「いつまで待てばいいの?」独立開業した男との将来に、新たに生まれた女の苦悩

「いつまで待てばいいの?」独立開業した男との将来に、新たに生まれた女の苦悩

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  • 更新日:2017/11/18

難関資格の筆頭格である、公認会計士。

―高収入、堅実、転勤なし。

そんな好条件を難なくクリアする”勝ち組”であり、東京の婚活市場においても人気が高い職業の一つである。

しかし彼らにも、悩みはある。

サラリーマン会計士の隆一は、同期である健の転職や上司である冴木の出世争いの敗北を契機に、自分のキャリアに悩み、会社の退職を決断する。

その一方、彼女であるユキは将来について結論を迫り、隆一は、ユキとの将来に真剣であることを伝える。

しかしその後、隆一から突然の独立開業宣言が飛び出したのだった。

独立開業を果たした隆一のこれからは…!?

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隆一、念願の独立開業。現在の状況は…!?

会社を辞めて独立開業してから、半年が経過した。

サラリーマン時代の、人間関係の苦悩・嫉妬・出世争いといった悩みからは解放され、晴れて自由の身になったのだ。

…と、思ったのもつかの間で、新たな問題に直面した。

お客さんが増えない。

士業=安泰の神話は過去の話である。手に職があれば、会社への就職はできるかもしれない。

しかし独立開業した場合、それは当然のようには通用しないのだ。資格=集客とはならない。

ユキに「将来のことは真剣に考えている」と言ってみたものの、現状では、結婚なんてできる状況じゃないのは明白だ。

かっこつけてみたものの、現実は甘くない。

僕の中で、”後悔”の言葉が旋回するが、そんなこと言っても始まらない。現状を打開しなくてはならないのだ。

今は、元監査法人の先輩、倉田さんが勤めている会社から、小さな案件の仕事をいくつか振っていただいている。その他は、中小規模の会計事務所でスポット案件のお手伝いをしているだけで、手いっぱいだ。

まるで、バイトみたいな生活である。

今までは、会社のブランドに頼り切っていたことを痛感する。大手監査法人の名前を出せば、友人はもちろん、お食事会でも女性達に一目置かれる存在であった。

しかし、今はそれが通用しない。“北村会計事務所”という、世間では誰も知らない北村隆一という無名の公認会計士を売り出さなくてはならないのだ。

僕は、路頭に迷った仔犬のようであった。

隆一の現状にユキは…!?

ユキの新たな悩み

ユキは、複雑な心境であった。

隆一から、将来への”期待”を提示してもらったものの、独立開業し始めて収入が安定しない状況になっているからである。

現状ではすぐ結婚、というわけにはいかないことは理解できる。でも、いつまで待てばいいのだろうか?

結婚=ゴールというわけではないが、1つの区切りとして安心したい。

好きな隆一と結婚できるなら、多少のことは我慢できる。収入が厳しければ自分も働いて家計を支えよう、隆一が独立した当初は、そんな決意も密かにした。

まずは、隆一の気持ちを尊重したい。しかし、不安は付きまとうのであった。

自分はこのまま待つしかないのか?待ちに待った結果、どんな将来が待っているのだろうか?

新たな不安が頭をよぎる。隆一からの返事を貰い、半年経ったいま、状況が見えない中で、ユキはこの思いを誰かにぶつけたかった。

―お久しぶりです。今度、お時間いただけますか?―

日曜日の正午、青山『リストランテ ホンダ』でユキはある人物を待っていた。

「ごめん、待った?」

隆一とユキが交際するきっかけを作ってくれた、大学の先輩、倉田だ。

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休日にも関わらず、倉田はノートパソコンを持ち歩いている。常に、日本や海外の経済情報を収集しているようだ。

