【知りたい】凛として時雨、待望の新アルバム『#5』をその誕生までの5年と共に検証する

【知りたい】凛として時雨、待望の新アルバム『#5』をその誕生までの5年と共に検証する

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  • 更新日:2018/02/16
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『#5』通常盤

凛として時雨が、6thアルバム『#5』をリリースした。フルアルバムとしては前作『i'mperfect』から、約5年。結構な長さだが、不思議と「待たされた」とは感じない。それは、時雨としてはもちろん、3人それぞれがミュージシャンとして精力的に活動した5年間だったからだと思う。

この間、彼らは3枚のシングル(『Enigmatic Feeling』、『Who What Who What』、『DIE meets HARD』)、ベストアルバム『Best of Tornado』、ミニアルバム『es or s』をリリース。ライブも、日本武道館公演をソールドアウトさせたり、自主企画イベント「トキニ雨#15」を全国ツアーとして開催するなど、挑戦を重ねてきた。また、個々においても、TK(Vo・G)はソロ活動を行い、ピエール中野(Dr)はソロ活動に加えて様々な場所でドラムを叩き、345(Vo・B)もgeek sleep sheepのメンバーとして活躍。バンドそのものだけではなく、メンバーひとりひとりが音楽シーンにとって重要人物であると知らしめることとなった。

こうしてズラリと書き連ねてみると、彼らにとっては、かつてないほど多忙な5年間だったのではないだろうか。その中で得た知識や経験は、間違いなく『#5』に反映されている。とは言え、何よりも「凛として時雨」からブレていないところが、今作の面白さだ。様々なタイアップを担ったり、ジャンルを超えたミュージシャンと音を鳴らしたり、「他者と交わる」経験を積んでいくと、真っ当に考えれば、ホームグラウンドに戻った時も、幅広い表現をしたくなるものではないか、と思ってしまうのだが、この3人は違う。ますます「凛として時雨」に没頭しているように、今作は聴こえてくるのだ。逆に言えば、それだけ「凛として時雨」の世界観は確固たるものなのだと思う。もちろん、サウンドのアプローチや、プレイヤーとしてのスキル、歌詞の言葉遣いなど、細かいところは進化しているのだが、それも「深化」と言った方がしっくりくるような、一点突破感がある。

また、こういった一点突破型のバンドは、終始一貫アンダーグラウンドな精神を貫いていたり、終始一貫オーソドックスなロックンロールを鳴らしている場合が多いように思えるのだが、凛として時雨はメジャーフィールドで活動するバンドであり、それでいて常に刺激的な「今」を鳴らしている。あらゆる角度から見て、規格外なのである。

さらに、「凛として時雨」として確固たる世界観を築きながら、その中でひとりひとりが素直な心情を吐露しているように見えるところも興味深い。TKの歌詞や歌だけではなく、345の歌やベース、ピエール中野のドラムも、「ここでしか叫べない言葉」として聴こえてくるのだ。そういえば、彼らのライブに行くと、オーディエンスも「ここでしかさらけ出せない思い」を抱えて集っているように見える。それはきっと、凛として時雨の世界観が、人間の内側に渦巻く混沌としたものと限りなく近しいからだろう。明るいという意味合いでのポップスではなく、多くの人の心を共鳴させるという意味での大衆性が備わっているからこそ、彼らは規格外の存在のまま結成15周年を迎えられたのだと思う。

そんな凛として時雨だけの魅力が、『#5』ではたっぷりと味わえる。より精密になった表現に、自己を重ね合わせながら聴きたい一枚だ。(高橋美穂)

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