGNSSやさまざまな通信モジュールを提供するベンダである(Photo02)が、先般のニュースにもあった通りLARAおよびTOBYのフォームファクタで、LTE Cat 1に対応したモジュールを提供する(Photo03)。

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Photo02:同社の提供するモジュール一覧

ここで特徴的なのは、このCat 1に利用されるチップそのものがu-bloxで開発されたものということだ。従来2G/3G用、あるいはCat 4以降のモジュールは他社のチップを同社がモジュール化する形だったが、このCat 1に使われる「UBX-R3」というチップはu-bloxが独自に開発したものとなる。この理由について、特にIoT向けのチップは、メインストリームのCat 4~向けと違い、長期間の供給保証が必要とされるといったニーズがあり、また数量的にも今後IoTの普及で、スマートフォンを上回る数のチップセットが出ると予測されていること、あるいは問題あるいは不具合が発生した場合に、自社ですべての解析や対処が出来るなどのメリットがあることを挙げている。特にこの自社での解析や対処は、自動車あるいは産業機器向けのユーザーから求められている内容でもあり、これを評価してもらっている、という話だった。

性能そのものはCat 1に対応してダウンロード10Mbps/アップロード5Mbpsというあたり。また同社のSARAシリーズなどのGSM/UMTS/CDMAモジュールとピンコンパチブルなLGAフォームファクタで、GNSSを搭載している点も特徴として挙げている(Photo04)。

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Photo04:待ち受け電流に関しては「まだ測定しているわけではないが、競合製品よりも低くなる予定」との事

対応するマーケットとしては、通話向けのLTEほどの高速性能は要らないが、NB-IoTとかCat M1では帯域が不足するマーケット向けとしている(Photo05)。特にモビリティに関しては、LoRaとかSigfoxのようなアンライセンシングのISMバンドを利用した通信は、ハンドオーバーなどに難点があるので難しく、またCat M1やCat 1でも、自転車くらいならともかく自動車で高速道路を移動するようなケースでは、あまり速度が遅いとレイテンシが大きくなりすぎてしまう点が問題であり、ところがCat 1では現在の3Gと同程度の速度が実現できるから、こうした用途に向いている点を挙げている。

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Photo05:どの用途にしても、当然データ量との勘案(例えばフルHDの監視カメラの映像を常時流していたら、Cat 1でもぎりぎりだろう)になるので、実際のところはアプリケーション次第という話であった

ちなみにパッケージはSARA/LARA/TOBYで共通のガーバーを利用できるように工夫されており(Photo06)、ソフトウェア側も最小限の変更で済むように工夫されているため、地域ごとにモジュールを変える必要があるような場合でも簡単に対応できる、という話であった(Photo07)。

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Phtoo06:ちなみにモジュールだけでなく周辺のLCRなどの変更も必要になるが、これはモジュールとかというよりも利用する周波数帯によってマッチングが変わってくるから、との事

ちなみに自動車向けや産業機器向けということで信頼性に関してもきちんとしたかたちで提供することを予定しているとする(Photo08)。製造に関してはまだ最終決定はなされていないが、チップの前工程はGLOBALFOUNDRIES、後工程はAmkor Technology、モジュール製造はFlextronicsにそれぞれ委託の予定という話であった。

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Photo08:いずれもまだ予定であるが、今のところは全量検査をきちんと行う予定だそうだ

モジュールの内部構成はこんな感じ(Photo09)になっている。UBX-R3001とUBX-R0010が今回同社が開発したチップで、このほかにパワーアンプとフィルターなどが外付け(ただしモジュール内)に搭載される形だ。特徴的なのは、モデムのレイヤ1やIPサブシステム、LTEのプロトコルスタック、モデムAPIなどもやはり同社が提供すること。これだけではなく、例えば同社が提供する「AssistNow」と呼ばれる測位アシストサービスに近いものは、すでに携帯電話キャリアも提供しているが、問題はそのサービスを利用できるのはそのキャリアを利用しているユーザーに限られることだ。なので例えば国内だとNTTドコモ、au、SOFTBANKでそれぞれ別対応を行わなければならない。ところが同社の提供する技術はキャリア依存ではないので、このあたりも組込機器の開発に際しては柔軟性が高まるとしている。

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Photo09:モデムそのものはSDRを利用するが、パワーアンプやフィルターは周波数帯によって変わってくるのでチップにはあえて統合しなかったとの話だ

Photo10・11がそのLARA-R3シリーズの主要な特徴と仕様である。面白いのはGNSSはGPSとQZSS L1 C/Aのみを考えていることで、中国の北斗や欧州のGalileo、ロシアのGLONASSには未対応な一方、みちびきは利用できる形だ。このあたりは、本国の日本市場への重視の表れだ、としている。またI/FとしてはI2Sが何故か出ている(サポートは将来リリースのファームウェア予定)だが、これは通話用というよりは、例えば監視カメラなどで同時に音声も拾いたいといったケースでのために用意しているという話であった。チップとしてVoLTEに対応しているという訳ではないそうだ。

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Photo10:同社は 今年9月にcm精度のGNSSチップの開発を発表している が、今回搭載されたのはそこまでの精度は無い。とはいえ、2m程度の誤差であるとしている

さて、発表の骨子はこんなところだが、若干補足を。まず今回の製品だが、IoT向けとは言え、シングルモード(つまりLTE Cat 1のみ対応で、2G/3Gは未対応)という思い切った構成である。これに関しては、すでに国内でもキャリアのLTEのカバレッジは3Gとほぼ同等であり、製品が投入される時期にはもう2G/3Gのサポートは不要だろう、と割り切った形だ。むしろ2G/3Gを切り捨てることで、これらを利用する際に必要な特許料の支払いや、当然ながら2G/3Gの回路を追加することによるダイエリア増加や外部部品追加などによる製品コストの上昇を抑えるほうが重要だと判断したそうだ。

ちなみに現時点ではまだチップそのものは存在していない。チップや、これを搭載したモジュールの登場は来年後半になる予定で、そこからFCCや日本では技適などの認証取得と、その後にキャリアによる認証作業などが行われる事になる予定だそうだ。当然ながら、現時点では(すでに話し合いは始めているとは思うが)キャリアのサポートプランとか、IoT向けのビジネスプランなどで決まったものは現状無い。恐らくはヨーロッパでまずそうした作業に取り組み、続いて日本あるいはアメリカといった国でもそうした取り組みが始まることになる模様だ。

そんな訳で現状まだチップも何も無いところからのスタートではあるが、一応サンプル価格は70ドル前後を想定しており、1万個ロットで32~33ドルあたりになる模様だ。このあたりは同社が直接販売するのではなく、代理店経由での販売になるので、正確なところはまだ決まっていないらしい。そんなわけで搭載製品がでてくるのは2018年以降ということになると思われるが、その頃にはキャリアによる通信プランなども用意されてくるのではないかと思われる。

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