倉田は、隆一と同じ公認会計士であり、女性既婚者でもある。会計士の独立のことや、結婚を待つ自分の気持ちを理解してもらえるのではないかと思い、連絡を取ったのだ。

今は、隆一と一緒に仕事する機会もあると聞いている。

ユキは、自分の思いを倉田に伝えた。

「隆一君、仕事はよくやってくれるわ。独立したからには、地道に頑張るしかないかな。」

「そうですか。でも、私はいつまで待てば…」

不安そうな顔で泣き出しそうになるユキに、倉田はため息をつき、一つ間を置いた。

どちらの肩を持つわけでもないけど、と前置きをして倉田は続けた。

「いまユキちゃんは、将来自分が結婚できるのか、という”リスク”の上にいる。隆一君が、今後仕事で大成功したとしても、本当に結婚してくれるのか、なんて私にもわからない」

ユキは、倉田の目をじっと見つめながら、アドバイスを聞いていた。

隆一が成功するまで、自分は待っていなくてはならないのではと考えていた。しかしそれは一方的な男の言い分に過ぎないのでは?と、倉田からの示唆である。

幸せの形に個人差はあれ、女も、自分が幸せになるためには、自ら考え、行動しなければならない。

自分でキャリアを築き、結婚も経験してきた、女性の強く逞しい意見だ。

「最後に、女としてのアドバイス。リスクには”保険”よ。どう解釈するかは、自分で考えて」

解散した後も、ユキは、倉田の最後の言葉を反芻していた。

苦悩する隆一に新たな展開が…!?

隆一の安堵と苦悩。そして、新たな人物が接近する…

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「最近どう?お客さん増えた?」

ユキから定期的にくる電話のやり取りで、新たに増えたフレーズである。

「まあ、少しずつね。」

これも僕のお決まりの返事となった。全然増えていないなんて言えない。男の見栄である。

事務所は、小さなマンションの1室を借りた。コピー機・電話の手配から、備品の準備などの雑務から始まった。ゼロからのスタートは、本当に大変である。

でもここで引き下がってはだめだ、と何回も自分に言い聞かせている。

開業準備に際しては、少しでも費用がかからないようにと、ユキも協力してくれた。両親が会社経営をしているため、会社で使わなくなっている備品を提供してくれたのである。

半年前、僕がユキに、将来に対して真剣に考えていることを伝えたことで、ユキは少し変わったように感じる。

気持ちにゆとりができたのであろうか?

独立したことに対しては、やや不満はあるようではある。やはり、大企業の安定収入のあるサラリーマンがよかったのであろう。

でも、結婚するという安心感からか、以前のように、僕に対してあまりプレッシャーをかけてこなくなった。

結婚=ゴールというわけではないけれど、こちらは1つの区切りがつきそうで、安心した。仕事に集中できる環境が整ったのだ。

理解のあるユキに、感謝しなくてはならない。

依然と開業後の苦難は続いている。

数少ない案件をこなしながら、空き時間には、お客を増やすために必死で策を考えている状況だ。

ビジネス交流会に参加してみたりしたが、どうも仕事につながるような気がしない。冷静に考えてみると、名刺を交換しただけで、お金を払う人なんていないだろう。

他にも、ホームページを作りブログを発信してみたりしているが、どうも感触がよくない。

会計士に限らず、弁護士、弁理士などの士業は、資格登録者数が増え、お客の取り合いでひしめき合っている状況である。

―疲れたな…。

策も出し尽くし、途方もなく事務所で呆然としていると、一本の電話が突然舞い込んできた。

「隆一、独立したらしいな。おめでとう」

大学時代の友人、神宮からの電話であった。

神宮も僕と同じ公認会計士だ。大学卒業後は、僕とは別の事務所で働いていたが、いち早く独立開業をしたと聞いていた。

大学時代は資格試験の勉強に切磋琢磨した旧知の仲だが、社会人になってからは全く連絡を取っていなかった。そんな神宮が一体どうしたのだろうか…?

「隆一、俺と組まないか?」
「えっ…!?」

神宮の一言が僕のこれからの運命を大きく変えようとは、このときは想像もできなかったのであった。

▶NEXT:11月20日 月曜更新予定
次週、神宮からの提案に対する、隆一の決断は…!?

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