東京イノセントワールド:男は一番でいたい生き物だから...自分よりランク上の彼女への劣等感と揺れる想い

東京イノセントワールド:男は一番でいたい生き物だから...自分よりランク上の彼女への劣等感と揺れる想い

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  • 更新日:2016/11/30

欲望が渦巻き、誰もが成功を願う街、東京。

この大都会に長く住めば住むほど、大切な何かを失っていく気がしないでもない。

東京の独特な空気に飲まれて心の純粋さを失い、幼い頃に描いていた夢を失い、そして本来の自分らしさも徐々に消え失せていく。

長野県から上京してきた美穂と慎吾。大都会に揉まれながら、東京に染まっていく二人は都会の片隅でイノセントさを失わずにいられるのだろうか?

東京出身のマリエに対してコンプレックスを感じていた美穂と、美穂の長野時代の元彼・慎吾は日々東京に染まっていく。慎吾はマリエの誘惑に惑わされ始め、遂に超えてはいけない一線を越してしまう。マリエにハマって行く一方で、素朴な後輩・理恵とのデート中にかかってきたマリエからの電話に対して慎吾は...

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女豹が牙を向いた、金曜日の夜

振り返ると、美穂も慎吾も何か大きな勘違いをしていたと思う。生まれた時から「マリエちゃんは可愛い」と言われ続けてきた。

私が望んで、手に入らない物なんて何もない。
そして壊そうと思えば、壊せない物も、ない。

—ちょっと、慎吾ちゃん、何やってるの?—

3回電話をしても出ない慎吾に腹が立ってきて、思わずLINEでメッセージを送った。私からの電話に出ないなんて、一体何様のつもりなんだ。

しかし、そのLINEも一向に既読にならない。金曜日の23時...もう仕事も終わっているはずだ。何より、いつも忠犬ハチ公のように私からの連絡を待っている慎吾。それなのに、何で今夜は電話に出ず、既読にすらならないのだろうか?

—慎吾の分際で...

私になびかなかった男性は、今まで誰もいない。

「マリエがいないと生きていけない。」
「もうマリエ以外愛せない。」

何度男に縋られ、泣かれたことか。なのに慎吾だけは、捕まえても捕まえてもスルリと指先から落ちていく感じがした。それが更に私を苛立たせた。

マリエからの電話に出なかった慎吾は、まさかの会社の後輩・理恵と...!?

取り返しのつかない失敗と胸のざわめき

朝、目が覚めると理恵の姿はもうなかった。

「やっば...」

携帯を見るとマリエからの電話とLINEが溜まっていた。二日酔いで頭がガンガンするが、今の自分の状況は二日酔いよりよっぽどマズイことだけは明確だ。そして理恵とも、月曜日にどんな顔をして会社で会えばいいのか分からない。

「俺はこんな所で何をやってるんだろう...」

マリエに言われて引っ越してきた祐天寺の1Kのマンション。なのにマリエは滅多に来なかった。狭かったのか、家具のセンスがなかったのか...色んな駄目出しを自分にしても、答えは見つからない。

マリエといると、息が詰まる。好き過ぎて苦しいのか、それとも自分には不釣り合いなのか...この問いかけに対しても、答えが見つからない。上京してから...いや、マリエに出会ってから、出口のない東京砂漠を永遠に彷徨っている。

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後悔と焦りから始まる慎吾の月曜日

「慎吾さんおはようございます!」

月曜日、重い足取りで出社すると、飛びっきりの明るい笑顔で理恵の方から挨拶をされた。その明るさに、思わず拍子抜けする。

「お、おはよう。理恵ちゃん、こないだの金曜日の夜のことなんだけど...」

「慎吾さん、今週末は何されてますか?次はモツ鍋食べに行きませんか?なので金曜日の夜、空けといてくださいね!」

それだけ言うと、理恵はスタスタとデスクの方へ戻ってしまった。その後ろ姿を呆然と見つめることしかできず、かける言葉も見当たらない。

「この状況って...」

理恵の感情スイッチを、どこかで押してしまったみたいだ。状況は益々悪化している。何故、理恵にマリエの存在を正直に言わなかったのだろうか。理恵の気持ちを弄ぶようなことをしてしまった自分は何て最低なんだろうか。

そして金曜日、マリエからの電話に出なかった自分を何よりも悔いていた。翌日、二日酔いの頭を抱えながら返信を打ち、電話もしたが(当然のことかのように)電話には出てくれず、既読にもならない。

そして3日経っても、マリエからの返信は来なかった。

慎吾からのメールを無視し続けるマリエ。いよいよ事態が動きだす...

一つの嘘から始まる大きな悲劇

「ねぇ、美穂。先週の金曜日の夜って何してた?」

月曜日のお昼休み。マリエの様子が、何だかいつもと違うように見えた。いつも自信満々で、その自身から放たれる独特のオーラがマリエの美しさを更に際立てているのに、何故か今日はそのオーラが見受けられない。

「金曜日の夜?えーっと...し、慎吾といたよ!」

とっさに口から出たのは慎吾の名前だった。
でも、嘘だった。

実は、金曜日は以前デートしていた優一と一緒にいた。しかし、大して面白くもなく、興味すら持てない存在になりつつある。そして何より、優一の名前を出したところでマリエは何の焦りも、嫉妬も感じないことを知っていた。

「え、嘘でしょ?美穂...金曜日の夜に慎吾ちゃんといたの?」

『ローズベーカリー丸の内』のランチセットを食べながらマリエを冷静に見つめる。やっぱり、マリエの様子がおかしい。いつもだったら、上から目線で“へぇ〜あんな野暮男”、とか言ってくるはずだ。なのに今日は何も言ってこない。

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「マリエ、どうしたの?慎吾と何かあった...?」

「別に何もないけど。慎吾ちゃんと、会ってるんだね。」

正直に言うと、慎吾からの連絡は途絶えたままだった。こちらが何かした記憶はないが、明らかに慎吾は変わってしまった。昔だったら、既読無視など絶対にしない。どんなことがあっても、助けてくれた優しい人だったのに...

「そうかぁ...そしたら、次に会った時に美穂から慎吾ちゃんに伝えといて。“やっちゃったね、知らないよ”って。」

そう言った途端、またマリエが再び光を手に入れ、輝き始めたように見えた。不気味な、暗黒のベールをまといながら、でも美しく光の方へ舞う蝶のように羽ばたこうとしている。

直感で、何かが起こる気がした。きっと、私もまだマリエの本気を知らない。マリエを敵に回すと、どうなるのか...そこに気がついていなかった。マリエの綺麗な、でも深い闇のような黒目に見つめられ、思わずゾクリとした。

—慎吾を守らないとー

そう、魂が叫んでいた。

次週12月7日水曜日更新予定
美穂の不吉な予感が大的中。東京のクイーンを敵に回した慎吾はどうなる?

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