錆に魅せられた人々を描く、オタク的な目線で書かれたルポルタージュ『錆と人間』訳者インタビュー

錆に魅せられた人々を描く、オタク的な目線で書かれたルポルタージュ『錆と人間』訳者インタビュー

  • ダ・ヴィンチニュース
  • 更新日:2017/12/07
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『錆と人間 ビール缶から戦艦まで』ジョナサン・ウォルドマン:著三木直子:訳装丁(日本語版):吉野 愛写真(日本語版):a_lis/iStock/Thinkstock編集(日本語版):黒田智美築地書館 3200円(税別)

本書はウォール・ストリート・ジャーナルの「ベストブック・オブ・ザ・イヤー」を受賞した全米のベストセラーです。錆と人間。きわめて専門的な内容ではありますが、専門書ではない。錆と戦う人々、錆に魅せられた人々を描くルポルタージュです。あとがきに書きましたが、なんというか、「オタク的」な視点で書かれているんですよね。多くの人にとっては知らなくてもいい知識かもしれないし、何の役に立つのかもわからない。でも、そういう「実用的ではないもの」って、本当の意味でおもしろいものだったりする。著者のジョナサン・ウォルドマン氏と私に共通しているのは、「どうでもいいようなことに過剰に詳しいオタク的な人」に惹かれることかなと。「この人たち、すごい!」と素直に思っているから本書の視線は温かいんですよね。

でも私、実は化学が苦手でして……。まったくなじみない錆の世界の話は、翻訳で苦労することも少なくありませんでした。ウォルドマン氏が日本語を話したとしたら、どういう表現を使うだろうとか、私自身が彼の文章で受けた印象をどう読者にイメージしてもらおうとか、あれこれ考えながら一文一文を虫眼鏡で観察するように訳し、はっと気付いて一歩下がって文章を眺め直したり……そんな作業のくりかえしですね。ウォルドマン氏が英語で描いた〝絵〟と同じ〝絵〟を日本語で描いて、日本の読者さんに伝えるための作業という感じでしょうか。客観的視点で訳して伝えることも大切かもしれませんが、あまり離れて見てもおもしろくない。だからウォルドマン氏と同じように、主観的な目でおもしろがりながら訳したいと思っています。

この本、重版したんですよ! もちろん多くの人に読んでほしいなとは思っていましたが、重版がかかったと聞いて、うれしくも驚きましたね(笑)。

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三木直子さん

東京都生まれ。翻訳家。外資系広告代理店のテレビCMプロデューサーを経て、1997年に独立。『コケの自然誌』『ミクロの森』『斧・熊・ロッキー山脈』『ネコ学入門』などの訳書がある。今後は童話などのフィクションを手掛けることが夢。

取材・文/田中 裕 写真/首藤幹夫

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